東西線茅場町から、会社までの途中
茅場橋がある
れっきとした橋である
その上を高速道路が走っている
 だからその空間は
橋のうえでありながら、高架下となっている
この空間に
以前 ホームレスのおじさんが住んでいた
屋台を橋の上、高架橋の下に置き、住んでいた
そこが住所であった
橋の上なのか下なのか微妙な空間にである
我々が大森から移転する前からすんでいたから
先輩になる
このおじさん
名物おじさんらしく
通行人と
楽しそうに話していた
海外から帰ってきた折、なぜか屋台がなくなっていた
翌日
別のおじさんが
ねえ
と通行人になにか話しかけていた
ねえ
ここにいたおじさん
知っている
マドロス帽子をかぶっていた
あいつ
あいつ 日曜日に死んだんだ
ねえ
あいつのことを知っている

だれかれとなく
語りかけていた
そうか亡くなったのか
以来空き家であった
橋の上であり、橋の下である奇妙な空間
今日新橋帰り
気がつくと
ダンボールを何枚か重ね
座っている人がいた
漫画を読んでいた
ペットボトルを灰皿にして、タバコをすいながら、
座っていた

そうか
新しい住人か

ふとそう思った