先月、資源エネルギー庁からLPガス取引適正化ガイドラインの制定が開示された。
それによると、LPガスは国民生活を支える重要なエネルギーとしたうえで、災害時には被災地を支える
「最後の砦」となる重要な役割を担うとの見解だ。
そのうえで、消費者からの苦情が多いLPガス料金の透明化を推進していかねばならないとの提言で、各LPガス事業者はホームページや店頭で価格を表示すべきだとしている。
最近では、まだ一部の業者ではあるが自社のホームページで料金を表示する大手ガス事業者も何社か散見されるようになってきている。
例えば、ホームページでは一般家庭の従量料金@380円と公表したうえで、適正価格を謳う大手企業(N社)・・等、消費者にとっては、事業者間の競争促進と料金透明化の観点から歓迎すべきことではある。
しかし、実際問題として、その大手N社が提示している料金は本当に信用できるのだろうか・・?
答えはNOである。その実態は、@250円~@500円越えまで何ら根拠のない売り手側本位の恣意的判断で決定した料金で、各顧客ごとに違った料金表を適用・運用しているからだ。
監督官庁からの度重なる指導もあってか、実態に即さない見せかけの料金をホームページ上で開示する羽目に陥って、自社にとっても大切な顧客やステークホルダーに対して「嘘」を堂々と公言してしまっているのである。
このようなLP業界の実態はいまさら説明するまででもないと思うが、このことは当然N社にだけ限ったことではない。そもそも問題視すべきは、数十年前から指摘されてきたこのような同業界に於ける「悪しき慣習」の改善に取り組んできた監督官庁側の本気度の姿勢が問われるのである。
経済産業省・資源エネルギー庁では過去に再三にわたり、消費者保護の観点から改善点を見出す有識者懇談会や協議会を幾度も開催してきた。しかし、いまだにLPガス料金透明化が実現できないその理由は、それに出席されているセンセイ方の面々が、LPガス協会(業界団体)や各消費者団体のメンバーから構成されている不可解さにある。
業者団体であるLPガス協会の代表者はじめ、各消費者団体の運営委員等から構成されており、座長が〇〇大学教授だったりするが、それらの主要メンバーは・・「同じ穴の狢」という絡繰りになっているのである。
我々が、2006年LPガス業界初のNPO法人として消費者保護目的に活動を達成するにあたり当初、各消費者団体に対して情報開示を含めた協力支援を求めた。しかし思惑に反して協力を申し出た消費者団体は皆無といった散々たる結果であった。
その背景には、例えば各消費者団体に対してLPガス業界団体からの賛助会費としての金銭的支援を含めた「虚礼・・?」といった利害関係が複雑に絡み合っている実態が浮き彫りになっていたのだ。
過去幾度となくLPガス業界への指導・監督で「玉虫色」の決着を繰り返す監督官庁。
LPガス料金の透明化については、消費者を守る「最後の砦」となる重要な役割を果たせるのは、LPガス業界側にあらず、指導監督の絶対的な責任・権限を有する経済産業省・資源エネルギー庁の施策・方針にある。
今回の改正液石法省令施行(今年6月1日)は、LPガス販売業者への罰則規定はなく単なる努力目標の範疇と解釈できる内容であり、LPガス料金透明化への過度な期待は望めないものと思う。
LPガス料金透明化については、不当廉売等・・・に抵触する法規制も視野に入れた抜本的解決策を打ち出して頂き、環境に優しい分散型エネルギーの優位性を魅することで、LPガスを普及・促進させて頂きたいものだ。
平成29年度版・・改正液石法省令等・取引適正化ガイドライン説明会資料