旅人たちの目の前には、アマゾンに注ぐ支流が流れている。
橋も舟もない。
そのゆるやかな緑の流れとは裏腹に、無数のピラニアたちが獰猛な牙を光らせながら、うようよと銀の鱗をぶつけあっている。
危険は百も承知だが、旅を続けるためには、どうしてもここを渡らなければない。
そんな時、まずは馬を1頭だけ生贄よろしく川に入れる。
あたりのピラニアが皆そのごちそうに気を取られ、肉塊に群がるように仕向けられているその一瞬の隙に、旅人たちは一気に川を渡りきる。
そういう手法が取られることがあるそうだ。
言ってみれば野口さんが殺された事件って、この馬みたいなものなんじゃないかな。
やったのは●●●だとか、●●党の●●●●や●●●●も絡んでいるとか、さらにその背後には●●●がいるのだとか、噂好きの小雀たちはそんなどうでもいいことの詮索に夢中になっているけれど、ライブドア事件の本質というのはもっと全然別のところにある、みたいな。
もちろん、その本質がどういうものなのか、プロパンガスごとき末端の小市民にはその片鱗さえも見えるわけはないのだけど。
世に喧伝される数々の陰謀論も、きっと似たようなものなんだろうね。
ほんとうにそんな陰謀があるのかどうかは知るよしもないけど、もしもあるのだとしたら、その本質に迫るような情報は、1000円や2000円で買えるハードカバーなんぞから得られるはずは絶対にない。
いわんや無料で無限に拾えるネット上の情報をや、である。
つーか、そんなに簡単に暴かれちゃうようなもの、陰謀でも何でもないし。
スカラデイもロスチャイルドも、フリーメイソンもロックフェラーも、●●●●、ましてや山縣有朋やネバダレポートなんて、そんなもの、馬のまた馬でしょ。