#589 ニート | プロパンガス

プロパンガス

いっしょうけんめい働いた人が
せめてビールぐらいは安心して
本物を飲める世の中をつくろう

「フリーター」華やかなりし頃、彼らの「パラサイト」なライフスタイルを避難したり羨んだりする声がそこらじゅうから聴こえてきたが、社会全体にとって彼らの存在は、当時懸念されたほどには大きな問題にはなっていない。

その理由のひとつは、彼らの親の世代がバブルに乗って一財産を築いた人が多く、「パラサイトする側」と「パラサイトされる側」をネットすれば、合計ではチャラに近かったからかもしれない。

ところが、「ニート」はそうはいかないらしい。

ある機関が「親の所得が高いほど、余裕がある分、子を甘やかす傾向があり、子がニートになる率も高いこと」を数値的に証明しようと統計をとったところ、なんとまったく逆の結果が出てしまったのだという。

つまり、「親の所得が低いほど、子がニートになる率は高い」ということなのだ。

これは、まずいだろう。

所得の低い親は、一般的に言って貯蓄も少ない場合が多く、老後の生活資金をじゅうぶんに得られない可能性が高い。

頼りにするべき子どもがニートとなれば、経済的に支援を求めることも叶わず、それどころか子ども自身も、養ってくれていた親が老いれば、たちまち日銭に困ることになる。

「パラサイトする側」と「パラサイトされる側」の両方がマイナスなのだから、この合計はとてつもないマイナスになる。

この社会は、ものすごいマイナスを抱えながら、それでも他の国々と競い合って勝ち抜いていかなければならない。

さもなくば、世界最高水準の豊かな生活は放棄せざるを得なくなる。

なのにこの国は「おカネじゃ買えないものもある」などという平和ボケした物言いを是とする風潮にどっぷりつかってしまっている。

おカネじゃ買えないものを大切にするのも結構なことだが、おカネがなければ買えないものもたくさんあるのだ。

自分自身と自分にとっての大切な人が暮らしていけるだけのおカネはどうしても稼がなければならないこと、これをもっとしっかりと教えていかないといけない。

「おカネじゃ買えないものもある」というのは、有り余るおカネを持っていながらその使い道を知らない人を戒める言葉であって、自分の食い扶持すら稼ごうとしない怠け者を甘やかすための言葉ではない。