斜めにひとつ上のチーム | 学外活動のススメ~書籍『現役大学生による学問以外のススメ』ができるまで~

斜めにひとつ上のチーム

いつか、どこかで誰かが言った。

『オレは一人じゃなんにもできねぇ!!

だからお前らが必要なんだ!!』

●

総書記です。

チーム作業というのは難しいね。
個人的には誰が何をやるか、何をやらないかが
明確になっている上でその領域をそれぞれが
意識的に超越し合う、というのが良いチームだと思う。

TVWAのCEO(愛車はBMWで
血液型はRH-ABで愛称はBOB)
ボブクープマンが言うまでもなく、最良のチームとは、
それぞれが自分の役割を越えて
貢献しあうチームのことだ。

ワンピースの麦ワラ海賊団がそうであるように。

マンガというのはキャラ立ち、すなわち
それぞれのキャラクターが個性的でなくては
いけない都合上、良いチームを描くことが多い。
一人一人の能力、性格が明確で個性的で
それぞれを補う。単独でも魅力的な展開を
描くことができる上に全員が揃えば
さらに魅力が増していく。
一人一人のキャラクターの人気が上がれば
そのキャラクター毎のグッズやメディア展開も可能だし
人気が加熱すればスピンオフ
(ある作品のサブキャラクターが、同じ世界観の中で
主役を担う別作品)も可能だし。
また、魅力的なキャラクターどうしの
恋愛や友情を妄想することで時間は潰せるわ
二次創作は可能になるわ。

すなわち作家は楽になるわ、版元は儲かるわ、
オタは萌えるわ…
とにかくマンガをはじめとした
エンターテイメントコンテンツにとっては
キャラクターが魅力的なのは良いことづくめなわけだ。

最近のマンガ作品でチームを描いた傑作といえば
やはり『医龍』と『アイシールド21』に尽きる。

『医龍』は超一流のスキルを持った個人が
微妙に食い違うそれぞれの志を共有して
チームになっていく過程を、病院での権力闘争と
ハイレベルな現代医学描写、そして生命尊重に
基づく人間ドラマを通して描いた作品。
卓越したスキルを持っているが故に
他者と深く繋がれなかった者たちが
一つの志と技術をカスガイに信頼を深めていく
そして才能ある個人が他の才能を刺激し、
才能ある者たちのチームが彼らを取り巻く世界をも
刺激していく物語展開はたいへん面白い。
また、それぞれのスキルや性格がぶつかりあい、
補いあい、高めあいながらチームならではの
結果を生み出す手術の問題解決までの過程は
非常にスリリング。
もちろん才能ある個人だけに
焦点を当てているわけもなく、
凡人と言われる人間にもスポットライトは当たる。
いや、本質的には凡人には光など当てられてはいない。
凡人とは、まだ才能を見つけていない者、
まだ自らを鍛えていない者のこと。
自らを磨きあげることで人はいくらでも
自らの居場所を見つけ出せる、輝けるのだ。
逆に言えばそうではない者に、現場に立つ資格はない。

『技術のない外科医はそれだけで罪だ』

主人公の天才外科医、朝田のセリフは
作品の根底に流れるリアリズムに基づく
ヒューマニズム故に果てしなく重い。
このことは高い目標に対してハイスピードで
向かっていくチームには常に言えることだろう。
夢を語るには覚悟が必要なのだ。
夢を叶えるには努力が必要なのだ。

他にもこの作品には大きな魅力がニつある。
まずは医局を中心とした医学界の権力闘争。
親友の医学部学生に聞いたが、
なかなかリアルに描かれているらしい。
どこの世界でも権力闘争というのは醜く、
複雑で、正直だ。だから面白い。

そして、時々描かれる女性キャラの色っぽさ。
なんかね、エロいの。
週刊青年マンガ誌に連載されているからかも
知れないが、一巻に一度くらいは濡れ場や
それに準ずるシーンがあるのだが、
肉感的でいい感じ。
それ以上に良いのが、
女性キャラが本音や弱音を描く時のシーン。
たまに唐突に見開きになって女性キャラが
瞳をウルウルさせながら唇半開きにして
なんか弱気なことを言うのが、よい。
たいへんよい。
暴大手消費者金融
(法律ギリギリの高い金利で貸付け、
法律ギリギリの激しい取り立てを行う
合法金融業者、サラ金とは違う)のCMに
出てくるキャバ嬢御用達の犬の視線よりも
はるかにぼくの胸に刺さる。

『医龍』、オススメです。

●

『アイシールド21』はアメリカンフットボール
というスポーツをジャンプ特有の三大システム、
すなわち友情・努力・勝利の三本柱と、スタンドシステム、
DBプロットのもとに、的確かつ丁寧に描いた作品。
こちらは『医龍』とは違い、少年誌を舞台に描いているため、
女性の魅力や権力闘争については描かれていないが、
主人公をはじめ、チームのメンバー
一人一人がそれぞれの人生の一番熱い燃やし方を
探す過程がこれ以上ないほど熱く、
まっすぐに描かれている。
友情について本気で語る作品は、
いつだって男性を男の子にしてしまう。
高校生は高校生なりに、その時の人生の
100パーセントを賭けて目標に当たるのだ。
その過程で、アメフトというスポーツの特性上、
見事にキャラクター一人一人の特性を大切に描いていく。
がんばろう、という気持ちになる。
はじめはバラバラだった高校生が
全国大会優勝に向けて少しずつ
結束していく過程は熱いが、熱い以上に
チームのモチベーションマネジメントとして参考になる。
チームリーダーのヒル魔は
偽悪者のカリスマ型リーダー像として
一つのモデルケースとなるだろう。
優れた戦略立案能力、
誰よりもチームを気遣いながら厳しく当たる姿勢、
そして誰も見てないところで誰よりも努力する姿、
非常に参考になることばかりである。

『超理論派のクセして言ってることは夢丸出しだ。
そんなアイツを信じてオレらここまでついてきたんじゃねーか』

武蔵というキャラクターが
ヒル魔を評したセリフはリーダーを語る
部下のせりふの一つの理想形と言うことができる。
また、従来のスポーツチームと違い、
試合に戦略性があるのが素晴らしい。
読んでるとなんだか頭が良くなる気がする
スポーツ漫画はあまりないだろう。
(『ヒカルの碁』は断じてスポーツ漫画ではない!!)
スポ根マンガ故に展開が読みやすいのは難だが、
キャラクターの魅力やセリフの熱さがグイグイと読者をひきつける。
読むべし。

●

異なった才能を持つ個人がチームとして
問題解決に当たるという意味では
ぼくの進路でもある広告業界が正に
そのスキームに当たるが、
広告業界のチームのノウハウを描いた
『ひ○つ上のチーム』よりも、上記ニ作品は
遥かにチーム論として参考になる気がする。

ぼく自身、この出版プロジェクトやイベント、会社の研修など、
チームで作業を進めていくことが多い。
チームが煮詰まったり、軋轢が生じると、
ぼくはみんなにこう言うんだ。

『みんな、今日は解散だ。
次の打ち合わせまでに各自マンキツで
二つのマンガを熟読してきて欲しい』

●

あー、長くてゴメンなさい。

何が言いたかったかといえば、卒論を書きあげたという話。
なかなかたいへんだったが、
優秀な後輩たちと良いチームを組むことができた。
通常半年くらいかけて仕上げる卒論だが、
ぼくは、6日で仕上げることができた。

計52000字。

参考文献74冊。

奇跡。

これも個人では絶対にできないことだった。
これがチームCHEMISTRY。
ぼくにないものをみんなが補ってくれた。
みんなにないものをぼくが与えた。
ぼくにないもの、それは知識、時間、
そして、パソコンのタイピング技術。

みんなにないもの、それは卒論を手伝うメリット。

資料を集め、手書き原稿をデータ化し、
製本業者に注文してくれたみんな…、
吉川、シンタロー、チナ、勇人、みんな本当にありがとう。

でも、今考えると一文字1円は高かったよな~。
●
冒頭のことばは『ワンピース』の中で主人公ルフィが叫んだことばです。



↓頑張りますので応援してください↓
【人気ブログランキングに投票】

◎出版決定に際して

出版決定記念パーティー詳細

◎もっと読みたい方は

ブログのもくじ

◎学外活動とは?
◆学外活動事始◆