生徒も学校も「危機管理」がなっていません! | 神戸大学 教養原論「情報の世界」講義(大学院工学研究科 森井昌克 教授)

神戸大学 教養原論「情報の世界」講義(大学院工学研究科 森井昌克 教授)

2006年,2007年度,実際に開講された講義のブログです.今年も講義はありませんが,引き続き「仮想的」に書かせて頂きます.非常勤講師や講演の依頼は、メールにて直接、連絡をお願いします。

日本の高校生22人が万引き=サッカー親善試合で訪韓中
韓国警察当局は10日、日本の高校のサッカー部員22人が、ソウルのショッピングモールで、ベルト、財布など約70点(252万ウォン=約28万円相当)を盗んだとして、窃盗容疑で摘発したと発表した。警察は「集団で犯行に及ぶなど罪は軽くない」として書類送検する方針。22人はいずれも埼玉県の私立高校3年生で、韓国の高校との親善試合のため訪韓していた。 ..........≪続きを読む≫
集団での旅行によって気分が舞い上がり偶発的な犯行に至ったということですが、犯罪は犯罪です。あまりにも「万引き」という言葉、そしてその犯行の意味が軽く扱われ過ぎです。万引きと総称されてますが、実は「窃盗罪」であり、場合によっては「詐欺罪」なのです。また、集団での犯行だからといって、犯罪が人数で割り引かれるわけではありません。サッカー部ということですが、集団競技としてのマナーやルールも、その成果や結果のためには、それを曲解させて(言葉を変えて)犯しても良いという教え方なのでしょうか。万引きという言葉があまりにも軽く使われ過ぎのように思えます。

また、韓国側も犯行に及んだものが未成年ということで、その捜査や対応について十分な配慮を行い、捜査が終了した時点での、今となっての発表となったのでしょう。しかし、この万引き事件ついては、(報道からは)サッカー部員全員の犯行であり、多数の店を渡り歩いた上での、70点、28万円相当の被害を及ぼしており、単なる偶発的な万引きという範囲を超えています。集団的な極めて悪意のある犯行といってよいでしょう。未成年ということで教育的配慮も有る程度考えられるかもしれませんが、犯罪としての処分は当然として、学校やサッカー部としての対処も気になるところです。

さらに、この学校に限ったことではありませんが、事件後の対応としてマスコミ対応を含む危機対応がなっていません。学校側は犯人の生徒たちに関して、「元気がいい子」「問題行動がある生徒はいない」、「多少の指導はあった」という文言は、たとえその前後に補足説明があったとしても使ってはいけないフレーズです。所属していたサッカー部に関しても存続させることを強調するのではなく、廃部の結論は出さないとしても、現在の活動停止処分を強調するべきでしょう。罪を犯した生徒への対応はもちろんですが、今後注目されるべきは学校側の対処です。