時代考証の怠慢?最早メリケン(英語)だけが歴史ドラマを彷彿とさせる(大河ドラマ考286西郷06) | Prof_Hiroyukiの語学・検定・歴史談義

Prof_Hiroyukiの語学・検定・歴史談義

・歴史旅行記や言葉(日本語・フランス語・ドイツ語など)へのこだわりや検定・歴史散策などの実践録を書き綴ろうと考えています!    
                      
<本記事を引用された場合、その旨を御連絡頂けると有り難いです。>

現代の我が国において英語は(学力系)入学試験では無視できませんし、英語に関する講座や検定試験も盛んではあります。

それでも、何かと英語下手が話題となるのが日本人。国際会議に出席しても、露骨に揶揄される事も珍しくはございません(体験談)。。。

それが江戸時代ともなると、メリケン(英語、Americanから来ているとされる)の日本での状況と言えば・・・

 

今週(2月11日本放送)のNHK大河ドラマ「西郷どん」<第6回 謎の漂流者>にも、その一端が見え隠れするのです。

琉球に漂着した(薩摩の役人に捕縛された)「謎の男(ジョン万次郎)」の真意を知るべく西郷・大久保が骨を折る・・・という筋なのですが、

 

・ジョン万次郎が薩摩藩に西洋技術を指南。

・西郷と大久保が島津斉彬に重用されてゆく。

 

という2つの史実を

「医者だった大久保の(母方の)祖父譲りの辞書」で「万次郎の英語を大久保が和訳」→「大久保、大手柄」

という創作の接着剤でくっつけました!という強引な展開です。

 

(1)一体、時代考証は何をしているのか・・・

「強引な展開」と書きましたが、もはや茶番の領域かもしれません。一体時代考証は何を?・・・と言いたい気持ちにもなるでしょう。

ただ、以前の大河担当者から聞いた話ですと、時代考証は「あくまでもチェック役」との事。

要するに、「その時代に有り得ない」事だけを弾き出す程度しか権限が無い模様です。

そういう目で見ますと、ジョン万次郎が「LOVE」と言い放ったのを大久保が「愛」と訳さなかったのは、時代考証が効いた可能性が高いです。(※LOVEに「愛」を嵌めたのは明治時代)

 

(2)あとは・・・

ジョン万次郎が斉彬に召された際の、日本国が米国に比して遥かに劣勢である事の説明(鉄の船が無い、動力の技術が無い・・・など)はチェックしているでしょう。但し、これは素人でも出来る作業ではあります。

 

結局、英語「LOVE→人を好きになる」だけが、今回の本作が「歴史ドラマ」である事の証となってしまったのです。