送り仮名補足:「動かす」「少ない」-最大公約的ルールと例外の理由(語学用語などあれこれ第11回) | Prof_Hiroyukiの語学・検定・歴史談義

Prof_Hiroyukiの語学・検定・歴史談義

・歴史旅行記や言葉(日本語・フランス語・ドイツ語など)へのこだわりや検定・歴史散策などの実践録を書き綴ろうと考えています!    
                      
<本記事を引用された場合、その旨を御連絡頂けると有り難いです。>

『送り仮名-「お話『し』する」と「お話をする」』http://ameblo.jp/prof-hiroyuki/entry-10818087995.html の補足になります。

「但し」・・・と書く様に、「副詞・連体詞・接続詞の最後の音節は送る」という事は先に書いておきます。


(1)送り仮名の「最大公約ルール」とは?

見聞した事が無いのは当然です。本ブログの造語なのですから。

この様な考え方です。

活用語の送り方は前回の(1)が原則中の原則なのですが、元は同じ語でも別の活用をする場合があります。

動詞では、「自動詞」と「他動詞」でセットになっている場合が多いですね。

次の様な例を挙げる事が出来ます:


「動く(うご-く)」「動す(うごか-す)」

「生む(う-む」「生れる(うま-れる)」(※但し、「生れる」は望ましくはないものの「許容」)


「語幹」-「活用語尾」の順となっていますが如何でしょうか?

下線部が「活用語尾ではないのに送られている箇所」になります。

要するに、語幹のうちでも「別の活用の語幹でない部分」は送られる事になり、これを便宜上「最大公約ルール」と呼ぶ事と致します。


(2)例外には例外なりの理由がある。

形容詞「少ない(すくな-い)」は送り方についての「代表的な例外」です。

他の活用も存在しないので上述の「最大公約ルール」が適用された訳でも有りません。


では、どうして「少い」では駄目なのか・・・


実は、「すくなくない」という否定語の場合に問題が有ると言うのです。

もしも原則を尊重して「少い」と送った場合、この語は「少くない」と書かれます。


「すくなくない」ではなく「すくない」と読んでしまう確率が高い・・・

その危険度がどの程度なのかは分かりませんが、肯定と否定とが紛らわしいという事でしたら確かに大問題です。回避する必要は有るでしょう。


但し、例外の「元となる原因」が無くなった場合はその限りではありません。


動詞「表す(あらわ-す)」は現在原則通りですが、「表わす」という表現が許容されており、元は「表わす」の方が正しい表現でした。

実は「表す(ひょうす)」という語があり、「あらわす」とは意味が異なります。

これとの読み間違えをなくすため、敢えて「わ」を入れて「表わす」と送ったのです。


しかしながら、「ひょうす」の語は時代と共に使われなくなりました。

そこで原則を尊重した送り仮名「表す」に修正されたという訳です。


その他の「例外」にも色々背景が有る様ですので、理由を色々と考えてみるのも一興かと思います。