「ラテン語を学びたい!!」
これが私に「英・独・仏」以外の言語に目を向けさせた原動力でした。
実はこのラテン語、学ぶのに極めて困難を伴う事で有名なのです。大きく異なる言語を用いる我々日本人にとって難しいのは当然ですが、親族関係のヨーロッパ言語を話す方々や、なんと『娘言語(子孫語)』を話すフランス人さえも難しく感じるという有り様です。(宜しければ、3/22の記事 も御覧ください!)それでも、前世紀の途中までのヨーロッパでは学術言語としての学習が必要でした。
これに関して、フランス人がラテン語を学ぶ際に苦労するのは「活用の難しさ」だと、学生だった頃に授業で聞いた事がありました。
おそらくこの活用は『格変化』を指しているのだという事は容易に推察出来ます。
(屈折言語の)活用変化には
『人称変化(主語の人称によって語尾が変わる・・・これは次回に具体的な形を紹介します)』と
『格変化(~を,~は,などに相当する語尾変化をする)』とがあり、代表的なヨーロッパ言語での有無は次の様になります:
(注:代名詞の格変化については対象外)
<イタリック語派主要言語>
人称変化 格変化
ラテン語 ○ ○
(ロマンス諸語)
ルーマニア語 ○ ○
イタリア語 ○ ×
スペイン語 ○ ×
フランス語 ○ ×
(参考・その他のスラブ諸語以外の欧州主要言語。共にゲルマン諸語)
ドイツ語 ○ ○
英語 ×(三単現のみ) ×
これで、フランス人にとってラテン語の『どの活用』が難しいのかは明らかでしょう。
この様な『活用変化』の面から見ますと、我々「第1外国語を英語とする」日本人が上述の言語の中から第2外国語を選ぶとすると、こういった注意点があると考えられます。
(1)ドイツ語・ルーマニア語の様に格変化を持つ言語を第2外国語として学ぶ際の注意点は、初期に格変化を如何に効率よく習得するかにある。
3月6日の記事 でも述べた事ですが、私は大学生時代に第2外国語としてドイツ語、第3外国語としてフランス語を履修いたしました。特にドイツ語は博士号取得までお付き合いをしているのですが、それ程簡単な言語の様に思えません。特に名詞の格変化(1格・2格・3格・4格)は複雑であり、まだ若いうちだから何とか苦しまずに覚えられたのでは無いかと考えています。
(2)ドイツ語のメリットは、学術文化の発展した国の言葉である以外には、『英語との姉妹語』である事に尽きる。
もちろんメリットはあります。英語とドイツ語とは約2千年前に分かれた姉妹語で、語彙や言葉の組み合わせ方は非常に似通っています。すなわち、
『ドイツ語の$$は英語の##』
という極めて明確に対応づけられる場合の多い事が救いです!
例えば、これは私が学生時代に見つけて感動したケースなのですが、
「~ばかりでなく・・・も」
(英語)not only ~ but also ・・・
(ドイツ語)nicht nur ~ sondern also ・・・
この様に、比較的複雑な構文でさえも『一対一の対応』が取れるのです。
一旦構文に繋がりが見いだされると、上達は早いものです。
『真面目に英語に取り組んだ人ほど、第2外国語としてドイツ語は適している!』
と言えるのではないでしょうか。そして、ドイツ語に取り組む事によって英語自体のレベルアップが出来る事も事実です。(使用していないので名前は挙げませんが、そういった「トライリンガル」な教材も実在します。) (つづく)