「21世紀のきものマーケット創造」への提言⑤

 

6月15日(木)

 

企業の心は「理念」「ビジョン」「戦略」

藤本達也(経営工房代表)

 

きものは世界の民族衣装のなかで断然トップであると認められている。素材、色、柄、デザイン、機能、背景の文化など。それもそのはず、日本文化そのものが人類の古今、東西南北の集大成と言えるからである。

 

企業の心の三大表現は「理念」「ビジョン」「戦略」と考えられる。自社の五客(社員、エンドユーザー、取引先、株主、地域社会)のために役立つ三つの心を磨き上げねば存在価値の低い企業となる。

 

一流店を見分けるには、「コミュニケーション」「やる気」「サービス」「創造性」の四つをチェックすればよい。このうちサービスに関しては、きもの業界ほど高いレベルのところはなく、驚くほどである。

 

しかし、残りの三つについては、かなり点数が低く、これからの大きな課題といえよう。本気で勝ち残るためには内外のコミュニケーションと社員の本音のやる気と類例のない創造を実現せねばならない。

 

これまで売り上げ欲しさに一部でかなり過激で不自然な販売手法を使ってきた。その多くは決して客の立場に立ったものではなく、いわば狩猟型マーケティングであり、農耕栽培型への転換が求められる。

 

きものに集約されている「和の文化」とそれを支える技術はまことに尊い。できればそれらの中枢にいる立場を活かして「和」の関連商品やサービス、芸術芸能などをトータルに束ねてその総本家の役に就くという道があるのではなかろうか。