『 本当の優しさ 』
今期の業績は前期に引き続き、前期比1.5倍程度の大きな飛躍を果たせそう。
この流れは、昨年の春ごろから始まり、同じころ・・・
僕の会社を一番応援してくれていた父親が亡くなった。
そう、
会社が苦しかった設立当初、
どうにもならず、もがき苦しんでいたあの時、
年金生活者であるにもかかわらず、借入の保証人になってくれたりした。
僕はその優しさに触れ、優しさに甘え、当然のようにすがりついたのだ。
この人に、もう二度と迷惑を掛けてはいけない。
夢だ、目標だと、大風呂敷広げていた自分の無力と情けなく思う気持ちが、
この時を境に、寝食忘れて猛烈な営業に駆り立てて行くことになる。
親の優しさなんて、鬱陶しいし面倒だと思っていたのに、
この時はじめて、本当の優しさとは、人の痛みが分かることだと理解したのです。
自分の痛みに手を差し伸べてくれたことに対する感謝、返却心、
もうそれは本当に強いものなのだ。
その父が亡くなって、
目に見えないものの大切さをあらためて知り、心境の変化が起きた。
何か自分の役割も変える・・・変わったな、と感じたのです。
それ以来、会社の業績に関しては、
業績がブレイクするキッカケをつくったスタッフに任せていても何の心配もすることはなかった。
ここからの自分の役割は、自分が持っている経営のスキルを余すことなく伝えていくことだと思ったのです。
僕は、
カメのように慎重で判断が遅い経営者であり、目の前の石橋を、叩いて叩いて…もう一度叩いて壊してしまうタイプ。
だけど…壊した石橋の瓦礫といっしょに地面に、河に落ちるようなアホではない。
ここから伝えることはただ一つ。
「油断するな、想定外の所に落とし穴があるから。」
実はこの言葉、父親にいつも言われていたことで、
毎回別れ際に言われたので「例えば何だよ!」
すると、
「今夜、帰りのクルマの運転だ」
ドキッとしたんだよね。
事業が上手くいっているときも、苦しい時も、関係なく想定外のことは、クルマの事故のように突然起きるから。
それで、すべてが終わってしまうこともあるんだ。
だから、僕がスタッフに伝えたいことは、要約すれば、たったそれだけの事なのです。
自分の引き際を考えるようになった近年は、
少しでも有意だと思える事は、時間を惜しまず話すし、長文だろうと文章でも伝えようと。
これは、
いまスタッフに対して自分に出来る、鬱陶しいと思われても、やらなければならない、
優しさだと思っている。