Perfumeの挑戦・・・ 中田ヤスタカの挑戦・・・ そしてオレの挑戦・・・ ② | 音楽三昧 ・・・ Perfumeとcapsuleの世界

Perfumeの挑戦・・・ 中田ヤスタカの挑戦・・・ そしてオレの挑戦・・・ ②

中田ヤスタカ氏の制作音源、特にPerfumeの音源の音響的な急速な変貌から、オレはクルマのオーディオシステムを4wayクロスオーバーネットワーク(Crossover network)化することに決めたことを前回のエントリーで書いた。






それで今回は、4way化に向けてのスピーカー・ユニットの選定について書くこととする。








現在の3wayを構成しているスピーカーシステムの響きは、オレにとってはほぼ理想に近いものであり、この傾向を引き継ぎたいと考えている。したがって、現在のスピーカーシステムをそのまま用いて、中音域の帯域を担当するスピーカー・ユニットを追加することで、4way化へ移行するというプランニングである。



オレが4way化に向けて準備を始めていたのが1年以上も前からで、オーディオ・オフ会の初期に参加された方にラゲッジ・ルームに既に準備していたスピーカーケーブルをお見せしたことがあったかと思う。正直に言うと1年前には、追加用のアンプや部材はすべて揃っていた。しかしなかなか取り組むことが出来なかった。そのネックになっていたのも・・・・ 



オレがスピーカーユニットの選定の際にこだわる部分は、特に振動板の素材と磁気回路で、この辺はオーディオが好きな方々はほぼ同じだと思う。その振動板の素材と磁気回路などを包括的に考えると、「これだ!!」といった、決定打となるスピーカーユニットが見当たらず、頓挫していたということなのだ。









さて、現在のオレの3wayシステムを構成しているスピーカーの振動板の素材は何かというと・・・・ 実は"紙(パルプ)" を用いたものを使っている(ツィーターはシルク素材の振動板)。





もしかすると、一般の方々は、






「なに?!?! 紙なんかを使っていて良い音するの?!?!」






とお思いになる方も少なくないかもしれないが(苦笑)、基本的にスピーカーの振動板の多くを占める素材は、やはり現在でも紙なのだ。もしかしたら、クルマのオーディオに取り組んでいる方で、最大手の某量販店のポップ表示で、このようなものを見かけた人も少なくないかもしれない。







"純正のスピーカーは振動板に紙を使っています。だから良い音がするハズがありません。○○ブランドのスピーカーは振動板にポリプロピレン(PP)を用いているので、良い音がします・・・・"






って、ホントかよ・・・ という(苦笑)。正直オレの聴感ではポリプロピレン振動板は独特の癖があって、あまり感心しない。まぁ、確かにハイエンドを手がけるメーカーである "DYNAUDIO" は一貫してポリプロピレン振動板を用いている。 "DYNAUDIO"の響きはさすがだが。




しかし "振動板に紙を使っているから良い音がしません" というのは短絡的すぎる(笑)。





それで、





"現在では振動板に紙以外の素材も使われているじゃないか。それはどうなのよ?? お前はそれを知らないだけじゃないのか?? 紙以外の最新の振動板を用いたスピーカーを聴いたことがないの?? "









と・・・ 言われそうなのだが・・・・ いぇ・・・ 違うんです。














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これはオレが今まで試してきたスピーカー・ユニットで、現在はバックアップ用、研究・試聴用で保存してあるものの一部を撮影したものだ(苦笑)。



左から説明すると、チタン振動板、アルミ振動板、紙振動板、マグネシウム振動板、ウッド(木材)振動板、ケブラー(アラミド繊維)振動板、紙振動板・・・・。





正直言うと、現在スピーカー・ユニットで用いられている振動板の素材の多くを、自分で入手して長期に渡ってテストしている(苦笑)。たぶん、しっかりと聴いたことがないのはベリリウム振動板ぐらいか・・・(店頭で少し試聴したことはあるが)。



こういうのは専門誌などを読んでいると、評論家の先生方が振動板の素材ごとの傾向を語ってくれるので、自分で買ってまでテストする必要があるかのどうかについては、オレ自身も甚だ疑問だ(苦笑)。まぁ、オレはトライしてみて、自分の耳で確かめないと気が済まない性格なのでこうなってしまった・・・・(笑)。









それで現在の3wayの前に組んでいた4wayは、ケブラー振動板を中核としたスピーカー・ユニットでシステムを構築していた。


ケブラーは防弾チョッキにも用いられる、強度が高いことで有名な素材であり、その強度は鉄の5倍を超える強度を持つと言われている。




ケブラー振動板のスピーカー・ユニットでシステムを構築していたときは、その響きはなかなかのもので、当時のオレはかなり満足はしていた。


ただし、やはりケブラー振動板特有のクセも感じており "それをどう生かすのか・あるいは抑えるのがカギだ"と考えていた(ちなみに金属系の振動板もそれぞれ特有のクセがあると感じている)。


実際に当時は音楽のジャンルごとにEQを設定しないとなかなか満足はいかず、Perfumeやcapsuleなどの中田ヤスタカ氏制作の音源はお世辞にも良い響きとは言えなかった。




それでその後に現在の3wayの中核を担っている、紙の振動板のスピーカー・ユニットがたまたま目に留まり、「まぁ、ちょっと試してみるか・・・・」と気軽な気分で入手してみると・・・・






「なんか・・・ 安心する響きだ・・・・ これで良いんだ・・・」 






という説得力を持った響きに、目から鱗のような気分だったことを今でも鮮明に覚えている。そしてすぐにレギュラーの座を射止めた。




しばらくして、紙の振動板のスピーカー・ユニットを用いたときのPerfumeやcapsuleなどの中田氏制作の音源の響きが素晴らしく心地よいことに気づく・・・ 正直驚いた。



中田氏制作の音源なら、むしろ最新の振動板のケブラーやチタンなどのほうが合うと思いきや・・・ 紙の素材が一番しっくりするという事実。







その時初めて気が付いたことは、






「中田さんが生み出す音源は音響的には装飾性を排除したナチュラルでフラットな響きにすることで、初めてその持ち味が生きてくるんだ・・・・。 そしてバランスの取れた正統派のアプローチをする人なんだ・・・」






ということだった。 "中田氏制作の音源" というほとんどの皆さんが頭に思い浮かべることは "新しさ" とか "刺激的" というものだと思う。楽曲的にはそうなのだが音響的には、やはりナチュラルでフラットな傾向の響きで初めてその持ち味が生きてくる。そしてバランスの取れた正統派のアプローチをする人なのだ。




さらに驚くことに、中田氏制作の音源が気持ち良く響くセッティングは、どのジャルンの音楽でも気持ち良い響きになるという・・・ 意外な展開に。




それからオレは装飾性を排除したアキュレート(accurate : 正確)な響きや、ソリッドでモニターライクな響きというのを意識するようになっていった。









さて話を戻すとして(苦笑)、現在の3wayの中核を担っている紙の振動板のスピーカー・ユニットは表面処理として高級バイオリンに用いられているワニスが塗布されており、表面の高度が高められている。オレの聴感では、厳密に言うと "紙の響き" というよりかは "木材の響き" により近いと感じていた。




そこで今回の4way化で採用する、中音域の帯域を担当させるスピーカー・ユニットは木材の振動板を用いた、いわゆる"ウッド・コーン・スピーカー" を用いたいと考えていた。そしてダッシュボードやAピラー、ドアミラー裏に取り付けることを考えると口径10cm以下、できれば口径8cm前後で行きたいところだ。



そのようなユニットがあるのかというと・・・ ある。そのユニットはホーム・オーディオ用ではあるが、実はオレはそのユニットを既に持っていて以前に用いていたことがある。そして現在の3wayを構築しているユニットとの音質傾向も似ていると感じている。したがって、つながりも良さそう・・・・ 一見、願ったり叶ったりのようだが・・・ 問題が・・・。




実は能率が悪く、低音域を担当させるユニットとの差が7dBもある・・・。まぁ、デジタルプロセッサーを用いているので、それぐらいは無理やりにでも合わせられるのだが、精神衛生上良くないし(笑)。








ということで計画から1年以上も頓挫していたのだが・・・・ 状況が変わった。









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* 背面のマグネット部。フロントフェイスはセキュリティの問題から割愛させていただく。








!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(笑)








今年に入って、このメーカーから新しいラインナップの販売が開始された。なんとこのユニットはバックロードホーン用*1のものなのだ。したがって強力な磁気回路を備えており、能率が高い。低音域を担当させるユニットとの差が1.5dB前後。願ったり叶ったりだ。





バックロードホーン用と言えど、Qtsが0.52前後とバスレフでもいけそうな値だ。まぁ、今回の4wayではバックチャンバーを用いて背圧をコントロールし、低音域はカットする戦法だが(笑)。










これでめでたくユニットも決定し、後はひたすら木工か・・・・ (苦笑)。











次回のこのシリーズは木工の工程をレポートしたいと思う。















<※注意>


今回4way化で採用したスピーカー・ユニットはホーム用であり、クルマ用のものではない。メーカー側は、車内のような過酷な環境下での耐候性を考慮した設計にはしていないと説明している。したがってメーカー側は車内で用いることは避けるべき旨がマニュアルに明記されている。その場合、振動板の割れなどが起こる可能性があるそうだ。



今回は、オレ個人の責任の下で実施していることをご理解頂き、ご注意いただきたい。



ただし、このメーカーの木材振動板のスピーカー・ユニットを車内で2年前後使ったことがあるが、全く問題なかったことも付け加えておくこととする。













<○補足>



「*1 バックロードホーン」とは・・・




スピーカー・ユニット後方から発生する低音をホーンによって増幅することで、小口径のスピーカー・ユニットでも豊かな低音域が得られる方式のこと。



ユニットの後方に複雑に折りたたまれた形状のホーン部分が存在する構造となり、ホーン部分は通常、全長1m~3mとなることで大型のエンクロージャーが必要となる。



欠点としては、長いホーン部を通過することで低音が中高音より遅れて到達するため、リスナーは違和感を感じることも多い。



個人的な意見で言えば、バックロードホーンの響きは正直に言えば、褒められたものではないと思う。しかしその副産物として、バックロードホーン用として軽量な振動板に強力な磁気回路を持つ高能率スピーカー・ユニットが多数生まれたことも否定はできないと思う。


そのおかげで、とりあえずオレは4wayに取り組めるわけだし(笑)。











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