雪の積もった街を見るとチョコレートブラウニーが食べたくなるのですが、かつてないほどに需要と供給が一致して今日の私はとても幸せです。
でも学校は途中で帰らされちゃったからまだチョコ配りきれてない。
幸村さんとかは今頃たいへんなことになってるぞ、と電車を待ちながら思い、
幸村さんの妹ちゃんから幸村さんに、とか、柳生さんの妹ちゃんから柳生さんに、とか、妹がいるキャラのチョコ受け渡し場面を妄想してほっこりしました。
柳生さんの妹ちゃんはきっとピュアで夢見がちで家族に大切にされてるお嬢様で、ふだんはおしとやかにふるまってるけどちょっとやんちゃがはみ出してるような子で、ものすごく可愛いんだ。きっと。ディズニープリンス予備軍みたいな子なんだ。
幸村さんの妹ちゃんはまだお兄ちゃんが本命で、お兄ちゃんのために毎年一生懸命綺麗にかざりつけして可愛い形にくりぬいたりしてチョコを作って、でもお兄ちゃんは来年までに食べきれるのか怪しいくらいの怒涛のチョコをどっさり持って帰ってきて家が菓子屋みたいになるのが毎年恒例だから、毎年「いらないかな……」ってちょっと不安になっちゃうに違いない。それで夕飯が過ぎても渡せないで、とりあえずと思ってお父さんにはこっそり渡すんだけど、こっそり渡したはずがお兄ちゃんにはばっちりバレてて、「父さんにはあるのに俺にはないんだね」って拗ねられちゃったりするに違いない。で慌てて渡したら「別にいいよ無理に渡さなくても」とか言ってお兄ちゃんもっと拗ねちゃって、あわわわってなってるとこに「俺のこと嫌いになっちゃったんでしょ?」とか追い打ちされて、「大好きだもん!」って半泣きになったところをぎゅっぎゅして「ごめんごめん冗談だよ」ってあのお兄ちゃんのことだからきっと言う。絶対言う。で、満面の笑顔で「ありがとう」って頭撫でて、精市お兄ちゃんは数百にのぼる(推定)貰ったチョコの中で一番最初にそれを食べてくれて、食べながらあんまり嬉しそうな笑顔なもんだから、ちょっと怒ってた妹ちゃんも笑顔になっちゃうわけです。そうに違いない。
(ところで本命チョコは、妹ちゃんも女の子ですから、そのうち学校の男の子に渡さねばならぬ日がきて、妹ちゃんはモテモテ男子であるお兄ちゃんに「どんなのがいちばん嬉しい?」って聞くんだけど、幸村さん的には妹ちゃんから貰えるチョコが毎年いちばん嬉しいわけで、どんなのもくそもないわけで、でもまあそんなこと言ったってどうしようもないと困りつつ、今年から妹ちゃんがくれるチョコはもう本命じゃないんだと気付き、そしたらなんだかさみしいやら感慨深いやらで、目の前でもじもじしてるちっちゃくて可愛くていじらしいこの子が本当に幸せになればいいと思って、自分が大切に育ててきた花の中から一番綺麗なやつを一輪摘んで、ラッピングにさり気なく組み込んであげて、「大丈夫だよおれの妹だもの(すさまじい説得力)」とか言ってあげて、妹ちゃんは「うん」って緊張を隠して笑って学校に行くんだけど、その日一日中幸村さんは心配で心配でしょうがなくてきっと無駄にうろうろしちゃって、テニス部の面々やその他の人々に「今日の幸村は幸村のくせになんなんだ、好きな人ができたのか地球が終わるのか」とものすごい不安を与え、まあそんなこんなでなんとか一日過ごして山盛りのチョコを持って家に帰ったら妹ちゃん先に帰ってきてて玄関まですっ飛んできて、やっぱりもじもじしながらでも今度は本物の笑顔で「ありがとう」って言ってちょっと涙ぐんでるんだけど一部の隙もなく本当に幸せそうにしてるわけで、幸村さんはもう超喜んで自分のこと×10くらい喜んででも必死にあらぶりを堪えて「頑張ったねおめでとう」などと穏やかな笑顔を浮かべてみせたりなどし、そしたら妹ちゃんが「これはお兄ちゃんに」ってもう本命ではないんだけどいつもと変わらない一生懸命作ったらしき形のチョコを差し出してきて、良く見たらちっちゃいカードがついてて「お兄ちゃん大好き」とか書いてあって幸村さんはほんとのほんとに幸せになって「ありがとう」ってもうお兄ちゃんぶるのも忘れて満面の笑顔で言い、それでそのあと部屋に引っ込んで妹ちゃんのチョコを食べながらカードをながめほんのちょっぴり泣くのであろう)
妄想がはかどりすぎました。慎みます。慎んでバレンタイン夢を書いてくるとしよう。
ハッピーホワイトバレンタイン!