★1962年 ポルシェ356カレラ2  最強の356 ~ 自動車カタログ棚から 150 | ポルシェ356Aカレラ

ポルシェ356Aカレラ

★20世紀の自動車カタログ、鉄道車輛カタログ、玩具・模型カタログ、ビートルズ、ショパン、ヴィンテージ・ポルシェ、草軽電鉄 etc


★気象庁は今日2013年7月6日(土)、関東甲信地方が梅雨明けした可能性が高いと発表しました。
完全に梅雨明けとなると、今年は平年の7月21日より、2週間以上、15日も早いとのことです。62年前の1951年(昭和26年)に気象庁で統計開始以来、これは史上4番目の早さになるとのこと。過去62年で4番目に梅雨明けが早いということは、大まかには今年は15年に一度の長い夏になるということになります。私のいる東京郊外では今日の午後の気温が34度を超えてギラギラと輝く夏の日差しが強烈です。この暑さが向こう2ヶ月位は続くと思うとちょっと気が重い。でも夏は夏らしく暑い方がいいとも思う。熱中症対策などをしながらこの夏を乗り切りたいものです。みなさまも体調に気をつけながら例年より暑くなると予想されている今年の日本の夏を是非満喫されてください。



★この「自動車カタログ棚から」シリーズも漸く今回で150回目を迎えました。お蔭様でシリーズを始めた頃に比べてアクセス数やアメブロでの順位が飛躍的に上がり、ペタをサボっても順位が全く下がらないことからアメブロ以外から車名等の検索で来てくださっているというケースが多いようです。150記事というと、1記事1頁にダイジェストしても150頁、1記事2頁に纏めれば300頁の分厚い本が出来る計算です。もっともネット上で自由に見られる情報を紙媒体にしても需要は殆ど見込めないかもしれません。実は記事を一つ創るのには結構な時間と労力がかかっています。最近、このパワーを他のことに注ぎ込めばもっと他に出来ることがあったかなと思うこともあります。でも、まだまだ紹介していない車種は山のようにあります。例えば日本車では、ブルーバード、コロナ、カローラ、サニーといったメジャーな車種は一部営業車仕様を除いてまだ一度も記事にしていません。これには売れたクルマはカタログの種類が多過ぎて記事にするのが難しいという理由もあります。また個人的に好きなバスやトラックも記事にしていない車種が山のようにあります。いつまで続けられるか判りませんが、興味を持って見て下さる方のためにこれからもマイペースで続けたいと思います。
昨年末のシリーズ100回の節目はポルシェ904でしたので今回150回の節目も私の一番好きなメイクスであるポルシェです。


★ポルシェ356はフェルディナント・ポルシェ(Ferdinand Porsche;1875年9月3日-1951年1月30日)の息子、フェリー・ポルシェ(Ferdinand Anton Ernst Porsche;1909年9月19日-1998年3月27日)が設計した、高性能かつ実用的な小型スポーツカーでありポルシェ初の量産モデル。
1948年(昭和23年)3月にプロトタイプが完成し、翌1949年(昭和24年)3月のジュネーブ・ショーで公式デビュー。1965年(昭和40年)9月までの15年5ヵ月間に76303台が生産された。フォルクスワーゲン・ビートルと同じ駆動方式RRが採られ、コストダウンの観点や部品調達の容易さから、エンジン、サスペンションなどのパーツも初期の356はフォルクスワーゲンの物をベースとしていた。RRの駆動方式は、現在の911にまで受け継がれポルシェの伝統となっている。

★ポルシェ356の中で特に高性能を誇った4カムエンジンのスペシャルモデルが「カレラ(Carrera)」。その名はポルシェ356がロードレース「カレラ・パナメリカーナ」に優勝したことを記念して付けられ、現在の911に至るまで受け継がれている。
最初のカレラは1955年(昭和30年)秋にデビューした356A1500GSカレラで、550スパイダーのエンジンをデチューンした1498cc547型4カムエンジンを積んだDX(100ps)とGT(110ps)、356A末期の1959年(昭和34年)には排気量を1588ccに拡大した356A1600GSカレラに移行しDX(105ps)とGT(115ps)が登場した。この356Aカレラにはクーペ、カブリオレ、スポードスター全てのボディが載り、元々生産台数が少ないカレラは現在では稀に市場に現れると高額なプライス(3000万円前後)が付けられている。中でも特にカレラ・スピードスターは少なく究極のコレクターズ・アイテムとして天文学的なプライスが付く。
そして、1961年(昭和36年)秋、最強の356である356B2000GSカレラがデビューする。
カレラ2は俗称とも言われるが、カタログ表紙に印字された車名は「ポルシェカレラ2」であり356の文字が入らない。カレラ2はレーシング・ポルシェRS61や904の587/1型1966cc4カムDOHC130psエンジンを搭載し、最高速200km/h以上の性能を誇った。ディスクブレーキは1962年シーズンに向けて4台製作されたF1レーサー「ポルシェ804」から流用され、そのままサーキットでも戦える356であった。
ちょうど今から50年前の1963年(昭和38年)5月3日・4日に鈴鹿サーキットで開催された第1回日本グランプリにはポルシェの当時のレーシング・マネージャー「フォン・ハンシュタイン」が自ら操縦する赤いボディの356カレラ2で出場してラップタイム2分47秒5、平均時速127.24km/hを叩き出した。これが日本ではレースに公式出場した最初のポルシェとなった。
カレラ2は1963年7月に356がディスクブレーキ装備の最終モデル356Cとなった後も殆ど変更のないまま少数が生産された。各ボディタイプが造られた356Aカレラと異なり、カレラ2のボディタイプはクーペのみであった。ポルシェ356の時代の日本は未だ外車輸入自由化前であり、一部入札制で三和自動車が輸入した356はノーマルであっても途方もなく高価だったので、数が少なく本国でさえ非常に高価だったカレラの日本への正規輸入はされなかったようだ。現在日本に棲息する356カレラはほぼ例外なく後年、特にバブル期以降に日本にやって来た車両と思われる。

【主要スペック】 1962年ポルシェ356B2000GSカレラ (Porsche Carrera2)
全長4010mm・全幅1670㎜・全高1330㎜・ホイールベース2100㎜・車重1020kg・RR・587/1型空冷水平対向4気筒DOHC1966cc・最高出力130ps/6200rpm・最大トルク16.5kgm/4600rpm・全輪ディスクブレーキ・変速機4速MT・乗車定員4名・最高速200km/h

●1963年発行 ポルシェ356Cカレラ2レーシング 公式写真(縦12×横16cm)
第1回日本グランプリ前の1963年3月15日に当時のポルシェの正規輸入代理店・三和自動車が広報用に配布した写真。フロントトランク中央のメッキモールが取り外されガソリン給油口が外出しされたレーシング仕様。ハンシュタインが日本GPでドライブした赤い車両とは色が異なるが外観は同一。日本GP用に赤に塗り直されたのかもしれない。
$1959PORSCHE356Aのブログ-写真(表)
裏面には356イラスト入りの三和自動車の印が押され、鈴鹿の第1回日本GP出場車であることがタイプ印刷されている。
$1959PORSCHE356Aのブログ-写真(裏)
1963年第1回日本グランプリでフォン・ハンシュタインがドライブするポルシェ356Cカレラ2レーシング
$1959PORSCHE356Aのブログ-日本GPカレラ2


●1962年発行 ポルシェ356カレラ2 専用カタログ(A4判・独英仏3ヵ国語併記・2つ折)
ポルシェ・カタログナンバーW295。2部は全く同じカタログナンバーで表紙も内容も一見同じだが、一つは1962年発行で裏面スペックにType356B/2000GSと印字があり、もう一つは1963年発行で裏面スペックにType356C/2000GSと印字されている。また、中頁のイラストをよく比べて見ると1962年の356Bではホイルキャップの中央部分が盛り上がっており、1963年の356Cでは四輪ディスク化されたノーマル356Cと同様に扁平タイプのホイルキャップに変化している。
$1959PORSCHE356Aのブログ-表紙1部
$1959PORSCHE356Aのブログ-表紙2部

※中頁から
1962年356B
$1959PORSCHE356Aのブログ-62年1中車両
$1959PORSCHE356Aのブログ-62年2中エンジン
$1959PORSCHE356Aのブログ-62年3中スペック
よく見ると左側には356B2000GSカレラの文字
$1959PORSCHE356Aのブログ-62年4中拡大356B文字

1963年356C
よく見ると上の356Bとはホイルキャップが変っていることに注意
$1959PORSCHE356Aのブログ-63年1中車両
$1959PORSCHE356Aのブログ-63年2中エンジン
$1959PORSCHE356Aのブログ-63年3中スペック
よく見ると左側には356C2000GSカレラの文字
$1959PORSCHE356Aのブログ-63年4中356C拡大文字



★オマケ(その1): ミニチャンプス 1/43スケール ポルシェ356Cカレラ2
PMA品番:ルビーレッド062362、スカイブルー062364。356カレラ2の当時物モデルカーはなく(356Aカレラはプラ製の1/43仏ノレブ製が出ていた)、これは近年のダイキャスト製ミニカー。ルビーレッドとスカイブルーはどちらもポルシェ356Cの11色あった純正ボディカラーのひとつ。
$1959PORSCHE356Aのブログ-ミニチャンプス(1)
$1959PORSCHE356Aのブログ-ミニチャンプス(2)
$1959PORSCHE356Aのブログ-ミニチャンプス(3)
$1959PORSCHE356Aのブログ-ミニチャンプス(4)
$1959PORSCHE356Aのブログ-ミニチャンプス(5)


★オマケ(その2): スイス・ポルシェ356クラブの画像集
もし画像が出ない場合は、YOUTUBE下の歯車印をクリックして240pにすると出てくると思います。




※ポルシェ356に関しては、過去にもこの自動車カタログ棚シリーズ7回目で1956年356A、38回目で1953年preAを紹介していますので併せてご覧ください。