★1965年 日野コンテッサ1300クーペ 麗しき伯爵夫人 ~自動車カタログ棚から 040 | ポルシェ356Aカレラ

ポルシェ356Aカレラ

★20世紀の自動車カタログ、鉄道車輛カタログ、玩具・模型カタログ、ビートルズ、ショパン、ヴィンテージ・ポルシェ、草軽電鉄 etc


★現在はトラック・バスの専業メーカーである日野自動車 が、戦後、トヨタと業務提携する1967年(昭和42年)まで、ライセンス生産の日野ルノー4CVとそれに続く自社開発のRR車コンテッサ900およびコンテッサ1300といった乗用車を生産していたことは、カタログ棚シリーズ033の試作車コンテッサ900スプリントの回でご紹介した。
そこで今回はイタリアの名デザイナー ジョバンニ・ミケロッティ(Giovanni Michelotti : 1921年-1980年)による非常に美しいボディを身に纏い実際に市販された日野コンテッサ1300クーペ (型式PD300)をピックアップ。

★コンテッサ1300 については忘れられない思い出がある。私が小学校高学年の頃、コンテッサ1300をこよなく愛するクラスメイトがいて、彼の家に遊びに行くとコンテッサ1300のミニカーばかりが何十台もあって目を丸くして驚いたものだ。彼に訊いても、「コンテッサが好きなんだ」としか言わなかったのだが、子供の心も惹きつける美しいデザインの日本車は空前絶後かもしれない。その後、コンテッサ1300を愛したそのクラスメイトは若くして事故死したのだが、コンテッサ1300を見ると今でも彼の笑顔を思い出してしまう。
コンテッサ1300のデザイン上のポイントは、そのプロポーション自体の良さに加えて名鉄パノラマカーのような顔立ちと垂直に切り立ったリア一面の冷却グリルといった個性的なディテールにもあり、それは1960年代当時の子供の心にも強く響くものだったと思う。

★コンテッサ1300 は、まず1964年(昭和39年)9月に4ドアセダンが発売され、翌1965年(昭和40年)4月にクーペが発売された。当時の同クラスの日本車の中では性能・スタイル共に傑出しており、欧州等へも輸出されたが、リアエンジン・リアドライブの特異な特性や販売網の弱さもあり国内販売は不振で日野がトヨタ自動車と提携した1967年(昭和42年)には生産を終了した。
美人薄命と言うけれど、コンテッサ1300は2年余りというあまりにも短い生涯だった。

★コンテッサ1300クーペ は、エンジンの圧縮比をセダンの8.5から9.0に上げ、出力を55psから65psに強化し、最高速は145km/hであった。900スプリントのモチーフも採り入れた低く流れるデザインは名デザインの多い1960年代の日本車の中でも屈指の美しさを誇る。特に斜め後ろから見た美しさは傑出している。
4灯ヘッドライトと細いピラー、長いリアデッキのミケロッティ・デザインのコンテッサ1300は、セダン・クーペ共にカーデザインの本場イタリアを始めとする海外のエレガンス・コンクールで度々大賞を受賞したこともこのクルマの並外れた美しさを証明している。

【主要スペック】
全長4150㎜・全幅1530㎜・全高1340㎜・ホイールベース2280㎜・・車重945kg・RR駆動・水冷OHV 5ベアリングクランクシャフト1251cc・最高出力65ps/5500rpm・最大トルク10kgm/3200rpm・乗車定員4名・最高速145km/h

●1965年 4月 日野コンテッサ1300クーペ 販促用ポストカード
$1959PORSCHE356Aのブログ-コンテッサ絵葉書

●1965年2月発行 日野コンテッサ1300クーペ 英文輸出カタログ(左ハンドル: 型式GR100)
$1959PORSCHE356Aのブログ-コンテッサ英文

●1965年4月発行 日野コンテッサ1300クーペ 簡易カタログ
$1959PORSCHE356Aのブログ-簡易表紙

※中頁から
$1959PORSCHE356Aのブログ-簡易中頁

※裏面スペック
$1959PORSCHE356Aのブログ-簡易裏面スペック

●1965年5月発行 日野コンテッサ1300クーペ 本カタログ
表紙は文字のみのシンプルなもの
$1959PORSCHE356Aのブログ-1965年5月本カタ表紙

※中頁から
$1959PORSCHE356Aのブログ-1965年5月本カタ扉赤いクルマ

$1959PORSCHE356Aのブログ-1965年5月本カタ真横ゴルフ場

$1959PORSCHE356Aのブログ-1965年5月本カタ室内

$1959PORSCHE356Aのブログ-1965年5月本カタ・エンジン

※発売当初のボディカラーは、レッド、ブルー、グレイ、モスグリーンの4色(後にホワイト追加)
$1959PORSCHE356Aのブログ-1965年5月本カタ・ボディカラー

※スペック (858000円と価格が手書きされている)
$1959PORSCHE356Aのブログ-1965年5月本カタ・スペック

●1966年8月発行 日野コンテッサ1300クーペ 本カタログ
非常に美しい表紙写真
$1959PORSCHE356Aのブログ-1966年8月本カタ表紙

※中頁から
$1959PORSCHE356Aのブログ-1966年8月本カタ真横の白

$1959PORSCHE356Aのブログ-1966年8月本カタ室内メーター

$1959PORSCHE356Aのブログ-1966年8月本カタ林の中別荘


★オマケ: 1965年 日野コンテッサ1300クーペ ミニカー
左: ダイヤペット147番 1/40スケール 、 右: モデルペット29番 1/42スケール
何れも私が子供の頃に今は亡きクラスメイトがボディーカラー違いで山のように持っていた思い出のミニカー。
$1959PORSCHE356Aのブログ-コンテッサクーペミニカー前側

$1959PORSCHE356Aのブログ-コンテッサクーペミニカー後ろ側


註: 車名のコンテッサ : contessa とはイタリア語で「伯爵夫人」の意


追記: コンテッサ1500のこと
1966年(昭和41年)に1500ccのエンジンが試作され、コンテッサ1500として販売される予定だったが、トヨタとの業務提携により中止となった。現在、この試作エンジンは「幻のコンテッサ1500用エンジン」として東京・八王子の日野オートプラザに展示されている。