★1951年 ダイハツ ビー(Bee) ~自動車カタログ棚から 012 | ポルシェ356Aカレラ

ポルシェ356Aカレラ

★20世紀の自動車カタログ、鉄道車輛カタログ、玩具・模型カタログ、ビートルズ、ショパン、ヴィンテージ・ポルシェ、草軽電鉄 etc


★軽自動車販売台数シェア1位のダイハツ(「大阪」の「発動機製造」が転じた社名)は、1907年に創業し1930年(昭和5年)に三輪トラックの製造を始め、戦後、昭和30年代まではマツダと並ぶ三輪トラックの主要な製造メーカーだった。
ダイハツ初の乗用車が今回ご紹介する1951年(昭和26年)10月発売のダイハツ ビー(Bee)。
ダイハツ ビーは前1輪、後2輪の三輪乗用車で、強制空冷OHV・4サイクル水平対向2気筒540cc・13.5HPエンジン(カタログに記載されているデータ。804cc・18HPという別データあり)をリアに搭載し後輪を駆動した4人乗りのRR車。全長3950mm・ホイールベース2400mm・車重800kg、3段変速で最高速78km、発売価格55万円。1951年から60年以上の時を経た現在では物価に40倍程度の差があるので、現在の貨幣価値では2200万円位に相当するだろうか。主にダイハツの地元関西でタクシーとして使用され、発売翌年1952年には僅か1年で生産を終えた。製造台数はMax300台と言われる。
ダイハツ初の四輪乗用車の発売は、この三輪乗用車ビーの発売から12年後の1963年(昭和38年)11月のコンパーノ・ベルリーナまで待たねばならなかった。

●現存するダイハツ ビーは僅か3台と言われ、そのうち実動状態にある1台は映画「ALWAYS 続・三丁目の夕日」に登場したが、映画の舞台である1959年(昭和34年)の東京に8年落ちの稀少なダイハツ ビーがいることは考えにくく時代考証的には誤っている。
以下は自動車史研究の第一人者 五十嵐平達氏がダイハツ ビーについて残された記述(抜粋)。
「三輪乗用車としてユニークな構想で発売されたリアエンジン車。世界的にみると1947年にアメリカで発売された三輪乗用車Davisに刺激を受けて生まれたように思えるが、機構的には全く異なりダイハツはリアエンジン車であった。東京ではサンプルカー以外は見ることはなかったが大阪では黒塗装や赤塗装が自家用でも走っているのを多く見た。市販は1年のみであったが、あの時期に於けるダイハツの開発意欲と技術力には自動車界全体で敬意を表していて悪い情報は入ってこなかった。この車の目的は技術の研鑽であったらしく販売面での準備はカタログを発行しただけに止まった」

●1951年12月発行 ダイハツ ビー カタログ
※ビー=Bee=蜜蜂がカタログの随所に描かれている。
$1959PORSCHE356Aのブログ-1951年ダイハツビー表紙

※中頁から抜粋
$1959PORSCHE356Aのブログ-1951年ダイハツビー中頁(1)
$1959PORSCHE356Aのブログ-1951年ダイハツビー中頁(2)

※リアエンジンのためプロペラシャフトがなく車室が広いことの説明
$1959PORSCHE356Aのブログ-1951年ダイハツビーリアエンジン説明

※独立懸架サスペンションの説明
$1959PORSCHE356Aのブログ-ダイハツビー独立懸架説明

※裏面スペック+二面図
$1959PORSCHE356Aのブログ-1951年ダイハツビー裏面スペック

●1956年5月発行ダイハツ広報誌より ダイハツ ビーが発表会キャラバン隊の先導車として使用されている貴重な写真。白ボディに赤ドア/赤ボンネット、ルーフに拡声器搭載。
$1959PORSCHE356Aのブログ-1956年ダイハツビーキャラバン隊

●1/43スケールのダイハツ ビー (スタジオKAN・ストリームライナーシリーズNo.36)
$1959PORSCHE356Aのブログ-スタジオKAN1-43ダイハツビーフロント
$1959PORSCHE356Aのブログ-ダイハツビー1‐43リア

●ダイハツ ビーと同時期の三輪乗用車「ヂャイアント スター号」AA-5型カタログ(新愛知起業/名古屋)
※全長3500mm/ホイールベース2300mm/水冷単気筒636cc/19馬力/5人乗りのバーハンドルで三輪トラックの荷台にシートを付けて客室に替えたような幌型乗用車。この車もタクシーとしての使用が中心だったと思われる。
$1959PORSCHE356Aのブログ-ヂャイアントスター号・表側
$1959PORSCHE356Aのブログ-ヂャイアントスター号・裏側頁