トム・ハンクスの贈り物 | ロンドンつれづれ

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Peter Alexander, ピーター・アレキサンダーというアメリカのジャーナリストが、ツイートした記事が愉快。

 

俳優のトム・ハンクス氏がホワイトハウスの記者クラブに、エスプレッソ・コーヒーメイカーをプレゼントしたそうだ。

 

 

過去にもプレゼントしているそうだが、今回のはトムからのメッセージつきでパンチが効いている。 愛用のアンティークのタイプライターを使って、トムはジャーナリストたちにこんなメッセージを送った・・・。

 

 

"To the White House Press Corps,

 

Keep up the good fight for Truth, Justice, and the American Way.

 

Especially for the Truth Part.

 

Tom Hanks"

 

 

「ホワイトハウスの記者諸君へ

 

真実と、正義と、アメリカのやり方を守るために戦い続けてくれたまえ。

 

特に、真実のために。

 

トム・ハンクス」

 

 

 

マスコミにもピンからキリまであるが、私は欧米の質の高い方のジャーナリズムは尊敬している。

 

 

権力にこびることなく、権力がこれ以上力を持たないために戦ってきた人たちだ。

 

そして、戦場へも恐れずにカメラとマイクをもって入っていった人たちなのだ。イギリスでも、誰と話すよりも質の高いジャーナリストと話をすることが面白い。彼らは本当にものを良く知っているし、よく考えている人たちだし、話も上手なのだ。

 

つい最近、トランプ大統領は、自分に都合の悪いことをすっぱ抜くメディアを口汚く攻撃し、BBCやガーディアンなど外国のメディアを含む多くの新聞やテレビといった媒体を、大統領の記者会見から排除した。これはアメリカの歴史上、例を見ないことである。(実際、許されるのだろうか?国民の知る権利は?) 

 

つまり、自分にすり寄る偏ったメディアだけを選んで、情報を渡す、ということである。 こんなやり方ではいくらでも情報操作ができるではないか。

 

真実を伝えるために命をもかける伝統のある、正当なジャーナリズムを根拠もなくつぶしにかかる独裁者には危機感を覚えざるを得ない。 同じ共和党内からも批判がでているぐらいだ。

 

排除されたメディア諸氏には、トム・ハンクス氏の言う通り、「真実、正義のために、負けるな!」と言いたい。

 

欧米では、これまでジャーナリズムが真っ先に悪や不正を暴いて、社会を正してきたのだ。一般人の知りえない情報を命を危険にさらして暴露し続けてきたのもアメリカがこれまで誇るジャーナリストたちだった。ウオーターゲート事件では、民主党本部の盗聴をした共和党ニクソン大統領がその職を追われたのだが、その際に活躍したのが、ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズといった、今トランプが目の敵にしている新聞の記者たちだった。

 

昨年のパナマ文書のように、世界の富や力を持つ人たちにとって都合の悪い情報がジャーナリストによって暴かれることもある。このような巨大な悪に立ち向かうには、ジャーナリストの存在は必須なのだ。

 

弱いものや貧乏人のためにペンを武器に戦ってきた多くのジャーナリストのことを忘れ、自分を批判するメディアを嘘つき呼ばわりする大金持ちの独裁者の言うことに、アメリカ人たちが惑わされることの無いよう祈っている。 そこまで愚かにならないことを・・・。ニクソンの時と同じように、良識を持って新聞と大統領、どちらがウソをついているかしっかり見抜けることを・・・。

 

msn news

 

P.S. (追記)

ところで、トランプはオバマ大統領時代にできた精神病の患者の銃の購入規制を廃止する案にサインしたとか。「アメリカをもっと安全に!」とモスリム・バンを叫ぶ割には、怖いことをするんですな…。精神病の人でも、どんな人でも銃が買えちゃう、ってことですか? (USA Today)