10歳でトリプルアクセル、クワドサルコウ! | ロンドンつれづれ

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International Figure Skating

インターナショナル・フィギュアスケーティングのフェイスブックに、またスティーブン・ゴゴレフ(ステファン、かな?この名前はいろんな発音があるので難しい)くんのことが載っていた。(27 July at 09:50 )

Brian Orser just keeps producing budding champions. Canada's Stephen Gogolev is only 10 years old but he is already turning heads repeatedly landed triple Axels and quad Salchows in practice.

ブライアン・オーサーは、チャンピオン製造を続けている。カナダのスティーブン・ゴゴレフ君は10才で、練習ではもう3Aや4Sを跳んで人々の目を引いている。





Remember the video of 10-year-old Stephen Gogolev landing a triple Axel and a quad Salchow that we ran a couple of months ago? This weekend he won the Skate Detroit novice men's title with 158.03 - 33 points ahead of second place.

数ヶ月前に紹介した10歳のスティーブン・ゴゴレフくんを覚えてるかな?トリプル・アクセルとクワド・サルコウを降りていた彼を?今週末、彼はノービスのスケートデトロイトで2位に33点の差をつけて、優勝(158.03点)。


Jacque Tiegs reports: "Senior pairs had just ended in C Rink and everyone ran to B rink to watch him. I have never seen so many people watch mens novice (over 150 and there could have been even more). When he came out to the lobby he was mobbed. He looked so little in the middle of all those people."

「シニアのペアが終わって、みんなノービスのリンクに駆けつけて彼の滑りを見たんだ。150人以上いたと思うけど、ノービスにそんなにたくさんの見学者が集まることなんてなかったよ」とレポーター、ジャック・ティーグスはいう。「ロビーでもみくちゃにされていたけれど、本当に小さかったなあ。」

彼のフリーの演技はこちらで。








ところで…IFSのフェイスブック上では「彼(ゴゴレフ君)はどこ出身?」「カナダですよ」「カナダのスケーターはピュアなカナダ人じゃない人が多いね。名前でわかる」というやり取りがあって、IFSスタッフが「西洋の国々では通常日本と違って、国民の民族的出自でなに人か決まるんじゃなく、その人が生まれたのがどの国かで決まるんですよ。両親がどこから来たかとか民族の血で国籍がきまるわけじゃない。パトリックにしても他のスケーターにしても、カナダ人じゃないと言われることは大変に傷つくと思います。彼らは正真正銘のカナダ人なんですから。」というコメントをしていましたが、欧米ではこういうことには大変に気を使います。

普通の会話の中で、相手に「どこ出身?」と聞くことも遠慮するぐらいです。私も日本人ですので悪気もなく、つい白人系ではない人に「(もともと)どこから来たの?」と聞いてしまうことがあるんですが、気がつくと自分はめったに「なに人?」とか「どこ出身?」と聞かれることは少ない。特に、白人系英国人からは聞かれません。そういうことを大変に気をつけているのだと思います。多分、この女性は「名前から判断すると中国系、あるいはロシア系のスケーター達だ」、ということを、まったく悪気がなく言いたかったのだと思います。

しかし、アメリカやカナダのように移民で形成されている国では、「ピュア(生粋)のカナダ人」というのはいったい誰でしょうか。もともと住んでいた、ネイティブのインディアンの人たちでしょうか。それとも日本人は「アメリカ人、カナダ人」というのは白人系の人たちのことだけを思い浮かべるんでしょうか。


そのあと数人からのやりとりもあって、人種が大変に多様でいろんな問題や軋轢を抱えつつ暮らしている西欧の社会と、とりあえず人口の殆どが大和民族だと思って暮らしている日本人の持つ意識と危機感の違いだと思いました。

私たち夫婦も、スケートの競技会をテレビをみながら「フランス代表と言っても、名前はロシア系だよね。ロシアから移籍してフランス代表ででてるんだよ。」などと会話をすることはあります。夏季のオリンピックなどでもアメリカ、フランス、英国代表と言っても選手のほとんどが「アフリカ系」や「カリブ系」ということもあります。予選を勝ち残った人たちがある民族系に偏ることが多いのでしょう。しかし、現代社会において、もともとの先祖や親の出自は国籍には関係ないという意識を強く持っている人たちはたくさんいます。


確かにフィギュアスケートは、身体の線のほっそりしたアジア人にむいているのかもしれません。またバレエなどを幼い時から続けているロシア式の訓練も強みかもしれません。つい悪気もなく言ってしまった言葉を指摘されてしまった彼女は気の毒だな、と思いつつ、ソーシャルメディアで発言する時には自分も気をつけなくてはいけないと、改めて思ったことでした…。