緋色のヴェネツィア | not simple.

not simple.

あるときはさすらいの本読み、あるときはジャンル無用の映画好き、またあるときは、B級グルメの備忘録

緋色のヴェネツィア―聖(サン)マルコ殺人事件 (朝日文芸文庫)/塩野 七生
¥630
Amazon.co.jp
【Amazonより引用】
16世紀前半、海の都ヴェネツィアはトルコ、スペイン、神聖ローマ帝国の3強大国に挾撃され国家存亡の危機に瀕していた。
国難にあたる若きヴェネツィア貴 族と謎のローマの遊女、貴婦人との秘めた愛を胸に野望を抱く元首の庶子…。
権謀術数が渦巻く地中海世界を描いた、ルネサンス歴史絵巻第1部。

-------------------------------

塩野さんの小説です。
私が迷ったとき読み直す書ランキング上位に入る一冊です。

マルコ・ダンドロという架空のヴェネツィア貴族が出てきますがそれ以外はほぼ歴史上存在していた人がでてきます。(遊女オリンピアも架空ですねw)

もうなんというか切ないです。
アルヴィーゼ・グリッティが!
元元首(ドージェ)の息子であり、才能もあふれているのに、金の紳士録には掲載されない。
生まれだけはどうにもできず、それゆえに葛藤が生じる。
もうなんともいえずセクシーな設定!・・・というか、実際そういう人物がいて事件もあったんですけどね。

またクールな塩野さんらしいオリンピアの目線が素敵です。
男って馬鹿だよなぁ、といっしょにタバコとかふかして斜めから目線で思わず見ちゃいそうです。

迷ったときに読み直すのは、マルコが迷ったときにどういうことを考えてその迷いから抜け出るのかということが書いてあるからです。
また仕事に対しての義務(というか仕事でもなく国家に対する義務だからもっと大きいですね)というものに対しての姿勢は読んでいて背筋が伸びるものがあります。