リベルタスの寓話 | not simple.

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あるときはさすらいの本読み、あるときはジャンル無用の映画好き、またあるときは、B級グルメの備忘録

リベルタスの寓話/島田 荘司
¥1,890
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【Amazonのあらすじから】
進化し続ける天才、最強の新作!!
ボスニア・ヘルツェゴヴィナで、心臓以外の臓器をすべて他の事物に入れ替えられる、凄惨な切り裂き事件が起きた!
MMORPG(オンライン・ゲーム)の闇を御手洗潔が暴く!

中世クロアチアの自治都市、ドゥブロブニク。ここには、自由の象徴として尊ばれ、救世主となった「リベルタス」と呼ばれる小さなブリキ人間がいた――。ボ スニア・ヘルツェゴヴィナの一都市モスタルで、心臓以外の臓器をすべて他の事物に入れ替えられるという、酸鼻をきわめる殺人事件が起きた。殺されたのはセ ルビア人の民族主義グループの男たちだが、なぜか対立するモスリム人の男の遺体も一緒に残されていた。民族紛争による深い爪痕と、国境を越えて侵食するオ ンライン・ゲームによる仮想通貨のリアル・マネー・トレード。2つの闇が交錯するとき、複雑に絡み合う悲劇が起こる。

同じく民族紛争を題材とした中編「クロアチア人の手」も同時収録

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ちょっと前に読み終わってたのですがなんか書いてませんでした。
島田荘司はもともと好きだし、この装丁は本当に素敵です。
なんというか異形な世界を書くというところというか、異形な世界自体がトリックであるというところがというか。

なのですがちょっとつっこみ。
> MMORPG(オンライン・ゲーム)の闇を御手洗潔が暴く!
出版社頼むわ。。。
これすごいある意味ネタばれ!
これわかっちゃってから読むのと読まないとでは迷宮感というか、いつも迷わされていてそんなことありえないのにどきどきしちゃうところが9割くらい減ります!
読み終わったあとモッキーっ(怒)って感じになりました。

この本には2作はいっていますが両方ともある人種問題が鍵になってます。
「ハンティング・パーティ」の舞台でもありますがボスニア・ヘルツェゴビナです。
民族、宗教という悲劇の暗さ、深さ、解答のなさ・・・日本で育った私には到底理解できないとばっさり切るには重すぎるのですが、理解したくとも素養がなさ過ぎてどうにもこうにも。。。。
ずっと下を向いて足踏みするしかないようなそういうものが扱われています。

ミステリー部分というよりもそちらに気をとられてしまいました。
もう1作はあちこちに書かれていますがちょっと島田さんらしからぬ精度の低さを感じます。
文庫でもいいと思いますが読む前にボスニア紛争について少しだけ見てから読むといいかもしれませんね。