宿縁の矢 | not simple.

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あるときはさすらいの本読み、あるときはジャンル無用の映画好き、またあるときは、B級グルメの備忘録


宿縁の矢―ヴァルデマールの使者〈2〉 (C・NOVELSファンタジア)/マーセデス ラッキー
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女王の矢 の続編です。
あと1巻分で主人公タリアの物語は終わるはずです。
すでに時系列的にはこのあとの作品である「ヴァルデマールの風」シリーズを読み始めていますので、タリアとクリスの経験する恐ろしい事態はなんとなく見知っているので早く3巻出てくれないかなーという気持ちでいっぱいです。

前巻では辺境の男尊女卑の故郷からやっと自分らしく生きるための場所を手に入れたタリアですが、いよいよ学校を卒業し、正式な使者としての役目を担うために、研修のような任務に旅立ちます。
彼女を指導する先輩として、クリスが選ばれふたりは担当区域に向かっていくわけですが、やはり2人の人間が1年以上何かをたった二人で共有するというのは不協和音がどうしても出てしまいます。

お互いの至らないところ、許容できる範囲ではない言動という部分があるのですが、長丁場の旅路なので言いたいことも言えず悪い方へと転がってしまい、タリアは自分の能力に疑問を感じてしまいます。
またその能力自体が学校時代はよく似た能力と思われていたため、コントロールを失ってしまい、クリスもタリアも追い詰められちゃうわけですがー。

この作品の特徴ですが、大きな流れすぎてそれぞれがこまかエピソードの連続です。
これといった大きな事件はあまり起こらないので若干地味な印象を持ちますが、登場人物たちの心の揺れや変化は非常に細やかです。

マイミクさんの感想のところにはレスしたのですが、クリスという鈍感な男ってどこにでもいそうな気がします。
自分の容姿にうぬぼれており、その鈍感さがタリアを余計追い詰めていきます。
そのあたりが滑稽なほどの行き違いで面白いんですけどね。