僕たちの大好きな団地
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- 長谷 聡, 照井 啓太, 青木 俊也, 原 武史
- 僕たちの大好きな団地―あのころ、団地はピカピカに新しかった!
まにあっくすぎると。ええ、即買いでした。
1ページ目を開けるなり、目に飛び込んできたのが、
「今、団地を見ずして、いつ見るんだ!」
押忍!すんませんでした!自分今から団地見に行きます!!
みたいなカンジで過度に団地愛にあふれた一冊でした。
さて、そんな団地本ですが、団地の聖地は赤羽台団地だそうです。
知りませんでした。普通知らないと思います。
赤羽台団地で有名なのが8棟あるスターハウス だそうで、その名のとおり上から見るとY字型
になっており、星形っぽくなっています。
位置づけ的にはアイストップというか、「残地を埋める程度に配置してね」っていうようなもの
だったにもかかわらず、8棟も作っちゃったりして、設計者ってやっぱりこういうのが好きなのね、
と微笑ましかったりしました。
そんな団地好きには現時点で唯一無二のバイブル本だと思ったりするわけですが、
最近ほとんど拝見することがなくなった大江千里氏(確か妹の名前は大江万里)の
インタビューが載っていたりします。(団地好きらしい)
でもって僕がなんで団地に惹かれるかというと、高度成長がはじまった昭和30年代頃から、
大都市圏への人口流入は半端なかったわけです。集団就職というものがあった時代ですからね。
確か高度成長期の人口移動は、当時の日本の人口に匹敵するものだったと本で読んだ記憶があります。
そんな中で都市部の住環境の確保が喫緊の課題だったわけです。
そういった中で大規模な団地群が次々と造成されていったんですね。
そんな差し迫った使命を達成するための高い志を、今となってはちょっとすすけてしまった団地から
感じるんです。
余談なんですが、大規模団地やニュータウンの設計に、「近隣住区論」という理論が大きな影響を与えています。
どういった理論かというと、小学校をひとつの単位として、住宅・商店街・公園などを配置し、日常生活は
歩行可能な住区で完結させるというものです。徒歩が基本なので、幹線道路は住区を取り囲むようにします。
乱暴に言うと、自然発生した村のようなもの人工的に作ってしまおうという考えです。
だから、大規模なニュータウンには小学校が中心に位置し、団地の1階に商店街が入ってたりします。
しかし、日常生活を徒歩可能な範囲のみで営むには、現代人の行動範囲が広くなりすぎてしまった
ことやモータリゼーションの発達などで、住区でのコミュニティの活性化というもくろみは達成できませんでした。
でも、シャッター通りとなってしまった団地内の商店を見て、あぁ、高い理念を実現しようとしたんだなあ。
と、思ったりします。
そんなわけで団地、好きです。
<団地ギャラリー>
公団海岸通団地(神奈川県横浜市中区海岸通)
昭和33年11月入居開始
上記の本曰く、「横浜にデートに行ったら中華街に行く前に、まず海岸通団地を拝んでおくべし」と。
おそらく、そんなことをする人は、だれもいない。