Sportymagsさん「プレッシャーと期待」:Gさんの全訳 | ショピンの魚に恋して ☆羽生結弦選手に感謝を込めて☆

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清冽な雪解けの水のようにほとばしる命の煌めき・・・
至高のアスリートにしてアーティスト、
羽生結弦選手を応援しています。

先日、部分訳でご紹介していたSportymagsさんの記事ですが、当ブログの読者のGさんが、なんとお疲れ気味の私に代わって全訳を送ってくださいました・・・恐縮です(;^_^A

 

せっかくですので、Gさんの全訳版をこの頁でご紹介させていただいますね(↓)。ありがとうございました。

 

Yuzuru Hanyu: Pressure and Expectations

https://sportymags.wordpress.com/2017/07/01/yuzuru-hanyu-pressure-and-expectations/

 

羽生結弦 : プレシャーと期待


嗚呼 オリンピック・シーズンだ。 もっと他に良い事はないのかい? アマチュア・スポーツのファンにとって、オリンピックとくらべられる大会はない。 アマチュアの選手達にとっての最高峰だ。彼らは来る日も来る日も、来る年も来る年も練習を重ね、自国の国歌の流れる中金メダルをその首にかけて貰うという、ただ一つのゴールを目指す。

考えてもみてごらん、何年もその試合の為にトレーニングをしてくるというのに、その試合はサマーオリンピックの男子100m走のように10秒以内に終わってしまう。それは大きな献身。幸い男子フィギュアスケートの試合はもう少し長く、合計で7.5分ほど(SPに2.5分、LPに4.3分)。それでもあっという間に終わってしまう。

年間何百万ドルと貰っているプロの選手達にしても同じような感じである。私の読んだ最近の記事の中で、Marc-Edouard Vlasicが2018年のオリンピックへのNHLの不参加決定について話している。ValsicはNHLのサンホセ・シャークスで活躍しているが、カナダ人としての出自に忠実である。彼はソチ・オリンピックにカナダ・チームの一員として出場し金メダルを獲得している。彼のコメントが私にこのブログ記載を考えさせた。

「私がカナダ代表の一員となる事を選んだ時の気持ちをいまでも覚えている。いままでの経験の中で1番素晴らしい感情だった。その瞬間が過ぎてしまった時に自分に言い聞かせた。「これから我々は肩に重荷を負う、なぜならカナダはオリンピックで負け知らずだ。カナダは負ける事が許されない。」

カナダの男子アイスホッケーチームにとって、どの国際試合でも金メダルを獲得しなければというプレシャーが大きい。我々が金メダルを手に出来なかった時には、我が国は何が悪かったのかという分析麻痺状態に陥る。次のような質問がなされる。カナダチームの状態はどのくらい悪いのか?どうしてこの選手は先発グループに入れなかったのか?なぜ長野オリンピック(1998年)のシュートアウトでCraufordはGrentzkyを選ばなかったのか?などリストは限りなく続く。そしてチームメイトはいく日も悔やむのだ。カナダは全ての出場した国際試合に勝つという重圧と期待は非現実的だ。別に悪いと言っているのではない。競争心を持つという事は健全であるが、全ての試合に勝てるわけではないという事を理解すべきだ。

我がアイスホッケー狂いの国は、チームをサポートする証としてチームのジャージを着たり、チームの色を身に付けたりする。その上私の住む地方ではソチ・オリンピックの開催期間中、時差のある地域での金メダルゲームを観戦しながら飲めるようにと飲酒時間延長をする為に酒類に関する法律をも変えたほどである。そう変えたのです。国からの重圧を語ってみましょう。

「金メダル以外は受け入れられない」という厳しい感情です。我々は少しづつ、いつも勝ち続けることは不可能だという事を受け入れ始めていたが、それでも勝つ事を期待し、負ければおちこんでいた。国を挙げて失望する。考えてもみてください、選手達が試合の後に勝ったチームが喜び祝う姿を同じ氷の上で見ることを。そういった写真は時には辛いです。


日本のフィギュアスケートと似ていませんか? 私には沢山の類似点が見えます。Yuzuが2014年にソチで金メダルを取ってから、国やスケート連盟、そして彼が自分自身にかける重圧と期待が膨大である。それは非現実的だとは言えない。Yuzuが2018年のオリンピックで金メダルを獲得する可能性はかなり高い。Yuzuはブライアンとそのチームがついてサポートをしているが、彼は1人で氷上にでていき、間違いをおかしても頼るチームメイトはいないのである。普通多くの人が潰されるであろうプレッシャーや大きな期待の重さをソチからこのオリンピック・シーズンのスタートまでの3シーズンよく対処して、彼は勝っても負けても優雅に品位のある態度でいる。

このオリンピック・シーズンに向けてYuzuはオリンピック勝者の最有力候補だ。もちろん新しいニュースではない。勿論メデイアは誰が有力候補としてオリンピックに臨むかを書き立て始め、シーズンが進むにつれて結果を踏まえて意見を変え続けるだろう。しかし私はオリンピックまでYuzuに賭け続ける。

日本は幸運な立場にいる、なぜならオリンピックの表彰台に2人の男子が上がることができる可能性があるからだ。Yuzuが勝とうが負けようが、彼のファン達は彼の支援を続けインターネットの狂乱状態はいずれにしても言わずもがなだろう。Yuzu自身はソーシャルメディアに明からさまにでることはないが、彼は自身について言われていることを切実に認識しているだろう。Yuzuに対するスポットライトと極端なメデイアの注目は時に息がつまるだろう。

いずれにしても人がある試合で勝利者として有力候補であったら、上手くやろうというプレシャーが加わる。どの選手も自己ベストを尽くそうと思う、そしてそれ自体がプレシャーである。

 

私はプレシャーと期待を3つのレベルとしてみる。
オリンピックでスケートすることと上手くやることを夢見るスケーター。この人はメダル候補では無いが、自己ベストができればオリンピック・モーメントを得ることができる。そして生涯オリンピアンと呼ぶ特権を持つことができる。そこには自己ベストを達成しようと自分で自身にかけるプレシャー以外存在しない。彼は自国を誇りを持って代表することを求められ、思い出に残るオリンピックを経験する。

2. 候補者達はオリンピックの表彰台を見据え、できればなるべく高い位置が望ましい。彼らには幾らかのプレシャーがある。なぜなら彼らは勝つことが直接期待されているわけではなく、どちらかといえばより良い演技が求められている。これは大きな違いである。

− パトリックはすでにオリンピック銀メダルや幾回かの世界チャンピョンの座を手に入れているが、今回は 有力候補者とは考えられて無いのでプレシャーはそれほどではない。彼はソチオリンピックの優勝有力候補であったので、彼の両肩にはかなりの重圧がのしかかった。そして私達はその経過を知っている。今回は彼は自身の為と目標の達成の為にすべる。
しかし彼を候補から外すことはできない。少ないプレシャーと現実的な期待が無い、彼が2つの綺麗なプログラムを滑ることができるかもしれない。私はそうなることを望んでいる。そして彼は自身のキャリアを華々しく終えることができるのである。

−ハヴィは前世界チャンピョンであるが、彼に関しては全くプレシャーがあるとは見受けられない。彼は有力候補ではなくて、メデイアの注目も浴びていない。 彼はスケートに狂乱的な国からは来ていず、彼が勝てば母国は喜び、負けたとしても大したことではない。若いスケーター達が注目されるようになって、ハヴィが勝つことを誰も期待していない。彼はダークホースと言える。

−ネイサン・昌磨・ボイヤンはみんな若い挑戦者のグループに入る。 かれらは皆、最終結果をひっくり返す可能性を持っているので、自国やスケート連盟からのプレシャーがあるかもしれない。しかし大体において彼らはまだ頂点(オリンピック・世界選手権・GPF)に達していない。彼らには金メダルの期待はされていない。彼らは気軽にスケートをして試合に於けるアイドルになることができる。

3. オリンピックのデイフェンデイングチャンピオン、ワールドチャンピオン、男子全種目の世界記録保持者(SP、LP、総合点)となると話は違う。現代のスケーターにそうした種類のプレシャーと向き合った選手達はいません。Yuzuが立ち向かわなければならないのは、男子スケート界において前代未聞のことです。彼は勝つことを期待されている。自国の大きな期待が彼にかかっています。この種のプレシャーは両肩に100ポンド余分な重荷を背負いつつ、
幾 つかのクワッドを飛び見事に着地を綺麗に決めるようなものです。有難いことにYuzuは強いクワッドを持っています(身体的にも技術的にも)。

正直にいって、Yuzuは金メダル以外の色では満足しないでしょう。もし彼が金を勝ち取れなくても、彼は礼儀正しく、誠実に品格を示すことでしょう。それが彼の本質だからです。彼はメデイアにさらされても失望の痛みを隠し、平静を装うことに努めるでしょう。彼がそんな事をしなくてもいいように願おう! 彼の喜びの涙を見る方がずっと良い。

一つだけ確かなことは追われるより追う方が楽だということ。Yuzuは知っている。もしあなた方がYuzuの過去の世界選手権の記録を見て見ると、Yuzuは追っているときの方がはるかに心地よい。

2014年のオリンピックでは、YuzuはSPを終えて1位だった、そしてLPも勝った。基本的にオリンピックのスポットライトという重圧に耐えて自己のベストのスケートをしたものが私達の新しいオリンピックチャンピオンとなる。Yuzuが過去3シーズンで得た経験は逆境にある時でさえ、自分を信じればトップに躍り出ることができるということだ。そしてブライアンが言うように「自分の練習を信じる」。彼はまた前回のオリンピックでの経験によりショートプログラムで先に立って、なお全てを勝って行くことができるということを考えられる。
 

Yuzuはまた過去3シーズンで個人的にも大きく成長した。YuzuがSPとLP両方の世界最高記録を更新した時に、彼は毎回完璧なスケートができるはずだし、するべきだと思い始めたと言っていた。この新たな自分自身への期待は、彼にとってよい教訓となった。そこから彼は毎回完璧であるという事がいかに非現実的であるかを学んだ。過去3シーズンの全ての勝利、敗北、怪我とそれに伴うリハビリに於けるあせりなどの経験から学んだことが、彼が直面するであろうすざまじい重圧やこれからのシーズン中に起こりうる事やオリンピックのスケート競技としてはあり得ない時間帯の割り当て(早朝を含む午前中)などの余分な重圧にも対処していけるだろう。
もしYuzuがオリンピックで優勝すれば、彼はまたメデイアから膨大な申し入れや出演依頼にさらされるだろう。プレシャーは無くなるだろうけれど、期待には終らない。彼は休む暇も無くなるだろう、しかし彼にはそういった降りかかる狂乱にどう対処していけばよいのかを経験からわかっているだろう。Yuzuが置かれた立場を羨ましいとは思わないが、私は彼の能力を信じているし、その強い意志と必要な時に素晴らしい魔法のようなパフォーマンスを纏められる能力を信じてる。さあ新しいシーズンを始めようじゃないか!
 

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Gさん、すみません(;^_^A

お疲れさまでした。

全訳ありがとうございました!