「チーム・ブライアン300点伝説」を読んで | ショピンの魚に恋して ☆羽生結弦選手に感謝を込めて☆

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昨日、読み終えましたおねがい
 

「蒼い炎Ⅱ」を結弦くん自身の、「チーム・ブライアン300点伝説」をブライアンのコトバとして読んでみると、2人が共有してきた出来事をまた違った角度から考え直すことができるなと感じました。

「チーム・ブライアン300点伝説」は大勢のスケーターたちを指導する「コーチ」としての立場で、ブライアンがこれまでの道のりを語ってくれています。

一昨年の秋から始まった結弦くんの左足の痛み・・・。かなり時間が経過してから出版された「蒼い炎Ⅱ」で、私たちファンは初めて、彼がどれほど辛い時間を耐えて昨年のボストンの世界選手権に臨んだのかを知りました。
 
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そのあたり、「チーム・ブライアン300点伝説」ではさらっと通り過ぎてしまった印象を持たれた方もいらしたかもしれませんが、本書全体の流れを見れば、ブライアンが結弦くんを理解していない訳ではないのだろうと私は思います。

語弊を恐れず言うならば、ファンも完璧主義者にならない方がいいのではないかと思いました・・・。結弦くんとブライアンはもう長い事タッグを組んでいますが、初めて徹底的な議論をしたのは4回転ループを巡る今後の方向性について話し合った昨年のスケカナの後だったとか。
 
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結弦くんとブライアン、お互いまだいろいろなことを模索しながら関係性を深めているのだなと思いました。でも、もうかなりお互いを理解し合える場所に来ているように感じます。
 
ボストンの後、オフシーズンのアイスショーを全休するよう進言したり、練習で跳ぶ4回転の本数を制限したり、ブライアンは本当によく結弦くんのメンタルと身体のコンディションをケアしてくださっているようです。
 
でも一方で、結弦くんという稀有なスケーターが、自身の人生の舵取りを積極的にする強靭なメンタルの持ち主であることを理解し、そっと寄り添い、必要な時に手を差し伸べてくれている、そんなイメージです。

ブライアンの思考回路は割と結弦くんに近いような気がします。お互い分析能力が高く、研究熱心で、向上心が強い。そして現役時代のブライアンもかなりの完璧主義者だったというところ。
 
 
カナダの国民的ヒーローであった現役時代は「ミスター・トリプル・アクセル」と呼ばれ、プレッシャーに苦悩し、2度のオリンピックを経験しました。
 
おそらくブライアンも誰かに相談して自分の問題を解決するというよりは、自問自答を繰り返しながら、自ら問題を解決していくようなアスリートだったのではないでしょうか。

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本を読んで特に印象的だったのは、ブライアン自身が現役を退き、コーチになった今現在も研究熱心で、自分自身も成長しようと努力を続けている姿でした。昨シーズンの出来事もブライアンはよく検証しているでしょうし、それはきっと今後活かされることでしょう。

結弦くんの天性の音楽性に触れ、結弦くんが「心を込めて滑るタイプの選手」なので、“たんに「素敵な曲」とか「観客受けがいい」ではなく、滑る目的が必要なのです”などと語られているあたり、ブライアンの結弦くんへの理解と深い愛を感じました。

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今後の事として少し興味深かったのは、ブライアンがルーティーンを重視していると語っていたくだりですね。
 
昨年のテレビ番組でのインタビューでルーティーンを排除していきたいというようなことを結弦くんが語っていたので、これからどうなっていくのか。結弦くんのいうルーティーンは主に精神的なもののことかもしれませんが。

次に、「ユヅルにとっての4本目は、他の若者たちにとっての4本目とは、意味が違う。ユヅルは4回転ループを入れるという挑戦によって、技術面だけでなく、精神的にも人間的にも何らかの変化を遂げようとしている。演技を見る時も、ミーティングを重ねる時も、それが十分に伝わってくる。」というところ。

結弦くんの4回転ループが4回転時代という枠でメディアに一くくりにされて語られる時、私は非常に違和感を感じています。
 
というのも、結弦くんがトウループ、サルコウ、ループとひとつひとつ完成度を高めていった4回転ジャンプには、若い挑戦とは異なる壮絶なストーリーを背後に感じるからです。彼はそれを決して外には見せませんが・・・。
 
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演技のすべてのエレメンツに意味を持たせる結弦くんのスケートはとても精神的で、日本人的だと私は思っています。確かこのあたりはSEIMEIを演じた時に、野村萬斎さんから結弦くんが学んだところだったと記憶していますが、そんな繊細で微妙な部分もブライアンには十分通じているようです。
 
 
ハビエルくんや他のスケーターの皆さん、コーチの方々・・・、ブライアンが一人一人に細やかな愛情を配って、お互いがお互いを尊重し、クリケット・クラブというあたたかなファミリーを築き上げてきたのですね。そんな素敵な場所で結弦くんは大好きなスケートに打ち込んでいるのだということを、本当に嬉しく思いました。

異なる性格の1人ひとりの子供たちや生徒たち、ブライアンの言葉はスケートから離れた家庭や教育の場でもいろいろ参考になりそうです。

結弦くんには、人生に必要なものを自分でつかみに行く一種の才能があるのでしょうね。後ろ髪を引かれる思いであえて、苦しい道を選択してカナダに渡った結弦くんの目には今の姿が既に見えていたのでしょう。
 
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最後にブライアンは結弦くんという人物の器の大きさについて語ってくださっています。

「ユヅルは大学の勉強を続けるかもしれない。彼には幅広い才能があるから、どんな分野に行ってもうまくやっていけるはずだ。語学も十分身につけたし、医学分野でも教育分野でも、どんな分野でも一流になれるだろう。なぜならユヅルは、目標の立て方や努力する方法、それを実現する意欲の持ち方のすべてを知っているからだ。また勉学とは別に、彼は日本人選手の素晴らしいメンターになれるだろう。個々の生徒を教える先生になるのではなく、自分の経験と大変な努力を活かし、メンターとなって日本の後輩たちを世界のトップ選手に育て上げる活動ができるはずだ。」
 
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オリンピックがどれほど特別な舞台なのか・・・。アスリートではない私にもそれは十分わかります。何度も世界選手権の金メダルを獲っても、オリンピックの金メダルは獲れなかったという優れたアスリートが何人もいて、アスリートにとってオリンピックというものがどれほど特別な舞台なのか、それは十分にわかります。
 
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それを連覇しようとする選手に、スケートの神様もそれなりの試練を与えてこられたのでしょう。きっと神様の試験は、結弦くんがオリンピック連覇を目指したその瞬間から始まっていたのでしょうね。思い出すだけでも胸が痛むような出来事の数々でしたが、強靭な精神力と努力でひとつひとつクリアし、とうとうここまで来ました。

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スケートの一つ一つの技に意味を持たせ、完成される結弦くんのスケートは、結弦くんの人生そのものですね。4大陸が近づいてきました。見る度に新鮮な結弦くんのプログラム。マルセイユからどんな物語を紡いでくれるのか、とても楽しみです。
 
振付師のジェフとシェイ=リーンはオリンピック・シーズンも恐らく結弦くんのプログラムに携ってくれるのでしょうね。ブライアンも結弦くんとの相性の良さを認めていますから。
 
素晴らしいコーチ、ご家族、振付師、練習仲間、環境、世界中のファン、本人の才能と努力・・・。そして何よりも、スケートの神様に与えられた数々の試練を乗り越えてきた。
 
結弦くん、夢を叶えるお膳立てが揃いましたね。ブライアンの言う「目標の立て方や努力する方法、それを実現する意欲の持ち方のすべてを知っている」選手。
 
 
ブライアンは結弦くんに「尊敬」の念すら感じたと言っていました。フィギュア・スケートという西洋の伝統的なスポーツの世界に、日本から旅立っていった細く弱々しかった男の子が、その世界で一つの時代を築き、レジェンドとまで呼ばれたブライアンに「尊敬」の念を抱かせるほどに成長した・・・同じ日本人として、本当に誇らしい気持です。
 
本書についてはまた書くこともあるかもしれませんが、以上、私の読後の感想でした。
 
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