際(きわ)。 | poetissimo

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思いを。
言葉を。
もっと、強く強く。

それが『ポエティッシモ』。



桜並木道のあちこちから

風を切り飛び交う花びら

路面を染め上げる


朗らかな日の中で音もなく

命を散らして行く前の

束の間の飛翔


美しくも哀れな盛りの跡と

立ち並ぶ葉桜に

少しずつ彩りを失いつつある

明日を重ねてしまう


桜は桜として誇ればいい

人は人として生きればいい


今際(いまわ)までの時を捧げるのは

愛する君の為に。


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読んでくれて、ありがとう。



【季節の季の記。】

咲き揃う時を逃した徒桜に目を見遣りながら。

散り際。

瀬戸際。

今、私達は色々な“際”の中に立っている事を思い知らされる。


人の命が桜に喩えられたのは、いつからなのだろう。

吹く風に靡くも、やがては消えてしまう花びらの姿が、

戦渦にその身ごと投げた飛行機の様に見えた。

方々から忍び寄る緊迫した空気が、憂える心をも圧迫する故か、

風物詩を味わうだけではいられずにいた。


美しい散り際を今更押し付けるのは罪深い。

散り行く様を称賛されるのは、桜だけでいい。


詩(ことば)の内容が侘しくなってしまったので、

せめて写真は光明差し込む桜の記憶を。


☆前々回の詩→『花笑み。』

☆前回の詩→『つぐみ鳥。』