払っている電気料金には、オール電化広告費や寄付金、社員の福利厚生費が含まれている | 乖離のぶろぐ(*´∀`)吸い込んで応援
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【社会】
東電、電気料金に上乗せ 保養所維持管理費 高利子の財形貯蓄

2011年12月20日 07時07分
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 東京電力が、保養所や接待施設の維持管理費、年8・5%もの利子が付く財形貯蓄などさまざまな社員優遇に必要な費用を、電気料金を決める際の原価に算入し、電気料金で回収していたことが本紙の調査で分かった。こうした事実を東電も認めている。東電の手厚い福利厚生は、電力会社を選ぶことができない消費者の負担によって維持されてきたことになる。

 電力料金は「総括原価方式」と呼ばれる方法で算出される。施設の修繕費や燃料費など発電に必要な費用を積み上げ、電力会社の利益を上乗せし、その総額を電力料金で回収する仕組み。

 ただ、費用に何を計上するかは電力会社の判断に任されている面が強い。既に、官庁OBを受け入れている財団法人への拠出金や広告宣伝費など発電とは関係のない費用に入れられていたことが判明している。経済産業省の有識者会議(座長・安念潤司中央大教授)は今後、これらの費用は計上を認めない考えを示し、同省もその考えに従う方針だ。

 発電とは無関係のものが費用計上されていると新たに判明したのは、ハード面では静岡県熱海市など各地にある保養所や社員専用の飲食施設、PR施設などの維持管理費。

 ソフト面では、財形貯蓄の高金利、社内のサークル活動費、一般企業より大幅に高い自社株を買う社員への補助、健康保険料の会社負担など。

 福島第一原発事故を受け、東電の電力料金引き上げが検討される中、経産省の有識者会議は、手厚い福利厚生費用を電力料金に転嫁することを問題視している。燃料費などに比べれば金額は小さいが、不透明な部分はなくすため、原価から除外させる方向で議論を進める見通しだ。東電自身も保養所の廃止や福利厚生の縮小などを決めている。

 東電は原価に計上してきた事実を認めた上で、「(電気料金を決める)経産省の省令に基づいて、福利厚生の費用は過去の実績や社内計画に基づき適切に原価に算入してきた」とコメントしている。

(東京新聞)




http://diamond.jp/articles/-/14927

都市対抗野球の費用も原価に!
電力と同じ都市ガス料金の構造

「料金システムをめぐる議論は、電力業界にとどまらず、ガス業界にも及ぶのではないか」――。

 ある都市ガス業界の関係者は、不安の色を隠さない。

 都市ガス料金も、電気料金と同じ公共料金システムを採用しているからだ。

 それは総括原価方式と呼ばれ、燃料費や人件費、設備修繕費などの原価に、一定の利益(事業報酬)を上乗せして料金を算出するものだ。

 巨額な損害賠償を抱える東京電力への政府の第三者委員会「東京電力に関する経営・財務調査委員会」の調査以来、総括原価方式の問題点が注目を集めた。

 総括原価方式は、長期的な設備投資は計画を立てやすいという利点はあるものの、その反面、十分なコスト削減努力が反映されないという点や、そもそも不適切な費用項目が料金の原価に含まれているのではないか、という点などが議論されている。

 実際、第三者委員会が10月3日、発表した報告書のなかで、直近の10年間で見積もった料金の原価が実績よりも約6000億円多かったことを指摘。総括原価方式による料金の原価のなかに、オール電化関連の広告費や寄付金、社員の福利厚生費などが含まれていたことが明らかになり、批判の対象となった。

 枝野幸男経済産業相は9月28日、日本ガス協会の鳥原光憲会長らと懇談後、記者団に対して「優先順位が高いのは電力」としながらも、「同じようなシステムを持っている他の分野も検討を進める」と発言、都市ガス料金も見直し対象にするという認識を示した。

 それ以降、都市ガス業界の関係者らは、電気料金と同様に世間の批判がガス料金にも及ぶことを懸念しているのだ。

 都市ガス業界の関係者らは「電力会社と同じ土俵で比べられても困る」と強調する。

 確かに、わずか全国10社という寡占状態で政治力も強い巨大な地域独占の電力会社に対し、都市ガスの事業者数は200社以上もあり、都市ガスの営業エリア近隣には多数のプロパンガス事業者が営業を行っている。

 地域独占の規模という面では、電力会社とは比べようがない。

 だが、問題なのは、ガスの普及に関する広告宣伝費や、福祉厚生費など、東京電力で問題視された費用とほぼ同様の原価が、都市ガス料金にも含まれていることだ。

 ある関係者は、「大手都市ガス会社を例にみれば、電力会社のオール電化に対抗し、ガスの需要を啓蒙するテレビ宣伝のほか、都市対抗野球の費用も福利厚生費として料金の原価に入っている。電気料金が問題視されるなら、都市ガス料金も例外ではない」と指摘する。

 少なくとも総括原価方式という公共料金の制度に対する世間の目が厳しくなることは間違いなさそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本猛嗣)