胸が静かに上下する。
時おり肩まで上下することも…
苦しそうではないけれど、
呼吸をしていた。
ひたいにうっすら汗を浮かべてるから、
暑い?
暑かったらギュっとして…
その問いかけに応えて、
握り返すその手にちからはなく。。。
それは医学的には、
意識がないということらしい。
でもこの声は、きっと彼女に届いていると思いたい、
そして今も思ってる。
医学的に意識がないという診断は、
いいこと?!ももたらした。
興奮して体調に障るからと、
ごくごく近しい家族だけに許されていた面会、
今日は弟妹親戚一同に見舞ってもらえた。
そして明日また来るからねと、
ホームをあとにした帰り道、
彼女は逝きました。
義妹からの連絡を聞き、ホームへ戻る道。
彼女と最初にした会話、
最後にした会話は何だっただろう?
考えながら握るハンドル。
仁和寺の桜が見たいと出かけた京都。
仁和寺のあとに出かけた龍安寺石庭のしだれ桜。
車椅子を押して、
寺のなかは石庭まであなたをおぶりました。
実の母もまだおぶったことはない、
私の背中に感じたあなたの重さは、
想像以上に軽かった。
無口で厳しいところもあったけれど、
優しい義母でした。