グレイテスト・ショーマン | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

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備忘録としての読書日記。主に小説がメインです。その他、見た映画や美術展に関するメモなど。

2017年 アメリカ

監督: マイケル・グレイシー 

原題: The Greatest Showman

 

 

もうすっかり、見逃した~(T_T)と思っていたこちら、最近日比谷で開業したTOHOシネマズでラインナップしてくれていました!他の映画館でも一部、アンコール上映されているみたいですね。という訳で、喜び勇んで寄り道しました~( *´艸`)。わぉ、忙しさや体調不良や雑用やで全然余裕がなかったから、すっごい久しぶりの劇場鑑賞です。この映画、公開前に真実飽きるほど予告編を無用に見せられ続けて、もうすっかりストーリーの半分は見えたような気になったものの、ミュージカルは脚本も大事ですがさらに歌とダンスのショー部分が肝心ですからねー。できれば大きなスクリーンで、劇場の音響で観たいと切望していました。やっぱり、いいですねー、スクリーンって(*'ω'*)。

 

 

19世紀のアメリカで、動物と曲芸とを組み合わせたフリーク・ショーで全く新しい大衆向け娯楽を確立した実在の興行主P・T・バーナムをモデルにした伝記的ミュージカル。そういえば子供の頃「リングリング・サーカス」ってよく耳にしたような!あのリングリング・サーカス(現実にはバーナムの死後にリングリング兄弟がサーカスの権利を買い取って正式名称「リングリング・ブラザーズ・アンド・バーナム・アンド・ベイリー・サーカス」となった・・・って名前長すぎっ^^;)の創立者だったんだ!

 

そして期待通り、映画が始まった最初の一瞬からもう早速わしづかみ!沢山の人がおっしゃってますが、映画全編まるっと全部そのものが、まさに”The Greatest Show(最高のショー)”のような映画。最後の最後まであっという間の夢の世界ツアー。

 

 

冒頭部分のバーナムと妻チャリティの子供時代の”小さな恋の物語”がでら可愛い♡ 映画の中ではバーナムは貧しい仕立て屋の息子。そのお得意様のお屋敷にパパのアシスタントとして同行して、そこのご令嬢チャリティに恋をします。住む世界が違いすぎる雲の上のお嬢さまですが、豊かな想像力でチャリティを笑わせてくれるバーナムとチャリティは運命の恋人。チャリティがフィニッシング・スクールに入れられて引き離されてもお互いずっと想いは変わらず、そして鉄道会社への就職を皮切りに貧しいながらも自立して成人したバーナム(ヒュー・ジャックマン)はとうとうチャリティを迎えに。お嬢さんを必ず幸せにします、いつかこんなお屋敷に暮らします。父親は「フン、どうせ貧しい生活に嫌気がさして娘はすぐに戻ってくる」と鼻を鳴らしました。

 

 

親の期待に反して、全然嫌気がささないチャリティ(ミシェル・ウィリアムズ)。バーナムは勤めを変わってばかりで相変わらず貧乏暮らしですが、愛があれば幸せ。可愛い2人の娘も生まれて、安アパートの屋上は洗濯物干場でもあり、バーナム一家の想像力の庭。チャリティの実家のような立派な暮らしができるようになって幸せにしたいのにまだ叶えられないことに負い目を感じるバーナムに対して私は幸せよ?と微笑むチャリティ。でも、だってじゃあ夢は?What about a dream?! するとチャリティは2人の娘達に視線を投げて、What do you call for them? じゃああの子たちのことは何と呼ぶつもり?あの子供たち以上に美しい夢があって?あぁ、なんて素敵なんでしょー。愛とか夢とか幸せとか、シュガーコーティグされた甘ーいお菓子にウットリしたくなります(´ω`*)。

 

 

小さい頃からお金も高価なモノも何も持っていなかったバーナムですが、想像力というずば抜けた才能を持っていて、それでチャリティと娘達をいつも楽しませていたバーナム。勤めていた船舶会社が倒産して解雇されてまたまたピンチ!ですが、その想像力が機転とペテンとなってチャンス到来!銀行から融資を取り付けて夢の実現の第一歩!マンハッタンのど真ん中に大きな建物を構えて「バーナムのアメリカ史博物館」を開業。珍しい動物のはく製や蝋人形など、ちょっとおぞましいようなぞっとしたりギョっとしたりする、人がつい好奇心に負けて観たくなってしまうようなものを集めて展示したのですが、これがサッパリ、閑古鳥。ローンの返済期日は迫ってくるし、また早速ピンチ。

 

 

「博物館の動物は皆死んでるもん。生きてるものを置かなくちゃ」「わたし人魚が見たい」などの子供たちの言葉がヒントになって、方向転換。小人症の男、異常に背が高い男、200kg超えの巨漢、髭の濃い女、顔中毛だらけの男、全身刺青の男、結合双生児の兄弟、黒人の兄妹の空中ブランコなど、「普通」じゃないと世間からはじかれ隠れるように生きてきた彼らをスカウトしてフリーク・ショーを始めました。宣伝文句はちょっとづつ”盛って”さらに好奇心を煽ります。

 

 

人々の反応は様々。下品だ、ペテンだ、恥知らずと否定する人、面白可笑しく囃し立てる人。でも、ショーを見た観客は、最初はおっかなびっくりでもショーを見終わって帰る時は皆が笑顔。逆風や悪評も、バーナムは上手に逆手にとってショーは連日大賑わいに。そんな逆風の中でもひときわ強い宿敵が、上流のスノッブな人たち御用達のヘラルド社の評論家ベネット(ポール・スパークス)で、彼は執拗にバーナムのショーをこき下ろし続けます。彼が批評に使った”Circus(騒々しい)”とうい表現を「いい響きだな」と気に入って、「バーナムのサーカス」と名前を変えてしまうバーナム。これがサーカスの始まりなんだ!の、演出が心憎いスパイス( *´艸`)。多分事実は違うけれど。

 

 

どえーっ、そんなに儲かったんかーい?!Σ(゚Д゚) な衝撃の成り上がりっぷり(笑)。シマウマの馬車!カハクの「大英自然史博物館」展でロスチャイルド一族の博物学マニアだったウォルターがハイドパークで乗り回していたというシマウマに引かせた馬車の写真が展示されていましたが、バーナムよお前もかっ(笑)。チャリティの実家のすぐ近くに、引けを取らぬ大豪邸をプレゼントし、ご近所の由緒あるバレエ学校に娘を通わせて・・・これ見よがしですが、25年かかったけどやっと約束を果たしてチャリティを幸せにすることができたと大満悦のバーナム。チャリティが望んだことは一度もないのですけれどねー。

 

 

でも、上流階級はやはり冷たかった。どんなに成功して、立派な身なりに身を包んでも、彼らからは「下品な成り上がり者」として蔑まれて陰口をたたかれたり、あからさまに無視をされたり。喜々としてバレエを習っていた娘も他の女の子からのいじめに傷ついて、バレエを辞めたいと言い出すし・・・自分が貧しくて蔑まれ石を投げられるような辛い生い立ちだったから、娘たちには絶対そんな目に遭わせたくなかったのに・・・切ないですねぇ。どうしたら上流の連中に、認めさせることができる?受け入れられる?入っていける?バーナムは、チャンスの札がついた人間を見つける天才。

 

 

バーバムの目に留まったのが、上流階級の出身であり成功と名声を手に入れている若き劇作家、フィリップ・カーライル(ザック・エフロン)。ザック・エフロンも大人になったなぁ!上流階級に食い込むためのコツを教えてくれ、俺たちのショーに加わって彼らに認めさせるようなさらなる成功をしよう、一緒に冒険しようとバーで口説き落とします。ヒュー・ジャックマンとザック・エフロン、歌も演技も上手者な2人の見せ場!私のとっときのお気に入りシーンそのいち。このシーン、この2人が勿論最高なんですが、サポート的存在のバーテンダー役の人の動きも素晴らしくて、途中からそっちの方が気になってしまいました( *´艸`)。窮屈で退屈なスノッブな世界に内心倦んでいたフィリップは、ついに説得されます。

 

 

運命の出会いの美しい一瞬!この作品はバーナムが主人公ですが、フィリップと兄と空中ブランコをやる黒人のアン(ゼンデイヤ)との許されない恋のサブストーリーがまた、良いのです。今なら美男美女な兄妹としてモテモテ間違いない兄妹ですが、この時代、黒人=奴隷であり人間扱いされない存在。そんなアンが空中ブランコの練習をしているところに偶然居合わせて、その瞳を見た瞬間に恋に落ちたフィリップ。

 

 

アンとフィリップの切ないデュエットのシーンが、たまらなく美しいです。ゼンデイヤは、プロの指導の元数か月間みっちり空中ブランコの特訓をして、その成果でスペクタクルで美しい忘れられないこの空中ブランコのシーンをハーネスなしでやりおおせたそうです。若いって素晴らしい。アンとフィリップのバラード《Rewrite The Stars》の歌詞と旋律もまた美しい。rewrite the starsで、「運命を変える」という翻訳。rewrite the stars!なんて素敵な言葉!運命を変えたらどうする?運命を変えるなんて無理よ。運命を変えてみないか?くうぅー。とっときのお気に入りシーンそのにです。

 

 

もう1人、バローズの本能が嗅ぎ分けた才能が、当時ヨーロッパでは絶賛されつつもアメリカではまだ無名だった新進喜悦の美しきオペラ歌手ジェニー・リンド(レベッカ・ファーガソン)。上流階級に認めさせるには、まずはTop of top から攻略すべし、とフィリップがコネを活用して勝ち取ったイギリス女王との謁見(そうか、ヴィクトリア女王の時代なんですねー^^)の際に見かけて、NYKでリサイタルをやらないかとスカウト。まさか・・・と思われたのに、バーナムの人柄と言葉に何かを感じたジェニーはバーナムの招聘に応じることになります。

 

 

魂を揺さぶる見事なジェニーの歌声に、NYKの上流階級もバーナムも感動でリサイタルは大成功。宿敵ベネットに「彼女は素晴らしい。音楽の美を理解する人間がプロデュースすれば成功は間違いない。君のような人間についてくるとは残念だ」なんて嫌味を言われますが、やっと上流階級の人間の称賛を得られたこと、ジェニーの歌が素晴らしいこと、上流側の人間だと思っていたジェニーが実は自分とシンパシーを感じていることを知った驚きと喜び、ジェニーの美しさ同様の眩いあれやこれやにすっかり幻惑されて浮ついてしまうバーナム。嫌な予感のチャリティ。黄色信号点滅。

 

 

いや、実に美しいんですよね、レベッカ・ファーガソン演じるジェニー。ちなみに「マダム・フローレンス!夢見る2人」でヒュー・グラントの愛人役を演じていました。ジェニーの持ち歌《Never Enough》も切ない歌詞で素晴らしい歌声・・・とビックリしていたんですが、彼女の歌は吹替えでローレン・アレッドという歌手が歌っていたようです。吹替えに見えない自然な演技でした!娘たちに肩身の狭い思いをさせたくない、自分はいつもフェイクで人を楽しませているが、1度は本物を見せたいというバーナムの想いは理解できます。でも・・・完全に浮足立ちましたね。それが人間。

 

 

浮足立って舞い上がっちゃったバーナムに疎んじられてはじき出されてしまったサーカスのメンバーたち。ずっと隠れて生きてきた彼らが初めて外の世界で呼吸できるようになって、サーカスのメンバーもバーナムも大事な家族だと思っていたのに・・・ショックです。でも、もう彼らは陰に逃げ隠れたりはしません。私たちは私たち!と堂々と胸を張って嫌悪の視線に我が身を晒します。ジェニーのリサイタルの成功を祝うパーティー会場から追い出された彼らがレティ(キアラ・セトル)をセンターにして毅然と歌う《This Is Me》のシーンは、力強くて傷口が生々しくも美しい、感動的な場面に仕上がっていて泣きそうになりました。私のとっときのお気に入りシーンそのさん。

 

 

因果応報。自分のしでかしたことはちゃんと自分に跳ね返ってくる。Dazzling な夢にうかされていたバーナムは、目を覚ますのがちょっと遅すぎた。自業自得とはいえ、何年も何十年もかけてやっと手に入れた全ては、失うときはあっという間。ジェニーとのスキャンダルでチャリティまで傷つけ立ち去らせてしまいます。

 

 

何もかも失って無一文のひとりぼっちになってしまったバーナムがどうやって失った大切なものを取り戻し復活し再び成功するかは、本編でぜひ。他にも色々、予告編には載ってないエピソードもちゃんと色々ありました(笑)。チャリティとの仲直りは、子供時代の思い出のあの場所で・・・。あ、言い忘れていましたがチャリティのミシェル・ウィリアムズは、「フランス組曲」での美しさが忘れられないあの女優さん。このBlogにはまだ登場しませんが「マリリン 7日間の恋」のマリリン・モンロー役と言った方が一般的か。彼女も美しくて存在感があって憧れの女優さんのひとり( *´艸`)。

 

せっかくザック・エフロンも出演ですが、酒場でのバーナムとのシーンやアンとの空中ブランコのシーンなどの見せ場は勿論あるものの、サーカスでの役割はブレインでショーで歌って踊って、というのはないのがちょっと残念、勿体ないなぁ・・・と思っていたら、最後に思いっきり、バーン!ヽ(^。^)ノ あー、素晴らしい、素敵なショーでした!キャストも全員が素晴らしかったなぁ。ヒュー・ジャックマンとザック・エフロンが出演というだけでもう十分、信頼性は担保されているのだから「ラ・ラ・ランドの制作スタッフが手掛けた!」なんていう安っぽいコピーは邪魔なだけだと思いましたが、いやはや期待以上の大満足( *´艸`)。幸せな帰り道でした。

 

ヒュー・ジャックマンの歌ウマにビックリして他の歌って踊るヒュー・ジャックマンも観てみたい!と思ったら、映画版「レ・ミゼラブル」を是非ドーゾ♪同じく多才で多作なザック・エフロンの個人的イチオシは「ヘアスプレー」です( *´艸`)。サーカスでのショーを演じた皆さんも素晴らしかったですが、ショーを見ながら心底楽しそうに客席で踊りまくるバーナムのお嬢ちゃんたちの姿が、また格別に可愛らしかったです。意外とキレッキレのダンス( *´艸`)。

 

昭和の人間なので、未だに本は電子書籍ではなく紙書籍、音楽も配信よりCD派なのですが、取りあえず今すぐにでもサントラ盤を聞きたくて、でもMP3でダウンロードして買うならCD買いたいし、さすがにまだ配信ないよな~と思いつつ珍しくAmazon Musicで探してみたらまぁ、やっぱり無料で聴くことはできなかたんですが、代わりに「ラ・ラ・ランド」のサントラがAmazonプライムの無料ストリーミングの対象になっておりまして、通勤電車でずっと聴いてました。うーん、やっぱりいいなぁ♪

 

 

 

公開前は観すぎて食傷気味になってしまった(苦笑)予告編も、のど元過ぎればまた観たくなるハズ。プラス、私のとっときのお気に入りシーン3つをドーゾ!