ヒトはどのように記憶しているのか?
という問題は
脳科学の中心的な課題の一つで
まだ分かっていないことが多いです
とは言え、
分かってきたこともたくさんあります
その中から少しご紹介しましょう
脳の各部分は
異なった役割をもっていて
それが分かったのは
脳外科医であるブローカが診ていた
発話が困難な患者から
運動性言語野を見付けたのが発端
ということを、以前書きました
ご参考:拙ブログ『言葉と脳 ~ ブローカ野とウェルニッケ野』
では、
記憶はどこでなされているのでしょう?
記憶について
実際の脳を調べた研究の端緒としては
1900年代前半の
ワイルダー・ペンフィールドの
業績があります
てんかん患者の手術で
耳の上あたりの頭蓋骨を外し
側頭葉に微弱な電流を流すと
患者によっては
過去の記憶が蘇ったのです
ご参考:拙ブログ『脳に微弱電流、で記憶が蘇る?』
どうやら、側頭葉は
記憶とかなり関係が深そうです
他の証拠としましては、
側頭葉にダメージを受けた患者には
記憶に障がいがあるとか
Kimura D (1963)
"Right temporal-lobe damage. Perception of unfamiliar stimuli after damage"
Arch Neurol 8: 48-55.
サルを使った実験で
側頭葉にダメージを与えると
記憶課題の成績が悪くなった
という実験があります
Fuster JM, et al. (1981)
"Effects of cooling inferotemporal cortex on performance of visual memory tasks."
Exp. Neurol. 71(2): 398-409.
もっと直接的に
調べられないものでしょうか
物を見たり聞いたりしているときには
脳の視覚野や聴覚野のニューロンが
反応します
そして、
目を閉じたり、音がなくなったりすると
そのニューロンも反応しなくなります
記憶している状態というのは
見る物や音などの刺激が必要ありません
ですから、
先の側頭葉のニューロンが
刺激のなくて、思い出しているときに
活動するかどうか
を調べたらよいことになります
これを調べたのが
東京大学医学部の宮下保司博士です
1988年のこと
論文は、あの Nature に掲載されました
Miyashita Y & Chang HS (1988)
"Neuronal correlate of pictorial short-term memory in the primate temporal cortex"
Nature 331: 68-70.
具体的な内容については、次回
(つづく)
文:生塩研一
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