前回は
マーケティングに
脳科学の視点を入れようという
ニューロマーケティングの
簡単なイントロと、
具体的な実験として
商品をお客さんの前に置く場面で
両手を商品にそえるときと
片手だけのときとで
脳の反応はどのように違うのか
ということを調べた実験を
ご紹介する、と言いながら
その直前で終わっていたのでした
拙ブログ『両手を添えると丁寧 脳はどう反応するの?(1)』
Tagai K, et al. (2013)
"Differential brain response to one- or two-hand handling action: an fMRI study"
Neuroscience and Neuroeconomics 2: 21-32.
その続きを、
実験は、
行動実験 と 脳の反応をみる実験
の2つで構成されています
まず、行動実験
被験者は、19名
平均年齢 33.5歳、全員女性
被験者に見てもらうのは
お客さん目線で録画された、
美容部員の方が対面販売で
商品をお客さんの前に置く動画
商品は実際のもので
20種類の中からランダムに選択
そして、
美容部員の動作が5パターン
1)両手で指をそろえて
2)両手で指をそろえず
3)片手で指をそろえて
4)片手で指をそろえず
5)片手で上からつかむ
被験者は5パターンの動画を見て
礼儀正しさ、好感度、商品の魅力
の各項目について
0点:全くそうは思わない
100点:全くそう思う
で回答します
その結果は、
1)両手で指をそろえて
礼儀正しさ:74点
好感度:71点
商品の魅力:64点
2)両手で指をそろえず
礼儀正しさ:22点
好感度:17点
商品の魅力:24点
3)片手で指をそろえて
礼儀正しさ:50点
好感度:47点
商品の魅力:48点
4)片手で指をそろえず
礼儀正しさ:18点
好感度:14点
商品の魅力:22点
5)片手で上からつかむ
礼儀正しさ:16点
好感度:12点
商品の魅力:21点
1)の「両手で指をそろえて」
が一番評価が高く、
4)とか5)の片手でぞんざいに
は評価が低かったということで
予想通りの結果ではあります
面白いのは、
両手と片手の違いよりも
指をそろえるか否かで
違いが大きかったこと
3)の「片手で指をそろえて」が
2)の「両手で指をそろえず」に
ダブルスコアでよい印象を与えています
つまり、
片手でも指をそろえる方がいい
ということで、
何も考えず単に両手で
というのではなく、
気持ちを込めて
それが所作のディテールに
現れていないといけない、
ということですね
まさに、こんな感じです ↓
では次に
脳の反応を見てみましょう
というわけですが、
実際の実験では
1)の「両手で指をそろえて」と
4)の「片手で指をそろえず」
を比較してしまっています
お客さんの印象は
両手か片手かよりも
指がそろっているかどうか
だったので、
その違いが脳の反応では
どうなっているかを知りたいところ
著者らも同様に考えたはずです
ただ、
指のそろえ方の程度を
コントロールするのが難しいので
それはそのうち別論文にするとして
とりあえず、両手と片手で違いをみよう
ということになったのでしょう
(つづく)
文:生塩研一
お読みいただきまして、ありがとうございました。
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