昨日は、腎臓で血液が最初に

濾過されるときの話で

浸透圧の基本的なことまで書きました


『腎臓って、意外にスゴい(1)』




その続きを見ていきましょう




腎小体では、

毛細血管の血液が血圧で濾過されて

ボウマン腔から尿細管に

原尿として流れます



濾過するのに高い血圧が必要なのは

どうしてでしょうか?



まず、

原尿よりも毛細血管の血液の方が

浸透圧が高い(濃い)ので

水が毛細血管に入ろうとして

毛細血管側に圧力がかかります



それと、毛細血管を包んでいる

ボウマン嚢がボウマン腔圧として

毛細血管側に圧力をかけています



糸球体の毛細血管から濾過するには

その2つの圧力に負けないような

高い血圧が必要なのです



ただ、

その高い血圧のため

毛細血管が壊れやすく

再生しませんので

糸球体は年齢とともに減少します




濾過するのは糸球体の毛細血管の膜で

糸球体濾過膜と言います



大きいものは通れませんが、

水や尿素、グルコースは

小さいので簡単に通ります



ギリギリ通れる(数%通過)のは

ヘモグロビン


分子量 64,500、大きさ 数nm

赤血球の中にあるタンパク質で

酸素を運ぶ役割をします



ちなみに、ヘモグロビンは

酸素濃度が高い所では酸素をくっつけ

酸素濃度が低い所では離すので

酸素の運搬ができるわけです



しかし、

一酸化炭素はもっとくっつきやすくて

一緒にくっついている酸素も

離さなくなるので酸素を運べません



ついには、末梢の至る所で酸欠に、

というのが一酸化炭素中毒です




話を元に戻しまして



大雑把に言って

そのヘモグロビンよりも大きいものは

濾過されません



逆に言うと、それより小さいものは

尿素などの老廃物だけでなく、

水やNaイオンなどの必要なものも

何でも濾過してしまいます



そして、必要なものは

糸球体から出された直後、

血管に戻されているのです



何とも無駄なように見えますが

尿素などの不要なものが小さいので

仕方ありません



血球などの大きいもの以外を

とりあえず、ざっと出しておいて

後で必要なものを拾っています



必要なものとは

水、Naイオン、Kイオン、重炭酸イオン、リン酸水素イオン、グルコース、アミノ酸など



糸球体からの濾液は尿細管を流れます



尿細管は髄質に向かって真っすぐ下り

またUターンして皮質に戻って

集合管に集められます



この、まっすぐ髄質に下り皮質に戻る

U字形の尿細管を

ヘンレループと言います



$プラスサイエンス ~ 科学が気になるアナタのために-ヘンレループ


(ヘンレループ、Loop of Henle)





腎小体から真っすぐ下る部分の

近位尿細管では、

グルコース、アミノ酸:100%

重炭酸イオン:90%

水、Naイオン、Kイオン:60~70%

が再吸収されます(体内に戻されます)



また、逆に

尿酸やアンモニアなどは

近位尿細管に捨てられます



この近位尿細管での再吸収の特徴は

身体の状態に依存しないこと



身体がどんな状態でも

同じように再吸収します



しかし、その先の集合管では

身体の状態に応じたホルモンにより

再吸収が自動的に調節されます



ついでに、

腎臓は髄質の深い所ほど

尿素や Na イオンの濃度が高く

水が体内に再吸収されて

尿が濃くなるようになっています



明日は、

集合管でのホルモン作用について

見てみましょう




(つづく)







文:生塩研一




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