絶賛入院中のわたくしです。

ここ最近、息つく間もなく動いていたので、
休まんと倒れるぞ!ってお告げと思い、
病院にとどまっております。

あー、ラーメンがくいたい喰いたい。


これから書くことは、かなり重い内容ですが、お気になさらず。

自分の中での区切りが付けられたので、メモ書きです。


先日、文字通り、
【最後の晩餐】を迎えられた方が居まして。

詳しくは書きませんが、
一時退院の許可を取り、
本当に最期にBAMBINACCIOのピッツァを食べたい。
そう仰ってくれたお客様を迎えました。

最初に連絡を頂いた時から、
色々考えました。

何故うちの料理なのか。
その方はどんな気持ちなのか。
俺に何が出来るのか。
普通のピッツァが食べられる状態なのか。
などなど。

様々な思いが頭の中を巡り…
現実を上手く受け止められず、
一部の仲間に相談したり…

自分が料理人として、
お客様に何が出来るのか。

一つの答えを出そう出そうと、
無い頭を絞って考えました。

………。

答えなんて出ないです。

オープン間もない頃から、
俺の料理を気に入って足繁く通ってくれた大切なお客様が、
人生の締めくくりに召し上がる料理というプレッシャーは、
料理人としてというより、
自分という人間が
一人の人に対して何が出来るのか。
という事だと。

料理人とかお店を抜きにして考え、
お客様をお迎えしました。

なんて事はなかったです。


いつも通りのお迎え、
いつも通りの料理、
いつも通りの世間話。

自然と気は張っていたと思います。

ゆっくり食事をされたお客様。

お会計を頂戴し、
いつも通り旦那様の車に行かれると思ったのですが、
最後、見送る時に、
『最後の外食がここで本当に良かった』

とのお言葉を頂きました。

自分は笑顔でありがとうございました。としか言えませんでした。

色々考えた中に、
俺が泣いたらダメ。
辛いのは本人とそのご家族だ。
と言うのがあったので。

言葉は悪いかもしれないけど、
死を覚悟して、受け入れた人の強さに、
俺は成長させてもらえた気がします。

お客様が帰られたと同時に閉店だったのが救いです。

声を出して泣いたのは久しぶりでした。

自分に、今、そしてこれから出来る事。

それは、背伸びした料理を、サービスをするのではなく、
その時に出来る精一杯を、
常に提供する事で、
自分の店のイメージを伝える事なのではないかと思いました。

とても難しい事だと思う。

人間だし。現に今こうやって入院してるし。

感情だって、体調だってある。

ただ、それを言い訳にしてはいけないと言う事を、改めて心に叩き込んだ一日でした。

お客様にとってお店、スタッフ、料理は一期一会です。

それを再認識し、
料理人としての誇りを与えて頂き、
最後の晩餐を任せて頂いた感謝を、
これからも一生忘れず、
心の有る料理を作って行きます。

そんな機会を与えてくれた、
お客様。
お名前は当然伏せますが、
改めて。

本当に今までありがとうございました。
あなたのおかげで、
自分は今よりもっと料理を頑張れます。

そして何より、
再会出来る事を信じております。

駄文ですが御容赦下さい。


Amare e inviare questa frase.
ci vediamo.


2012.4.2 ピッツァイオーロ 草薙 博文