問題文から、設定の裏を読み取ろう!
では昨日に引き続き、東大模試解説していきましょう。まずは問題をこちら。
でましたね、確率の問題。ま、いつも出るんですけどね(笑)
個人的には、確率は問題文が長くて嫌いです。
そうも言ってられないので、問題の設定を読み込むと。
カードがたくさん入っていて、2枚引く。
同じカードなら取り除き、違うカードなら戻す。
n回で全部なくなる確率はいくつでしょう?
という問題。
しかも、始めに入っているカードの枚数は、(1)が4枚で、(2)が6枚です。
カードは減りこそすれ増えないので、(1)が(2)の誘導になってるんだろうな~と予想が尽きますね。
優勝決定法っぽい問題
また、カードが2枚になったら、最後は残りのカードを全部引くしかないですね。その一択。
ということは、カードが4枚残っているまでが、実質的な問題。
4枚残っていると、同じカードを引いたり、違うカードを引いたりして、ゲームが進みますが、残り2枚になったら、それを引いて同じです。
(厳密にはちょっと違いますが)優勝決定法の問題ですね。
「AとBが争っていて、先に3勝した方が優勝。さて、5試合目にAが優勝する確率は?」
みたいな問題です。
問題集には必ず載っている問題ですが、最後の1回はどっちが起こるか決まっているというアレです。
例題はこちら(手元の4STEPより)
但し、普通の優勝決定法と違うのは、非復元抽出だという点です。
お手元の問題集をご覧下されば分かりますが、優勝決定法の問題は「反復試行」のところに載っていると思います。
反復試行というのは、復元抽出を繰り返すこと。
つまり、何度試行を行っても、確率が変わらないタイプの問題です。
しかし、この東大模試の問題は、非復元抽出です。
同じ数のカードを2枚引いたら、そのカードが消滅します。すると残りカードも減ってしまう。
こういうタイプの問題は、状況に応じて確率が変わりますから、イチイチ計算しなければなりません。
僕の手書きの解答でも、まず最初に個別の確率を計算してしまってます。
あとで、設定がゴチャゴチャしながら計算すると、混乱して間違えるので、その予防です。
(あと、読み手が見やすいので)
設定を記号化しておくと便利
他にも、予め設定を記号化しておくと便利です。
別に確率に限った話ではなくて、何でもそうなんですが。
例えば、今回で言えば、「同じ数字のカードを引く」のと、「違う数字のカードを引く」の2通りの試行があります。
毎回、解答用紙に「同じカードを引くのは」とか書いてると面倒ですし、文字数が増えます。
ここだけの話、学校や塾、予備校の先生って、時間を測って入試問題を解くことが、結構少ないんですよね。
時間がない中、生徒に授業する準備をするので、問題を読んで、解答解説を読んで、ポイント掴んでGO!
みたいなこと、よくあります。
すると、時間の感覚がどうしても受験生とズレてしまうのです。
僕は定期的に受験生と同じように問題を解くようにしているので分かりますが、
東大文系レベルの数学の初見の問題を、25分で満点解答を作る(しかも4問連続で)って、かなり厳しいです。
方針が見えたり、解法がつかめるまでは、そんなに時間がかかりませんが、模範解答を作るとなると、かなり時間がかかります。
だから、日頃から時間を短縮するような工夫は、積極的に取り入れるべきです。
今回で言えば、試行や事象に名前が付いてないので、名前を付けておく。
計算式や和の計算、インテグラルなどに名前が付いてなかったら、イチイチ付けておくと、後々便利です。
ということで、僕の手書きの解答では、
「2枚とも同じ数字のカードを引く」をA
「2枚が違う数字のカードを引く」をB
として設定しました。
(1)は、教科書例題レベル
では、(1)から解いていきましょう。
n回目にAが起きるというのは自明ですね。だって、最後の一回はカードを減らさなきゃいけないので。
ということは、n-1回目までは、ずっとBが起き続けるということです。
これさえわかってしまえば、(1)は簡単。
というか、むしろ、さっき貼り付けた、4STEPの問題より簡単では?
あとは、手書きの解答をどうぞ。
超基本:分からないものは文字で置け
次に(2)ですが、これは文系受験者にはちょっと難しかったかもしれませんね。
その理由は後で書きますが。
さて、設定を見てみると、カードを6枚に増やしました。それ以外は、(1)と全く同じです。
(1)では、最後のn回目以外は、ずっとBが起きれば良かったのですが、
(2)では、最後のn回目以外にも、どこかで一回Aが起きなければいけません。
この「どこかで起きる」というのが、非常に厄介です。
工夫次第で、色々な解法があるんでしょうけど、恐らく最もスタンダードな解法は、
「どこかで起きる」というのを文字で置いて、「K回目に起きる」とすることでしょう。
すると、
(ⅰ)1〜k-1回目はBが連続して起こり、
(ⅱ)k回目はAが起こり、
(ⅲ)k+1〜n-2回目はBが連続して起こり、
(ⅳ)n-1回目はAが起こり、
(ⅴ)n回目もAが起きる。
という流れが作れます。
中1の時に文字式を習ったと思いますが、その効用は「立式出来るようになること」です。
数学は立式するまでと、立式した後の作業が全く異なります。
というか、立式したら、あとは方程式の理論に従ったり、習った計算方法に従って、計算をすすめるだけ。
立式するまでが難しいんです。
今は、kという文字で置いたので、立式が可能になりました。
さあ、進めましょう。
工夫してみた
このままでも進められるのですが、ちょっと工夫しましょう。
実は、上に書いた(ⅰ)〜(ⅴ)のうち、(ⅲ)〜(ⅴ)は省略出来ます。
なぜなら、(ⅱ)が終わった瞬間に、残りカードが4枚になり、(1)と同じ状況になるからです。
(ⅱ)までに終わった試行は、k回。
ということは、残りn-k回で(1)と同じゲームをすれば良いのです。
いわゆる、「誘導に乗った」わけですね。
シグマを取るのは当たり前!?
さて、ここまでの計算で求めたのは、k回目にAが起こる確率です。
しかし、実際は、1回目の確率、2回目の確率、3回目の確率・・・と、たくさんのパターンがあり、それぞれ足さなければなりません。
ということで、今求めた確率の和を取ります。
具体的には、Σを取るわけですが、これがちょっと難しい。
いや、計算自体は難しくないんですが、確率の問題を解いている最中にΣを使うのは、文系受験者にとっては、ちょっと厳しいのではないかと思いますね。
理系なら「出来て当然だろ!コラァ」と、酷い扱いを受けて終わりなんですけど(笑)
まあでも、最後のΣの計算の手前で終わっても、今回の模試なら上出来かもしれませんね。
文系受験者なら、確率の最中にΣを取ることもあると知り、胆力を付けましょう。
理系なら、この問題は最後まで行きたいところ。
共通問題ですので。
では、手書きの解答に行きましょう。
(河合の解説より、分かりやすいと思います。)
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