被災者の視点に立ち | 東大に文理両方で合格した男が綴る、受験の戦略

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こんにちは。


久しぶりに本格的にブログの記事を更新しようと思います。


昨夜から、現在にかけて(そして、もうしばらくも)被災しています。


自分で被災したというのも、被害者根性がはたらいているようでイヤなのですが、事実、客観的に見ると完全に被災しています。


2月14日、バレンタインデーの日に、関東各地は記録的・・・いや数十年に一度の超豪雪に見舞われています。


ちょうど一週間前、2月8日にも、記録的な豪雪が降り、高速道路や鉄道を始めとして各種のインフラがストップしてしまいました。


(ちなみに、2月9日は、日本最大級の選挙である、東京都知事選がありまして、これも何か関係しているのでしょうか)


二週連続で、誰もが経験した事のないような雪を体験するのですから、混乱は必至でしょう。


今回は、私がどのように被災したのか、記憶を頼りにしながら、記録として残し、所感を述べようと思います。



2月14日


14:00頃

富士吉田に出勤していたですが、東京に戻れなくなる恐れがあるという事で、同僚の方々に気を使っていただき、退勤の許可を得る。


14:15頃

最寄りの駅に駆け込むも、一時間に一本の電車はちょうど発射してしまったばかりと言われる。次回の電車は15:45頃まではないと情報を得る


14:30頃

各種交通状況を調べ、車で大月まで出る事を選択する。

※路線バス、高速バス、高速道路は全てダメ、電車は富士急行線は一時間に一本運行しており、中央線は本数を減らして運行している。一般道は通行可能だが、酷い渋滞の恐れあり。


14:50頃

母親に雪の状況を聞くと、案の定こっち(実家)に帰ってこいと言われ最悪宿やなくなる可能性なども考え進路を変更。御坂トンネルから甲府側に向かう。


15:20頃

赤坂の交差点付近で、国道が全く動いていない。通行止めではないが、車が集中しておりほとんど動かない。


15:30頃

状況変わらず。しかし15:45過ぎに電車がある事を思い出し、最後の賭けで電車に向かう。


15:45頃

電車へ向かうために進路を変更するも、行く手を阻むものが多い。

まず近所で道を間違える(雪景色はどこも同じに見える)

何故か片側通行している場所に遭遇(これは道を間違わなければ出会わない。)

最後の路地で、のろのろと道のど真ん中を歩く女性に出会い焦る気持ちと裏腹にスピードを出せない(雪が掻いてあるので端に寄れるし、1メートルほど後ろに私の車があるうので気付くはずなのに、なぜか脇に寄ってくれない)

そして、何とか車を置いてダッシュで駅へ向かうも、軽トラックが急に飛び出してくる。走っていた足を止められる。

このような数秒、数十秒の遅れが命取りになり、あと10秒早ければというタイミングで電車が目の前を通り過ぎる

絶望感

次回の電車は16:50頃の発射予定とのこと。一度職場に戻る


16:35頃

早めに職場を出て、今度は電車を待機することに


16:50頃

次回電車の発車の目途は立っていないというアナウンス


17:00頃

あと10分語に大月行きの電車が来る情報


17:10頃

大月行き電車に乗車


18:10頃

大月に到着

実家に戻ろうか、東京へ戻ろうかを判断するが、どうやらどちらも可能そうなので、東京方面を選択。

次回の電車は18:50頃


18:50頃

高尾行き電車が到着。発射までしばらく待つ


19:00頃

高尾行き電車発車。安心と共に眠りにつく


19:35頃?

起きると相模湖で電車が止まっている。アナウンスによると、高尾でポイントの点検をしなければならないため、電車が発車出来ないとのこと。すぐに終わるかとタカをくくり待つ。


23:00頃

ポイントの点検終了。車内で待つ事3時間半。ぐったりしてくる。

ポイントは点検が終了したが、今度は屋根に積もったペンタグラフの雪を下さなければならないとのこと。


23:10頃?

ペンタグラフと送電線の点検が必要。これには時間がかかるらしい。一度電車から降りるように指示が出る。


23:20頃

乗客の一部の不満が爆発。正確な状況説明を駅員に求めて場が騒然となる。これは私も同意。

どうやら、送電線が切れたらしい。

送電線を回復させるには、復旧用の道具や替えの送電線などを相模湖駅まで持ってこなければならないらしい。

高尾から車に積んで作業員が向かっているとの事。

寒いのを我慢しながら待つしかないのかと途方に暮れる


23:30頃

寒いのでもう一度車内に戻るように指示が出る。だったら、始めから外に出さなきゃいいじゃんと乗客が不満に

車内は電気が通らないため、とても暗い上に暖房が効かない。この頃はまだ暖房の熱が残っているが徐々に熱が奪われていく


24:00頃(0:00頃)

車内の椅子で就寝。幸いな事に、椅子の数に対して乗客が少ないため、全員がどこかしらの椅子には座れる状況


25:00頃(1:00頃)

起きる。車内がかなり寒くなっている事に気付く。

お喋りなおじさんの会話が耳に入って来る

『高尾からの一般道がとても混んでいるため、大月側からも車を出したらしい。しかし、スタッドレスタイヤでは道が乗り切れず、チェーンを巻きに一度大月まで戻り再出発したら、運転手との連絡が不通になったらしい。』

嗚呼、隣駅の高尾まで行ければ、、、

そのまま寒さで眠れず体勢を変えながら考え事をする。


26:30頃?(2:30頃?)

恐らくこの頃に何とか寝れる。寝てしまうのが一番幸せ。時間が過ぎるのを待たなくて良い。


27:00頃(3:00頃)

乗客に対してアナウンスあり。

作業の目途が立たない。寒いだろうから、近くの行政施設に移動するとのこと。暖を取れるのがありがたい。


27:15頃(3:15頃)

到着。会議室に椅子を並べて各自就寝。横にはなれないが、暖かいだけで幸せに感じる。


7:00頃

起床。眠さが取れたので、施設内を散歩


9:00頃

職員から連絡。

除雪車が何度も通らないと、作業車が到着出来ない。高尾⇔相模湖間、相模湖⇔大月間をなんども除雪車が通るには、少なくとも午前中いっぱいはかかる。作業員が到着したあとに、一時間ほどの作業が必要であることと、送電線が三か所も切れているため、復旧の目途は立たず。

本日の予定の断りを入れる。


12:00頃

作業終了までの目途が立ったとのこと。

作業終了から電車にて高尾方面に進めるのが、早くて18時頃になるらしい。


昼寝を繰り返し、現在に至る。


さて、ここまで感じた事を、徒然に


・今回、人生で初めて本格的に被災した。東日本大震災、阪神淡路大震災の被災者と肩を並べるつもりは毛頭ないが、少しでも気持ちに近づけたのだろうかと感じる。


①まず不安が一番の敵だった。これから俺たち(私達)はどうなってしまうのだろうか。家に帰れるのだろうか、帰れないとしてもどこかに泊まれるのだろうか。先が見えない不安は今も続く


②寒いのは厳しい。寒いと寝れない。寒いと他の事をしようとする気力が起きない。寒いと体を冷やして病気になる。寒さに耐える事は本当に厳しい。雪国の方々を心から尊敬した。


このような災害に耐えうる、忍耐力、優しさ、状況を受け入れる器、明るさ、ポジティブさは自然環境で必ず養われるはずだと思う。


③被災者の事を可哀想というのは最悪である。

まず、今の私の状況を知って、可哀想と言ってほしくない。『自分たちは安全安心な状況にいるけど、貴方達はそうではないのね』と上からモノを言われているような気がする。


被災した時に一番気になるのは、食料、暖、復旧の目途である。もしかしたら、もっと長期的に帰宅難民になったら様々出てくるかもしれないが、この短い間でも不安はたくさんある。


被災してもっとも思うのは、『ちゃんと食べられる状況になってほしい、ちゃんと暖かい場所にいたい、なるべく早く元の生活に戻りたい』ということだから、それを満たしてくれる事はとてもありがたい。


『福島の被災者の気持ちを考えたら、原発なんて不要ではないか!』という論調があるが、原発があるかないかよりも、早く元の生活に戻してほしいと思っているのではないでしょうか。原発への議論なんて二の次。まずは動かしてでもよいから、早く復旧させてくれと私なら思う。



・社会インフラは絶対に必要。予算をたくさん組んで、雇用を増やして、災害時に備えられるようにしてほし。大雪になる予報はかなり前からわかっていたが、対策がなされていない。対策を怠ったのもあるのかもしれないが、十分に対策出来る体制が整っていないのが問題だと感じる。そのためには、先立つものが必要であろう。


例えば、各駅に送電線を修理する道具を一式ずつ保管しておくとか、線路の本数を増やして送電線が切れても電車が運行出来るようにするなど。素人の私でも、ものの数分考えれば出てくる。

公共事業悪玉論などが世間をはびこっているが、そのせいで迷惑をこうむるのは公共事業が必要だと感じている人も同時である。


道路がないままの方が良いのか、復旧作業が長引くままの方が良いのか、災害に弱いままの国や首都で良いのか、その真意を否定派に問いたい。



・日本人は優しい。

このような非常時で、何人かがJRの職員を問いただす場面も何度か見受けられたが、最終的にはこの事態を受け入れて、『暖を取れるだけでありがたい、仕方ない』と言っている。これが誇るべき日本人の倫理観である!


昼寝をしたり、電話をしたり、読書をしたり、友達を作ってお喋りしたり、近くのコンビニに買い物に行ったり、困難な状況下でも楽しみを見つけて明るく過ごせるのが日本人である。素晴らしい。

JRの職員も非常に優しい。食事も飲み物も無償で提供してくれる。


配給してくれる物資を、奪うことなくみんなが一つずつ取っていく。余っても誰も奪おうとしない。誰も言わなくても並ぶし、前に入り込もうともしない。自分は後で良いから(とは言わないまでも恐らくそう思って)わざと列の最後に並ぶ人もいる


始めは、こんな目に合わせてしっかりと運賃は取るんだろうなぁとか、こんな目に合わせてお詫びが缶コーヒー一本かよ(しかも、砂糖も甘味料もたくさん入ってるし)と思ってしまったが、後々になって状況を考えると、彼らは精一杯やっている。


配給も、何度もやって来た。決して高価なものではないが、パンやカップラーメンやお茶などが配られた。これは太るな(笑)

被災したり、生命の危機に見舞われた時や、旅行先では食べすぎるらしい、いつ食べられるか分からないから、食べられるときに食べておこうという心理がはたらくという。気をつけなければ。


被災者一同とJR側の窓口になってくれている、職員の鈴木さんは寝ているのだろうか。

カップラーメンを配給してくれた時には、二つしかない電気ポッドでは足りないだろうからと、ヤカンを持って何度も給湯室と控室を往復してくれた。


始めはキリッとかぶっていた帽子や乱れてない制服も、今やしわくちゃになっているし。仕事とは言え、傍から見ても大変な仕事だなぁと思う。

有難い。



・山梨は陸の孤島


これは以前から何度もこのブログで書いているが、山梨は危ない。山梨と他県を行き来する道路や鉄道が少なすぎる。


まず、種類が三種類しかない。一般道、高速道路、鉄道の三つ

(徒歩は含めませんよ、大体が峠なので)これは、今回の大雪や先の大震災がやって来たら、全てストップする。


今回の大雪は観測史上第何位という規模だと言うが、もっと酷い雪が降ったら?同時に震災が起こったら?山梨はどうなってしまうだろうか。


実際、先週は大雪が降った後に、M5.6の地震が起きたのを覚えてるだろうか?


例えば、送電線が今回切れたが、電線が切れたらどうするのだろう。他県から電力を引っ張って来れるのだろうか。今の日本、電気がなければ何もできない。


身近な携帯電話や電子機器はもちろん、車も動かないし、電車も動かない、暖房もダメ、冷房もダメ


石油や灯油は、何日分の蓄えが県内にあるのだろうか。一月分とかじゃ足りないですよ?


ちなみに、恐るべき事に、山梨県内には、原子力発電所も火力発電所も一つもない。

まさか、災害時には水力発電で全部をなかなう気か!?


電力が止まったら、人間は無力だ。電気があっても無力だけど、電気がなければ本当に何もできない。電気はすべてのエネルギーの源。


それがストップしたら、死者が何人出てもおかしくはないだろうと思う。


原発は怖いが、正しく怖がる事が大事。本当に怖がるべき状況なのだろうか。そんなに放射線が怖いとは私は思っていない。


脱原発派の方々は(一括りにするつもりはないが)、放射線で人が死ぬのは大反発する。

でも、電気が止まって暖房が点かなくなったら寒さで病気になって、もっとたくさんの人が死ぬだろう。それは別によいのだろうか。


病院の生命維持装置が止まるという議論は聞いたことがあるが、もっと身近で人が風邪を引いたり体力が落ちたりしたら、復旧作業すらロクに進まない。


エネルギーの事を安易に考えてはいけない。



・あまりにも、東京へ行く手を阻まれるような事が起こりすぎた。これは、富士山から離れるなというメッセージか?それとも、東京へ行くなというメッセージか?それとも、お前も少しは被災地の事を考えろというメッセージか?

どのようなメッセージかわからないが、結論としては一つ。もっと謙虚になろうという事のみ。

大自然の中で、人間が一人いたところで無力である。