消費税増税を、安倍晋三はどうするのか?


消費税を1%上げると、消費税収は約2.7兆円増加するそうです。
現在の消費税5%で、消費税の税収は約13.5兆円です。

プライマリーバランス(基礎的財政収支)の赤字は、平成24年度で約33兆円。
これを、消費税で補おうとするなら、単純計算で、消費税率を12.23%アップする、つまり、消費税を現在の5%から17.23%に上げたらよいようです。

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Diamond Onlineのアンケートによると...

【質問】消費税の引き上げは予定通り行うべきだと思う?
思う   53.17%
思わない 42.06%
どちらともいえない 4.76%
(2013/8/21現在)

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いろんなヒトの意見を読んでみると...

●高田創・みずほ総合研究所チーフエコノミスト

(昭和33年生まれ、東大経済学部卒、オックスフォード大開発経済学修士課程修了→日本興業銀行→みずほ総研)

消費税引き上げは“市場”への「最低限の愛」

プライマリーバランスの赤字は、現在議論になっている2段階で5%程度の引き上げで対応できる次元ではない

・みずほ総合研究所は消費税の引き上げが、2013年度は駆け込みでGDP+0.6%分の上昇要因、14年度は1.6%分の引き下げ要因になると試算している。

・所得者層に応じた住宅ローン減税などの措置も必要になる。

前政権(民主党政権)の決めたことを覆すのは「オウンゴール」に等しい

・1%台以下の日本の国債金利を見ても、グローバルに安全資産として資金が向かう先は、
  (1) 米国国債
  (2) ドイツ国債
  (3) 日本国債
の3資産に集約されている。

 みずほ総研の考えをまとめると、
●プライマリーバランスを黒字化するには消費税率を、5%程度アップなどの生チョロいのではなく、もっともっともっともっと上げる必要がある。
●民主党政権の決めたことを覆すのは「国家の自殺」に等しい。


●熊谷亮丸・大和総研チーフエコノミスト

(昭和41年生まれ、東大法学部卒、日本興業銀行→興銀証券→みずほ証券→メリルリンチ日本証券→2007年大和総研)

消費税が日本を救う

・政府債務残高の対GDP比は210%以上で、ギリシャのほうがずっとマシ。日本はギリシャより危機的な状況

・今後は増税を行なう一方、社会保障費を中心に歳出をカットしていく必要がある

・わが国のCDSスプレッド(1.0~1.5%前後)は一度市場の信用が失われると、国債が暴落し、急速な勢いで財政危機に陥る可能性があるレベルだ。
・「日本はGDP比で見ても非常に多くの金融資産があるから大丈夫だ」という議論も出ますが、IMFの予測では「10年以内に国債発行残高が金融資産残高を超える」と見られています。金融資産は多くても債務とのバランスで見ると、「完全な債務超過状態」です。

・財政赤字の弊害は、
 (1) 将来世代への負担の転嫁
 (2) 財政の硬直化
 (3) クラウディングアウト(政府による大量の国債発行が市中の金利を押し上げ、民間の資金需要を抑制すること)
 (4) 悪性のインフレ
 (5) 円安の進行
など。

・政府債務残高がGDP比で90%を超えてくると、経済がガクンと悪くなり、成長率が平均3%くらい落ちる(カーメン・ラインハートとケネス・ロゴフによる分析)。

・日本は、身に迫る危機を察知できずに衰弱していく「茹で蛙状態」

・大和総研のシミュレーションによると、日本は2015年~20年にかけて、経常収支が赤字化する可能性が高まる。経常赤字になり、円安が進行する結果、インフレが発生し、場合によっては不況下で物価高が起きる「スタグフレーション」に陥る。そうなると、国債の価格が下がって金利が上昇し、国債バブルは間違いなくはじける。

・これから、やらなければならないことは3つ。
 (1) 消費税を中心に増税を行なうこと
 (2) 社会保障費を中心にムダな歳出をカットすること
 (3) 成長戦略を実効性のあるものにして経済を活性化させること。
これら3つの改革を全て実現しないと、財政再建はできません。

・日本では、とかく「消費税引き上げが経済に壊滅的な打撃を与える」と言われがちですが、私が分析する限り、消費税引き上げの経済への悪影響は限定的

欧州が過去に消費税増税をしていなかったら、今頃もっとひどい金融危機に陥っていたはずです。消費税率があれほど高かったから、かろうじて現状で踏み止まっている

・大和総研のデータ集計では、消費税を上げてもほとんど景気が悪化するトレンドは認められなかった

1997年時に増税していなかったら、今の税収は激減しているはず。

消費税を上げてはいけないタイミングは、第一にインフレの時期、第二に金融システム危機のとき。

・消費税増税のメリットは、
 (1) 皆が広く薄く一律に負担する税のため、職種などによって税金が多い、少ないという不公平感をなくすことができ、税収も安定する。世代間格差の是正を促すことにもなる。
 (2) 税制を世界の潮流に近づけられること。所得税や法人税を軽減して、間接税や消費税のウェイトを上げていくのが、今日の世界のトレンド。

・消費税のデメリットは、
 (1) 逆進性
 (2) 益税・損税問題
 (3) 景気への悪影響

・消費税増税をやれば、景気は若干悪くなるでしょうが、影響は限定的。
・大和総研が消費税増税の経済成長率への影響を試算したところ、増税前の駆け込み需要が起きる2013年度はGDPが+0.9%ポイント押し上げられ、増税が始まる2014年度は-1.7%ポイントとなっています。ただし、翌年の2015年度には+0.1%ポイントと小康状態になる見込みです。よって、全体で見ればマイナスの影響はあるものの、日本経済が壊滅的な打撃を受けるというほどのインパクトはないと見ています。

・社会保障の合理化などを通じて財政再建が進み、国民の将来不安が落ち着けば、5%程度の貯蓄が消費に回る可能性がある。

消費税増税が消費を活性化させ、むしろ景気を下支えする要因になる可能性もある。

・今の日本の経済成長を阻害し、日本企業を海外へ逃避させている要因は、
 (1)円高
 (2)EPA(自由貿易)などの遅れ
 (3)環境規制
 (4)労働規制
 (5)高い法人税。

・日銀の金融政策は、物価目標1%~2%程度のインフレターゲットを導入し、ETFなどのリスク資産を購入すべき。

大和総研の考えをまとめると...
●日本はギリシャより危機的。破綻(デフォルト)同然。
●このままでは、日本国債は暴落し、急速な勢いで財政危機に陥る可能性がある。
●日本は10年以内に完全な債務超過状態になる。
●財政赤字により、悪性のインフレ、円安になる。
●日本は、身に迫る危機を察知できずに衰弱していく。
●日本は2015年~20年にかけて、経常収支が赤字化、円安進行、インフレがおき、酢タググレーションの可能性がある。
●日本の経済成長を阻害し、日本企業を海外へ逃避させている要因は、「円高・EPA(自由貿易)の遅れ、環境規制、労働規制、高い法人税」。
●消費税は日本の救世主。
●日本がやるべきことは、(1)消費税増税だけでなく他の税金も上げる、(2)社会保障費などのカット、(3)成長戦略
●日本経済を成長させるためには、環境悪化や公害には目をつぶり中国のように重金属・カドミウムを川へたれながし、自動車の排気ガスを増やし、工場の煤煙で「さよなら青い空」を実行する。
●できの悪いやつは、どんどん解雇する。
●消費税引き上げの経済への悪影響は限定的。消費税を上げても景気は悪化しない。
●消費税増税は、消費を活性化させ、景気をむしろ下支えする。

てな感じでしょうか...