フンッ 分かってはいるさ。 世の中には イヤなヤツが 沢山いるって事くらい。


しかも ここの客は その比率がとっても高い。


だから イヤな客慣れしてはいる。 ・・・に しても・・・


この間の 客は あまりにも ひど過ぎたっ!!!



それは 60代後半くらいのじじぃ客だった。


低い声でボソボソと話す。 


時折 声がひっくり返るので 発作でも起こしてるみたいな感じだ。


何かを注文したいらしいが か細くて 聞き取れない。


なんだか 死にかかった人みたいだな。


最期の力をふりしぼって 注文してるのだろうか?


なんとなく 面倒くさい客の予感がする。


間違え電話のフリでもして切ってやりたいが そうもいかないので 聞き返す。


「申し訳ございません。お声が少し遠いようですが」


言った途端に じじぃがキレた。


 「は!? 何言ってんの?聞こえないワケないだろっ!


あんたのキンキン声は こっちに聞こえてんのにっ!!」


じじぃが 生き返った。


死の淵から這い上がったのだろうか。


しかし 何ぬかしてんだろう。 


こっちは あんたのボソボソ声が聞き取れないって言ってんのにさ。



 最悪な事に このボソボソじじぃは 新規の客だった。


それは リピータの客に比べ “関わる時間が長くなる” という


辛い宿命を意味している。


聞かなきゃならない事が まだまだ沢山あるのだ。 


あぁ なんて呪わしい宿命・・。  酒でも飲まなきゃやってられない気分だ。


 聞きたくないけど名前を聞いた。どうでもいいけど漢字も聞いた。


だけど漢字が聞き取れない。どうしても聞き取れないので2度聞き返した。


すると じじぃの 攻撃性が さらに増していった。


「文章の章で アキラだよっ!さっきからそう言ってんだろっ!


大体あんたっ 聞こえないんじゃなくて 漢字が分からないだけだろっ!


あんたみたいな50とか60の年取ったのじゃなくて もっと若い人 電話に出してよっ!」


だってよ ・・・  


・・・・・・グツグツと ハラワタの煮えたぎる音が聞こえる・・・・・・  


よくもここまで失礼な事が言えるよな…


涙は出ないが 毛穴じゅうから 黒い煙が出た。


怒りの炎で 私の腹の中は黒こげだっ!


人の年を 50だの60だの・・・ 勝手に決めんなっ! まだそこまではいってない!



しかし 2度聞き直しただけでこの悪態。 3度聞き直したらどうなってたんだろう?


試しにやってみればよかった。フンッ



ところで このじじぃ 声といい 話し方といい どこかで聞いた事があると思ったら


内田裕也にソックリだった。


こいつも じいさんなのに ロン毛の金髪なのだろうか?



結局この客は 電話を切るまでずっと イヤミと罵倒を繰り返していた。


 

 注文商品は家庭用高圧洗浄機。 激しい水の噴射で汚れを落とすとか言うアレだ。


性根の腐った じいさんが 何をキレイにするのか知らないが


この洗浄機が 誤作動を起こして じじいを 吹き飛ばしてくれる事を


祈らずにはいられなかった。 フンッッ







                    にほんブログ村 お笑いブログへ
                     にほんブログ村