王子が王子に恋をした52-3.夜明け 編( 櫻葉小説 | なうのこたつ保管部屋

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【※無断に話や内容転写利用、画像利用はお断りします。別公式小説サイトにてオリジナル名にて上げています】


簡単な説明は↓
王子王子 説明ページ


にて、
リンク貼ってあります♪
王子王子反転シリーズ
桜屋も説明ページにあります

特別吸血鬼verもあります♪
上記に説明あります



・・・




王子が王子に恋をした52-3




「 亜紀の子供・・男だぞ 」



羚の言葉に
黙り込んでいた父が・・


湯飲みを置き立ち上がる
そして涙を堪える亜紀の両手を握り



「 男か・・そうか・・良くやった
亜紀ちゃん大切に育てて欲しい

オレはその子の為なら
なんでもするよ 」


「 春先生・・ 」


亜紀も雅紀の事で
親父に喰ってかかった立場上
まさか親父がこんなにも
自分の子供をただ喜び笑顔を見せるのに
戸惑いを隠しきれずにいた


「 だからさ・・・
もう彼は良いだろ、

翔も好きにさせておけよ 」


庸子さんもキッチンから戻って来て
亜紀のそばで嬉しそうに背中を撫で
リビングのソファーに座るように促した


「 それとこれとは・・別だ、
跡取りが出来るならよりに大切だろう 」


「 先生・・お願いします

亜紀、
翔とあの彼が一緒に居るのが好きなんです

だってそうじゃないと
亜紀だけが・・羚と幸せとか・・ 」


父の心だけが誰にも理解できず

その場を過ぎ
書斎に戻る背中を見つめていた


結局亜紀が安定期に入るのと
羚が自身の仕事そして分院の件で
多忙になるのを心配し

庸子さんが亜紀をこの家で見ると言うのが
羚が亜紀を連れて来た理由にだった


オレは・・
雅紀には会いに行けないまま
それでも何もないかと
風太の店に行っては聞かなくとも
笑顔で笑うその表情に














あの子がただ平穏に暮らしているのを感じ
それだけで幸せだった


それから数カ月が過ぎ
すっかりつわりも体調も落ち着いた亜紀が
気が付くと何処かへと出かけている
それをある夜に庸子さんから聞き

偶然に居合わせた父も
すぐに矢橋を呼ぶと亜紀の行き先を
見張らせる方へとなる


親父が消えたのを見計らい
自分も玄関を出てすぐに
矢橋の背を追いかけ呼び止めた


「 あのさ・・
もし亜紀が雅紀・・いや

あの店に通ってて何か起きそうなら
すぐに連絡してくれないか?

羚は忙しくて昼の亜紀の行動には
気付いてない

だから何かあれば
オレが駆けつけるから 」


心の奥で何かの繋がりを
期待していたのかもしれない
それでも自分だけが止まりたくないと
それと同時にオレが始めたのは

クローバーを含む
昔からある風景を守って欲しいとい
署名活動だった

まず黒井の研究所へ出かけ
事情を話せば不思議な人間だが
あの場所に固執はないと快く承諾してくれ
社内の人間にも署名させると
動きを拡めてくれる

そして自分も自社そして得意先にも
協力を願い・・

朝早く・・
そして夜は隣の駅の雅紀の住む場所で

署名をお願いし、
最終の電車が終わる直前まで
ひとの心を頼りに過ごしていた


「 ・・何してんの? 」


一度だけ・・
声をかけられた人、
それは雅紀を知る花鳥の彼で
一人にしているのを知られたくなかったが
それでも…
守る人間は一人でも多い方が良いと
事情を話し頭を下げて署名を頼む


「 ほら・・白紙の貸して、
コピーしても良いんだろ?

本社の方にも各店舗にもまわしてやるから
・・あと弱ってる時には

付け込まないから安心して・・じゃあ 」


結局風太も山吹雪のオヤジも
雅紀とつながりのある全ての人が
その署名を繋げ輪を広くしてくれる


そして数万と増えた太く
まとめられた数冊を抱え
その日は仕事を休み受付けてくれる窓口へ
そう思っていた矢先に・・


かかってきた相手が

携帯画面から
登録していた矢橋の名前が浮かび
急いで電話に出る


「 もしもし・・あの 」


「 どうした!!?何かあったのか 」


「 すみません・・すみません・・
自分がその 」


「 どうした!早く言え!! 」


「 亜紀さんが
毎日のように・・翔さんが言われるように

あの彼の店に通っていて
それを先生にお伝えしてしまって 」


矢橋の言葉から
何が起こっているのか分からなくて
すぐに向かうからと

署名を入れたリュックをかつぎ
そのまま自宅に置いてあった
自分の車でクローバーまで走り出す


全てが・・

全部やっぱり・・


心にはあの子しかいない
もしも永遠に一緒に居れなくても

オレは雅紀だけを愛し
終わるんだ


車の中で聞こえる・・
楽しそうな声、


< 翔ちゃん・・いこ!
オレ船の上から見たい!!

2人で見た初めての花火に
その時にはもう・・

雅紀がかけがえの無い人になっていた
手を繋ぎ・・

キスをして触れた肌が嬉しくて
何も考えられず
初めての時は無茶をしすぎ求めすぎた


「 オレはお前しかいない・・ 」


見えてきた見覚えのある街並みと
雅紀のマンション・・
店ぎりぎりまで車を着けて
クローバーまで走り出す


すると店先で見えたのは
亜紀と親父が大きな声で何かを言い争う姿


「 帰るんだよ亜紀ちゃん 」


「 嫌です!亜紀は姫が好き
春先生が2人を許すまで・・

私は彼の側にいます 」


雅紀が・・不安そうに・・
そして走って来たオレに気付き
時が止まる・・


でも雅紀の事よりも
大の大人が店の前で言い争う方が
ずっと雅紀に迷惑をかけ
亜紀の身体も心配になり


「 おい・・亜紀、
とりあえず帰るぞおいで 」


「 何よ!!翔の弱虫!!
店なんか要らないでしょ!!

亜紀と羚だって
大好きなんだから

何があっても平気だもん
どうして姫をひとりにするの!!?

  バカっ! 」


親父が亜紀の手を握り
矢橋の方へと歩き出そうとする


「 春先生も嫌いです!!
姫が女の子なら良いとか・・

男ならダメとか
姫が姫じゃなかったら

こんなにも誰も守らないのに・・ 」


2人の合間をすり抜けて
走り出す亜紀に雅紀が一番に追いかける


オレは矢橋に店を頼んだと叫び
その後ろに親父も走り出した


「 誰も付いてこないで!!

もう・・
亜紀だけじゃない・・・みんなバカっ 」


あんな身体で・・
亜紀が必死になる姿は
ここにいる全員が見た事がなかった


息をきらす親父が・・
川原へと下りる道で叫ぶ


「 亜紀ちゃん・・
君のお腹にはオレの夢が育ってる

頼むから・・無理をしないでくれ
羚にも・・翔にも・・・
してやれなかった事を

その子にしてやりたい
育つ姿を一緒に見せて欲しい・・頼む 」


親父・・・ 


仕事だと家に居なかった人
病院にしか興味がないと思っていた


亜紀が親父の言葉で
振り返って・・

雅紀がその姿に
何かを感じ走り出して
亜紀を支えようとして・・

後ろにあったのは
川へ下りるアスファルトの階段


「 雅紀っ!! 」


無我夢中だった
バランスを崩した亜紀を
雅紀が投げ飛ばすように親父に渡し

自分が頭から急な斜面を落ちてゆく
オレは・・

雅紀がおちてゆく景色を
時間が止まったように走り出し
思い切り飛び出すと
抱きしめた瞬間に・・

痛みと転げ落ちる景色に
そこで意識を失くしていた


その意識を失くした世界で夢を見る・・



「 ねぇ翔・・帰ろう 」


幼い日に羚と初めて遠くまで出かけた
自転車


「 ダメだって
今日はお父さんの誕生日だろ・・

お父さんの大好きな
キレイな石を探しに来ようって言ったの
羚でしょ 」


「 そうだけど
お母さんもケーキ作ってるよ 」


近くの大きな川に
自転車を停めてその川原で

石を探しては違うと
太陽が大きなみかんのようで
オレンジに染まる時間まで

2人でいつまでも
透ける石を探していた


「 見て!!これは? 」


「 あ・・良いんじゃないかな! 」


やっと見つけた小さな石に
喜び空を見上げるともう山の合間に
太陽は沈みかけていて

そこに大きなダンプカーが
走って来たのを見上げていた


「 あ・・自転車!! 」


「 オレのも!! 」


一瞬だった
小さなアルミの自転車は
巨大すぎる自転車を押し潰し
走り去る


「 どうしょう・・
この前買ってもらったばっかりなのに 」


「 うん・・どうしょう 」


結局大勢の大人が
消えてしまった2人を心配し
潰れた自転車を見つけて騒然となり
父さんがその場所で叫んで

泣きながら
隠れていた場所から出て行くと
絶対に怒られると思っていたのに
抱きしめられて良かったと
何度も何度も痛いぐらいに・・


「 いったい・・何してたんだ 」


やっと落ち着いた頃に
ふたりで見せたキレイな石・・・


「 あのねお誕生日のプレゼントだよ 」


「 でも・・自転車・・壊れちゃった 」


再び泣き始める父が


「 そんなの良いんだよ
何台でも買ってやれるぐらい

お父さん頑張るから・・
お前らには何でも買ってやる

父さんの全部で
お前らに全てを残してやる・・から・・・ 



小さな音がする・・


ピッ・・・ピッ・・・ピッ・・・
その瞬間身体中に激痛が走り
思わず声をだしてしまった


「 ん・・・ぁ 」



「 翔・・・翔!! 」


あぁ・・あの日の父さんの声だ
オレは今・・いくつだったかな・・・


そして甦る雅紀の最後の記憶に
痛みなんか・・どうでも良くて
必死に起き上がろうとした


「 何してるんだ・・骨を折ってるんだぞ
それも頭も強く折ってる 」


「 雅紀は・・父さん・・雅紀は!!?
あの子はどうしてんの 」


「 ・・彼は外で待ってるよ・・
お前が大切に抱きしめて落ちたから

軽い傷だけだ・・呼んでくるから
待ってなさい 」


そして親父とは入れ替わりで
雅紀が顔を真っ赤にして泣きながら
入ってきて自分のすぐ隣に座り込んだ


「 ・・バカ・・無茶して 」


「 翔ちゃ・・・ぁん・・ん、だいじょ・・ぶで
良かっ・・・ぁ 」


涙が溢れて
この子が怪我ひとつなかった事に
感謝をしながら動く指でそっと頬を撫でた


「 亜紀は? 」


「 ん・・・ふっ・・だいじょぶ・・ 」


「 そっかぁ・・良かったなぁ 」


「 しょ・・・ちゃん 」


「 どうしたの?雅紀 」


白い部屋の中で・・
ふたりだけの久しぶりの会話に


「 クローバーも・・いらない・・・
亜紀ちゃんや・・
羚さんにも迷惑かけちゃうかも

でも・・オレ・・ 」


自分の頬にも涙が・・伝うのが
出来た傷に染みたので分かる


「 ん・・ 」


「 側にいても・・良い・・かなぁ 」


「 当たり前だろ・・
雅紀はオレの物でしょ・・

ゴメンな遅くなって
好きだよ・・雅紀  」


「 オ・・・オレも・・大好き 」





・・
・・・・・



「 なぁ庸子・・ 」


「 なぁに? 」


深夜の病院の待合室で
2人きり・・


「オレは何か間違っていたんだろうか 」


「 あなたは・・翔と羚の事になると何も見えなくなるでしょ 」


「 父親として・・最高な未来を与えたい
先に逝く身としてはと思うだろ 」



「 大丈夫・・
まだまだ長生きしますから

ねぇ羚に仕事を継いでもらったら
また石・・・探しに行きましょうか? 」


「 あぁ・・そう言えば・・
そんな時代もあったな 」


「 どうして…
男とか女とかあるんだろう 」


「 そうねぇ・・無かったら
地球に人が居なくなるからじゃない?

でも1人や2人ぐらい
そうじゃなくても居なくならないわ

亜紀ちゃんがその分・・
生んでくれるわよ 」



結局・・・
オレの車を戻してくれた矢橋が
その足で署名を届け
父からの言葉添えもあって

クローバーと、
その周辺への計画は白紙も戻る
もちろん黒井もその中の一人だ



オレは2週間ほど入院してから

脚の骨折を残し
杖で退院して一度実家へと戻る



「 誰があなたの世話を見るのかしら 」


庸子さんが三度の飯の度に言い
親父がそれを見ては笑う



「 翔、庸子が大変だから
この家を出て行けばどうだ? 」


「 え・・あなたたち鬼じゃね? 」


「 ほら・・迎えに来てるわよ 」


そう言ってドアから見えた姿に
オレは・・親父を見る


「 ・・一生独身ってことで通せ、
それからホテルのフロントで・・

男が男にキスをするな・・ 」



「 あら・・あなたもしてたでしょ? 」


「 オレは男だし庸子は女だろ 」


そう言って出てゆく父が
擦れ違い様に雅紀に声をかける


「 また・・
唐揚げを食べに行っても? 」


「 ・・えっ・・
あ、はい是非待ってます 」




そしてオレは腕を広げる


「 翔ちゃん・・ 迎えに来たよ・・ 」



「 遅せぇよ・・ 」


雅紀の薄い髪が
揺れて涙目になる



「 うん・・ごめんね 」



「 別に・・謝るもんじゃねぇし 」



「 じゃあ帰らない? 
ご飯もお風呂もしてあげるのに 」



「 帰る・・・連れて帰って・・ 」


もう気が付くと
雅紀を抱きしめて・・

絶対に離さないと
壊れそうに力を入れていた


「 あのね・・引っ越したんだ 」


「 そうなの!? 」


「 うん・・翔ちゃんが
過ごしやすいかなって

それに友達も亜紀ちゃんや羚さんも
沢山これから来てくれると思って 」


「 うん…そうだな… 」




そしてオレ達は
ふたたび一緒に暮らし始め


亜紀がオレ達の家で
子供を生んだらしばらくお世話になるのと

雅紀は喜び、
オレはまた2人きりの生活が
邪魔されてしまうと文句を言いながら


それでも幸せで仕方なく
柔らかな縁側で雅紀へと手を繋ぐと



いつまでも…
風に揺れる四葉の葉を眺めていた





















・・・fin




終わったぁ・・
長かった・・

親父編本当に長くて


途中で
くじけかけたけど笑

それでも
頑張って頑張って

結局好きだから
なんでも固執する
それが愛情だったり

黒い感情になったり・・
だけどやっぱり
好きだかってね


王子王子は
ここで終わるつもりも無いし
だけど大きな山場が終わったから
あとはそんなに波はたてたくないなぁ

みんなの中で
ラストはどうでしたか?

思い出が愛情になり
愛情が未来になる
それがお話の根であって欲しいと
なうは思ってます

リア嵐ごと
全然ついていけないし
リポ記事もほぼ妄想だけどね笑


明日は祝日で
なうは仕事

火曜と木曜は
プレとグッズ買い2日行く予定
なのでお話が今週は不安定です

限定にある
話しとかも開放しようかな。。
あ、ヤバイのはダメだけど笑

葉ちゃきや
社長でしのぐと思います

日曜は久しぶりの
王子のふたりを書きたいけど・・

吸血鬼も書きたい
どうしょっか

お出かけするので
そこも考えるね


本当に長い苦しい編だった
一緒に読んでくれて
ありがとう


明日もこの場所で・・・


なう


感想は今朝一番の記事に
もらえると嬉しいです^^
00時まで開けて欲しいと
言って頂けたので
00時まで開けますね





内容を変えてアップ2話まで
しております♪
→ Site exchange 月影



・・・ 


はじかれちゃった場合
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sakura&leef


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