21日、USEN(4842 )は映画製作会社、日活の買収に向け、
同社の親会社であるナムコ9752 〉と検討を始めたと発表しました。
ナムコから発行済み株式の過半数を買い取る方針で、
取得額は数十億円になる見込みで、5月中の手続き完了を目指します。
USENは日活の買収で映画製作に本格参入します。

USENは、映画配給会社のギャガ・コミュニケーションズ4280 〉を

子会社化するなど、映画事業を積極展開していて、

日活の買収で同社の撮影所を活用し、

「年間10数本の映画を製作する」(USENの佐藤英志常務)ほか、

日活映画のブロードバンド(高速大容量)配信も計画しています。 

(ライブドアニュース)

日活は1912年「日本活動写真」として発足、

45年に「日活」に社名変更し、

太陽の季節 」や「狂った果実」などの青春映画で人気を集めました。

その後、バブル崩壊で行き詰まり、93年に会社更生法の適用を申請し、

97年にナムコが再建に乗り出しました。

日活の映画には古いものが多いですが、

同社の撮影所を活用して新しい映画を製作し、

今月6日に試験放送をスタートさせた「Gyao」(ギャオ)で

自社製作の映画を配信することになるのでしょうか。

もしくは、日活の古い映画も配信してシニア層へブロードバンド浸透させ、

収益を上げるというスタイルも考えられますね。

シニア層はお金を持っている方が多いですから、

シニア層が眠らせている貯蓄を市場に流動させるのに有効だ、

という見方もできますね。楽しみです。

また、日活が保有する「シネ・リーブル」など全国八つの映画館で、

子会社化したギャガの映画を優先的に公開し、

興行収入増加につなげる狙いもあるでしょう。

ギャガは映画館を持っていないため、

繁忙期の夏休み時期などに劇場公開できないことが

興行収入不振の一因になっていたからです。

切られお富! さんからTBをいただき、

興味深い視点だったので、追加します。

切られお富! さんは、「これはIT企業による版権囲い込みの一つである」

という主張をなさっており、「日本で一番古い映画会社で、

業界一の稼働率を誇る撮影所と過去の名作の版権を多数持っているこの会社が、

なにやら浅薄な<流行りモノ企業>に玩ばれている姿を映しているようで

悲しい話である」とおっしゃています。

私は、4月1日に「サイバー+既存事業 」や

3月26日「楽天白星発進」や3

月17日「インターネット広告がラジオを追い抜いた」や

3月17日「見えない大陸で発生したゴジラ企業」でお話しましたように、

IT企業が既存事業会社を買収するのは

一時的な浅薄な<流行りモノ企業>による玩びなどではなく、

これからの時代の自然な流れだと感じます。

また、これが経済を活性化につながるのだと思います。

著者: 佐々木 俊尚
タイトル: ヒルズな人たち―IT業界ビックリ紳士録