Trust(15) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「珍しいわね。 本なんか読んじゃって、」

紗枝は社食で夏希を見かけて声をかけた。

「あ、や、・・たいしたもんでも・・」

夏希は恥ずかしくなって慌てて伏せた。


身体にいい漢方

とタイトルが目に入ってしまい

「漢方? これまた意外な・・・」

紗枝は自分のトレイを彼女の隣に置いた。

「漢方って・・なんか体によさそうじゃないですか?」

「・・まあ・・あたしもあんまり漢方には興味ないけども。」

「健康生活を送るためにはやっぱり日ごろから身体を大事にしないといけないんじゃないかと、」

「・・健康に興味あるのね・・」

「まあ。 あたしはホラ、見たまんま超健康体なんですけど、」

紗枝はそこでピンときて

「ああ・・ダンナさんの健康?」

と訊いてみた。

「・・めっちゃ忙しいじゃないですかあ。 あたしの100倍は働いてんですよ。 そんでたまの休みには嫌な顔せず犬の散歩とかも積極的に行ってくれるし。 前に胃潰瘍で倒れちゃったことがあって、」

「ああ・・社長が倒れた時とかなんとか?」

「そうなんです・・。 それをきっかけにタバコはやめることになったんですけどね。 お酒も飲めないし、まあ食べ物に好き嫌いもないんですけど・・なんかね。 あたしのがめっちゃ食べるくらい食が細いってゆーか、」

「・・あなたは食べそうやもんな、」

紗枝は見たまんまを言った。

「にしてもですよ。 なんかその上、子供欲しいとか酷かなあとか思ったり、」

「子供? ああ・・。 まあでも。 結婚してまだそんなに経ってないんでしょう?」

「1年半くらいですかね・・。 でも隆ちゃん・・、あ、旦那さんのことなんですけど。 いろいろ仕事でストレスたまってるみたいで。 まずは自分が健康体にならないと、なんですよ・・」

「ふううううん。 彼、けっこうまっしぐらなタイプやもんね。 仕事もやりすぎちゃう?」

「そうなんです! でも、けっこうそのことで本人も悩んでて。 ちょっとかわいそうになっちゃって、」

「・・それも性格だからね。 ストレスためないようにって言っても。 なかなか楽天的になれない性分かもしれへんし。」

「あたしみたいに楽に生きれればいいのにって、言うんです。」

紗枝は思わずアハハと笑ってしまった。

「・・夫婦って不思議にそうやってお互いに足りないものを求めるのようね。 二人になってちょうどいいことってあるわけで。 高宮さんはあなたがいなかったら今頃大変なことになっていたかもよ、」

「え?そーですかあ?」

「そうよ。 あなたがそばにいるから。 今の彼があるんじゃない? もしそうじゃなかったら今頃ノイローゼにでもなってたかもしれないわよ、」

「・・えっ、そうですかね???」

夏希は思わず身を乗り出した。

「だから。 もうそこにいるだけで。 彼の力になってるって思えばいいのよ。 あなたがこのままでいることが彼の為になるんじゃないかしら、」

紗枝は優しく微笑んだ。


夏希の健気な『妻』ぶりに、紗枝は微笑ましく思い・・



人気ブログランキングへ

↑↑↑↑↑
読んでいただいてありがとうございました。よろしかったらポチお願いします!