Began at the time(10) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

結局


樺沢は志藤宅に泊まってしまった。



「ほんっとメシもうまいし、かわいいし。 いい嫁さん貰ったなあ、」


一緒に出勤した樺沢はつくづく言った。


「まあ・・・。 仕事をバリバリするってよりも、家庭が似合うっていうのかな・・・。 おれはああして家で待っていてくれる子がいいって思ってたから、」


志藤はちょっと照れて言った。



あいつも


おれを待っていたんだろうな



樺沢は離婚した妻を思った。


未練はないけれど、


ああしていればよかった


こうしていればよかった


と、たまに思うことはある。




「あ、おはよ。」


エレベーターホールで香織に会った。


「うっす・・・。 姐さんちょっと今日は遅いんとちがう? いつも早いのに、」


志藤は時計を見た。


「ああ。 天気が良かったら。 部屋のそうじとか洗濯とかはりきっちゃったから。」


「案外家庭的なんやなあ、」


「案外は余計でしょ。 ほら、ウチ母があたしが5歳の時に亡くなったから。 おんなじ敷地内に住んでたおばあちゃんはいたけど、自然と自分でいろいろするようになったから。 家事はひととおりできるよ、」


香織は明るく言った。



「ますます。 姐さんみたいな非の打ちどころのないイイ女が、なんで独身なんかなあ。」


志藤はややオーバーに言って笑わせた。


「そんなムダなことを疑問に思うな!」


香織は志藤の背中を叩いた。



香織は先にエレベーターを降りていった。



「・・ウチの姐さんは苦手?」


志藤はナニゲに樺沢に言った。


「えっ??」


びっくりして立ち止まってしまった。


「おしゃべりなおまえがぜんっぜん話に入ってこないし、」


エレベーターで志藤と香織が話込んでいる間も、樺沢は全く関わってこなかった。



「や、・・・苦手じゃないよ。 別に、」


そう言ってすーっと秘書課に入って行ってしまった。



何とも言えない違和感。



志藤は何となくこのころから感じていた。





「あれえ、かおりん。 まだいたの?」


南は外出先から戻ってきたのは8時になってしまった。


事業部には香織しかいなかった。


「あー・・うん、」


香織は別に仕事をしている風ではなく


携帯でメールをチェックしていた。



そして、ふいっと立ち上がり


「んじゃ。 帰ろうかな。」


バッグを手にした。


「あ、あたしも帰る。 ゴハン食べてく?」


南が言うと、申し訳なさそうに


「あ、ごめん。 ちょっと約束あるから。 また今度ね、」


小さく手を振って出て行ってしまった。



その後。



「あ、お疲れさんです。」


南は廊下で樺沢に会った。


「今帰り?」


「ええ。 お先、失礼しまーす。」


いつものように明るくそう言って彼も去っていく。



南も


またその『違和感』を感じつつあった。




ん? 何の『違和感』なのか?



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