Love for the future(16) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

外に出てベンチに座ってランチを採った。



「このサンドイッチ、美味しい。」


詩織は佐々木の妻が作ってくれた玄米パンのサンドイッチが気に入ったようだった。



「奥さんが管理栄養士の資格を持っててね。 いつも料理もすごーく美味しいんだ。 社長は月曜日から金曜日までは東京に単身で住んで仕事もして、週末になると奥さんのいる安曇野にやってくる。 子供さんはいないんだけど・・・本当に幸せそうだなァって。 夫婦二人でこうして自然の中で好きなことをやって・・・。 ウン、理想の夫婦だなって思ってた、」


拓馬もサンドイッチを頬張った。



「こんなにステキなところで作品を作れたら・・・。 きっといいものができるでしょうね。 私も花を扱っていますけど、狭い部屋で活けているだけだと気持ちが詰まってしまうことがあって。 花はこうして自然に咲き乱れているのが一番美しい。 少しでもそれに近づけるようにしたいと思っています、」


詩織は近くに咲いていた小さな花を手にした。



彼女の横顔が本当にキレイだった。



もう


彼女に自分の魂の全てを持っていかれてしまっている。



父にあんなに反対されていたことも


忘れてしまいそうなほどに。




拓馬はそっと詩織の肩を引き寄せた。



優しい風がふうっと吹いてきて、それに後押しをされるように


唇を重ねる。




夕方になりペンションに戻った。



「ああ、おかえり。 荷物、部屋に運んでおいたよ。」


佐々木は笑顔で拓馬に部屋のキーを手渡した。



「あ・・・・すみません。」


反射的に受け取ったが、それはひとつしかなかった。


一瞬、二人は固まった。



「二階の角部屋。 一番眺めがいいんだよ。 山が朝日に照らされるのが見えてさ、」



その戸惑いを全く感知せずに、佐々木は嬉しそうに身振り手振りで二人に話をした。




確かに素晴らしい眺めの部屋だった。


夕陽で橙色になった光が柔らかに差し込む。



しかし。



二人は並べられたベッドのそれぞれの端っこに腰掛けたまま


沈黙を続けていた。




「・・・やっぱり・・・。 もうひとつ部屋を用意してもらうから、」



拓馬は思い切って詩織に言った。



「えっ・・」


彼女が意外そうにそう言って顔を上げたので、ドキンとした。



「や・・・。 ウン、やっぱそうしてもらおう。」


彼女の顔がどぎまぎして見れない。


拓馬は立ち上がった。



「・・あのっ!」


詩織が彼が部屋を出て行くのを止めるように大きな声を出した。



「・・・私は・・・かまいませんから。」



そのあと、消え入りそうな小さな小さな声でうつむいてそう言った。




かまいませんから・・・・




って!!!



拓馬は心臓がバクバクいいはじめて、思わず胸に手をやって背を向けた。



正直


この一泊の旅行を彼女が承諾してくれた時点で



ひょっとして。



との思いはあった。



しかし、いつもは数人ががやがやと一緒だったりして、全くもってそんな雰囲気にはならないだろうとの


予感もあり


期待はしないでおこう、と思ったのも事実。




・・いいのかな・・・



拓馬はおそるおそる彼女に振り返った。



案の定部屋もひとつ・・・の展開に拓馬はやや動転気味・・・




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