Want to see you(17) | My sweet home ~恋のカタチ。

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そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「え、ウサギ・・・?」


泉美は怪訝な顔をした。



「・・・結城さん、マンションでウサギを飼っているんです。 2日ほど留守にしてしまっているので・・・どうしているか心配なので。 もし・・・時間があったら様子を見てきてもらえませんか、」



あゆみは彼のウサギのことを心配した。



「ウサギが・・いたの? 知らなかった・・・」


以前彼の部屋を訪れた時はその気配を感じなかったので少し驚いた。



「・・結城さん・・・今はひとりになりたいと言って。 あたしにも会いたくないみたいなので、」



あゆみはうな垂れてそう言った。



「ちょっと待っていて、」



泉美はそう言って奥の部屋に入っていった。


戻ってきた彼女はあゆみにキーを手渡した。



「・・あなたが行ってちょうだい。 悪いけど、」



「え・・・」



「主人と話をしたの。 いずれあのマンションも引き払って実家に住まわそうって。」



あゆみは少し驚いた。



「そして。 『ゆうき』の仕事に就かせるように・・・・修行させるって。」



「・・『ゆうき』を・・・」



「比呂くんも承知したようなの・・・・・」



やはり彼は本気だった



あゆみはぎゅっと唇をかみ締めた。




その夜



あゆみは彼の部屋を訪れた。



突然訪れても



彼の部屋は整頓されていて


殺風景なほどだった。



すぐに部屋の隅のゲージに駆け寄る。



「ウサちゃん、」



ゲージの隅で丸くなっていた『彼女』に声をかけ、急いで手を入れた。



元気に鼻をひくひくさせてあゆみをジッと見つめる。



「よかった・・・・。 エサも十分に置いてあったのね、」



彼女が元気でホッとした。



外に出されたウサギはぴょんぴょんと跳ねて、ちょっと止まって耳を両手で一生懸命に撫でた。


その姿がすごくすごくかわいくて


自然と笑顔になる。




あたしたちは



これからどうなるのだろう




あの彼のどんよりとした目を思い出してしまった。





「あ? ウサギ????」



有吏はウサギを連れて帰って来たあゆみに驚いてしまった。



「結城さんとこの。 いつまで入院になるかわからないし。 紙袋に入れて連れてきたけど、いつ出てくるかと思ってヒヤヒヤしちゃった。」



とりあえずの寝床のダンボールにタオルを敷いて、その中に入れてやった。



「結城さんが? ウサギ????」


またしても驚いてしまった。



「こうしてね。 女の子が髪を洗うみたいに耳を両手でゴシゴシするの。 もー、かわいくて。 ウサギは飼ったことないけど、こんなにかわいいんだって、」



あゆみは明るく言ったが、有吏は小さくため息をついた。



「悠長だなァ・・・・」



「会社では。 けっこうな問題になってるの?」



あゆみは少し心配そうに言った。



「斯波さんが呼ばれたりして。 たまに事業部にもスポンサーさんからその件についての問い合わせがあったりするけど。 ・・・まあ今の所は打撃はないけど・・・・、」



口ごもる有吏にあゆみは彼の社での立場の危うさを感じ取った。




「なんだか。 すごく元気がなくなってしまって。」



「・・斯波さんも言ってた。 もう何もかも諦めちゃって・・・辞めちゃうのかなって・・・」



「ぜんぜん・・彼らしくなかった。」



あゆみはウサギの頭をそっと撫でた。



「いつも自信満々で上から目線で。 ・・なんかそんな結城さんの姿想像できないな、」



「あたしも・・そう思ってた。 でも・・・・傷つくのが怖いのかなあって・・」



「え、」



「傷つきたくないから・・・・本音で人と接することができなくて。 たぶん女の人に対しても深くつきあうことを避けてきた・・・・」



あゆみはポツリとそう言った。



あのウサギを引き取ってきたあゆみは結城の心の奥底にある本当の彼に思いを馳せます・・




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