Surely all the time(8) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

彼女の淹れてくれた紅茶を口にした。



「・・オレンジの香りがする、」



そのフレーバーが意外で思わずそう言った。



「それ。 すっごく美味しいでしょう? 前にいただいたんですけど。 寝しなにそれにちょこっとウイスキーを垂らして飲むんです。」



あゆみはぱああっと明るい顔になった。



そして、ついはしゃいでしまった自分にハッとしてまた黙ってしまった。



会話が出てこずに気まずい空気が続く。




「前に来たときよりも。 やっぱり家具を入れると狭く感じるね、」



結城は当たり障りのない話をした。



「でも。 いちおう二部屋になってるし。 有吏も自由にできますから。 前はお互いが寝ている時間に帰ると、すごく遠慮しちゃって。」


「有吏も出張ができるようになったからなー。 ほんとこの1年の間に偉くなったって感じ、」



とりとめのない会話をする中で



「・・・ずっと。 携帯が繋がらなくて・・・」



あゆみはポツリとそう言った。



「え、」



「結城さんの、携帯が繋がらなかったから、」



そして恥ずかしそうに彼を見た。



「あ・・・あー。 ごめん。 仕事で電源切ってるうちに・・・戻すの忘れたり。 ここんとこ営業が多かったから、」



ついみえみえの言い訳をしてしまう。



「メールも。 返してくれなかったし、」



彼のその言い訳を責めるように、あゆみは少し意地悪く言ってしまった。



「・・・・・ごめん、」


観念したように結城は頭を下げた。




「ほんと。 おれらしくないなァって。」



少しだけ気を緩めて結城は小さな声でそう言った。



「え・・・」



「どうしていいか。 わからなくなっちゃって。 自分から言い出したことなのに。 どう考えてもきみを困らせてしまったって・・・。」



それが


まるっきり自分が感じていたことだったので


あゆみは黙り込んでしまった。




「きみに判断を任せたくせに。 ・・返事を訊くのが怖かった。 やっぱりどう考えても・・・・きみとは離れられないって思った。」



心臓が


どくん


どくん



と音を立てる。



たぶん



二人とも同じように。




6畳の部屋はベッドを置いて、小さな箪笥をおいたらスペースはほんの少しで。 



まるで寝室に彼を招いてしまったようで、今さらながら恥ずかしかった。





「泉美さんにも・・話したよ。 おれが『あのこと』をきみに全部話したこと。」



大きな通りからは少し外れたところにあるこのアパートは


夜は本当に静かだった。



あゆみはそっと彼の表情を伺った。

ふたりきりの静かな空間・・。 果たして二人に進展はあるのでしょうか・・




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