「・・なんなんだよっ! あの大物感はっ!」
真尋は夏希が買ってきた缶コーヒーを飲みながら席を外してしまった結城のことを憤慨しながら話した。
「まあ・・・真尋さんじゃあとっても太刀打ちできないですよ、」
夏希はウンウンと頷いた。
「なんだよ、ソレはっ!!」
「結城さんって。 入社してまだ1年も経ってないと思えないほど、めちゃくちゃ存在感があって。 ま、実際あたしより全然仕事できるんですけど!」
「くっそ~~~。 何だか負けた気分・・・・」
真尋は一人悔しがっていた。
そこに
「あ! 真尋さん!」
有吏がやって来た。
「おれ、4月1日付けで正社員になれたんですよ! ほんっともう真尋さんのおかげです!! ありがとうございました!」
恩人である彼に元気よく頭を下げた。
真尋はしばしの間があって
「・・・え? 誰だっけ????」
冗談でもなんでもなくそう言った。
「へっ・・・・」
有吏は瞬間冷凍されたように動けなくなってしまった・・・
「ちょっとお・・・真尋さん。 あんまりすぎますよぉ・・・。 かわいそうに石になっちゃったじゃないですか・・」
夏希は固まった有吏の肩を揺さぶった。
「あ~あ~、思い出した。 あの飲み屋でおれがスカウトしてきた青年ね。」
真尋は本当に忘れていたようだった。
「・・あ、あんまりだ・・・・」
有吏は泣きたくなった。
「え? 正社員てナニ? 今までも仕事してたんだろ?」
「だから! バイトだったんだけど正社員にやっとなれたって話なんですよ、」
さすがの夏希もイラついた。
もう有吏は上がっていたテンションが一気に下がってぐったりと落ち込んだ。
「もー。 真尋に振り回されちゃダメ。 ああいう男だからさ。」
真緒が何とか慰めた。
「あ、ウンコしたくなっちゃった。 トイレ行ってくる。」
本人は何もこの件に触れることなく、マイペースに席を立った。
「ああいう人だから、」
夏希も有吏の背中をポンポンと叩いた。
トイレから出て、休憩室でのんびりと雑誌を読んでいた真尋のところに結城がやって来た。
「玉田さんが探していましたよ。 もうすぐ取材に出かけるって、」
真尋は別に悪いことをしているわけではないのに、妙に彼を警戒してしまった。
「・・・ちゃんと行くよ。 まったく子供じゃねーんだからさ・・・・」
憮然として答えると
「子供みたいだから、みんな心配するんじゃないですか?」
イケメンの笑顔で思いっきりそう言われた。
有吏のことを覚えていなかったのはお約束(?)みたいですけども(;^_^A 動物的勘で真尋は結城に『何か』を感じているようで・・
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