「こんちわー。」
玄関も開けて、結城は中に入っていく。
「・・・ここは、」
あゆみが不安そうに言うと
「ああ。 おれのばーちゃんち、」
振りかえってニッコリ笑った。
「は・・・・」
あゆみが固まっていると
「はいはい・・・・。 あら、比呂。 どうしたの?」
叔母が奥からやって来た。
「三味線の音聴こえるけど。 ばーちゃんが?」
「そうなのよお。 無理しちゃだめって言うんだけど、きかなくて。 あたしが教えてても横から、あーだこーだでうるさいんだから・・・。 って、」
後ろにいるあゆみに気付いた。
「ああ。 『友達』。」
結城は満面の笑みでそう紹介した。
「あら、比呂くんじゃない! びっくりした~~~! 久しぶりねえ、」
祖母のところに三味線の稽古に来ていた芸者二人は彼を見て驚いていた。
「あんまりここにも来ないからな~~。」
「もうちょっと顔を出しなさい。 本当にいつまでも心配ばっかり・・・」
祖母はため息をついてそうこぼした。
「あ、『友達』の瀬能あゆみさん。」
またも彼は普通に彼女を紹介した。
「あ、あの。 瀬能あゆみです。 おじゃまいたします・・・・」
慌てて頭を下げたが
また。
なんで結城さんのおばあちゃんとこに・・・あたしはいるわけ????
もう頭が混乱した。
「キレイなお嬢さんねえ。 まあ、ゆっくりしてくださいな。 今、お茶淹れてくるから。」
叔母は特に気にもせずに台所に立ってしまった。
「い、いえ! おかまいなく・・・・・」
あゆみは自分のナリを改めて見てハッとした。
しかも!
こんな格好だし!!!
化粧だって・・・してないし!!
いきなり慌てたが、もうどうしようもない・・・
「ま~~~。 かわいい子連れちゃって。 彼女?」
年のころは30も半ばであろう芸者は三味線をしまいながら、からかった。
「なかなかねー。 真面目な子でねえ。 おれのことなんか眼中ないよー、」
落ち込んでいるあゆみは、そんな冗談を言う彼を恨めしそうに上目づかいで見た。
も~~~!!!
またも突然結城の祖母の家に連れてこられたあゆみはその成り行きに彼を恨みます・・・
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