Smile on me(3) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「なんか。 ここんとこメールも返してくれないじゃん、」


結城は不満そうに言った。



「・・ごめんなさい。 なんだか忙しくて、」


あゆみはベランダに出て小さな声で話していた。



「で。 どう?」


「・・・みなさんによくしていただいてます。 本当に・・ありがとうございました、」



この前


有吏に言われたことを思わず頭に思い浮かべてしまった。



オケの女の子に手を出して


事業部を大混乱させたという彼のことを。




「今度、休みいつ? またメシでも食わない?」



普通に誘ってくる彼に



「・・まだ・・なかなかペースになれなくて。 時間があるときは家のことをするのに精一杯で。 ごめんなさい、」



すぐに断ってしまった。




すごく気持ちが苦しくて。


戸惑う自分にも気づいていた。





「いつもありがとうございます。 またおいで下さい、」


あゆみは外まで客を見送った。



「ありがと。 あゆみちゃんと話してると、イヤなことも忘れちゃうよ、」


『ルシエ』に来る客は年齢層が高くて、ママの人柄からかいいお客さんが多かった。


会員制ということもあって、キャバクラのようにトラブルを起こす客もおらず、安心して仕事ができた。



「よかったら。 ぼくも相談に乗るよ。 電話、頂戴。」


その人は年齢層の高い客の中でも珍しい30代のIT企業の社長で、独身。


あゆみが店に出るようになってから、ずっと指名で来てくれている。



この日初めて携帯番号が書かれたメモを手渡された。



「・・・ありがとう、ございます。」



少しひきつった笑顔でそれを受け取った。




「松永さんは。 あゆみちゃんがお気に入りねえ。 あなたがいない日は来ないんだから。」


店に戻るとママが笑いながら話しかけてきた。



「彼。 34の若さで年商10億とも言われるくらい稼いでるって。 しかも・・独身だし!」


先輩ホステスたちもその話題に入って来た。



「マジに。 あゆみちゃんのこと狙ってるんじゃないの?」


「そんなこと。 でも大切なお客様ですから、」


あゆみは何でもない風に笑ってその場を繕った。




別にこんなこと今までもよくあったし、どうってことないと思っていても。


その人が何を考えて言い寄ってくるのをいちいち意図をくむのが面倒で、深く考えないのがクセになってしまった。





「こちら。 お下げいたします。」


翌日の昼間は『ゆうき』で仲居の仕事。


何とか大きな失敗もなく頑張ってやっていた。



「ああ、すみません。 あの・・・」


3人できていた30くらいのサラリーマン風の男性客の一人から声を掛けられた。



「・・新しく、入られた方ですか。」


彼はにこやかに言ってきた。


「ええ、2週間ほど前からです。」


「ここはお昼もそれなりの値段なので。 ぼくも月に1度くらいしか来れないけど。 初めて見るなあって。」


「まだまだ慣れないので。 よろしくお願いします、」


あゆみは微笑んで答えた。


すると彼はさっと名刺を取り出して


「この近くの港南運輸に勤めてます。 よろしく、」


と笑顔でそれを手渡してきた。



「あ・・ハイ・・」


あゆみは笑顔を作ってそれを受け取った。



あゆみに言い寄る男は後をたたず・・・すっかり『職業病』のようになっておりますが・・



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