「やっぱり。 あたし嫌われているんでしょうか、」
悩んだ絵梨沙は志藤とランチを採りながらその話をした。
「は~? そんなことないやろ。 考えすぎやって、」
志藤は笑った。
「あたしにはいつもそっけなくて。 桜庭さんには細かいことを指示したりするのに、」
「それは。 エリちゃんに何も言うことがないからやろ?」
お気楽にそう言われたが何だか心が重かった。
「すみません、ごちそうさまでした・・。」
絵梨沙は帰り支度を始めた。
「え、もう?」
せっかく絵梨沙とランチという楽しい時間を満喫していた志藤は思わずそう言った。
「いつもお義母さんに竜生の世話を任せきりですから。 早く帰れるときはちゃんとしないと、」
絵梨沙はニッコリと笑った。
「あ・・そやな、うん。」
志藤は自分のガッカリな気持ちをダダモレにして、一応ひきつった笑顔で彼女を見送った。
自宅に戻った絵梨沙は天気が良かったので、竜生をベビーカーに乗せて近所の公園に散歩にやってきた。
春まではもう少し、という季節だが
桜のつぼみもだんだん膨らんできて、風も少し暖かかった。
「は~~。 なんか。 ウイーンも良かったけど・・やっぱり日本はほっとするね、」
絵梨沙は抱っこした竜生ににこやかに話しかけた。
この頃は表情も出てきて、あやすとよく笑う。
そこに。
「・・あれ、」
斯波が通りかかったのでお互いに驚いた。
「し、斯波さん・・」
「あ・・ああ。 ども、」
いつものようにそっけなくボソっと言われた。
「・・お仕事の帰りですか、」
絵梨沙が声をかけたが
「・・うん、」
言葉すくなに答えるだけだった。
そして彼女に抱かれた竜生を見て
「・・・母親似だな、」
と、これまたボソっと言った。
「はっ・・・???」
唐突にそんなことを言われて思いっきり怪訝な顔をしてしまった。
斯波は少しうろたえるように
「や、だから・・・! 子供が!」
と、竜生を指差した。
「え・・ああ・・。 あー、っと・・よく言われます・・」
絵梨沙はようやく意味がわかってひきつって笑った。
前にすっごく怒られた人と同じなのかしら・・
そう思うほど
今の斯波はおどおどしていた・・・。
偶然に出会った斯波は何だかいつもと様子が違って・・・・
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