Danke~ありがとう(3) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「まだ寝てるん?」


南は心配してしまった。



「ええ・・。 もう疲れ切ってしまったみたいで、」



2日目の公演も大成功に終わってから


真尋はほとんど丸1日眠り込んだ。



食事も採らずに、ただただ眠るだけだった。



「エリちゃんも疲れたやろ。 もっと休んでていいのに。 竜生はあたしが面倒を見るから。」


「あたしは・・大丈夫です。」


絵梨沙は静かに微笑んだ。



「・・これからもここでやっていくの?」


南は気になることを聞いてみた。



「・・わかりませんけど。 公演の後、2つほど仕事があるんですけど・・・。 それが終わってからは全くの白紙なんです、」


「もう日本の事業部にも仕事の依頼殺到してるみたい、」


「少しお休みさせてあげたいとも思うんですけど、」



この数ヶ月のことを思うと南もそう思わずにいられなかった。





シェーンベルグの葬儀は家族だけで執り行われて、



真尋と絵梨沙は彼の墓に花を持って向かった。




「・・ありがとな、」



真尋はその花束を墓碑に手向けて、静かに微笑んだ。



彼の死もマスコミに発表されて


真尋は


『最期の弟子』という称号も頂いてしまった。



この後、予定されていた小さなホールのコンサートのチケットも


あの公演の後、あっという間にソールドアウトになった。



「・・ジイさんのおかげで。 なんも看板がなかったおれにでっかいモン遺してもらって。 しばらくそれで稼がせてもらうよ。」


真尋らしい言葉をかけた。



「・・ありがとう、」



そしてもう一度つぶやいた。




「え、お別れの会に?」


絵梨沙はリビングにコーヒーを運んできた。


「うん・・。 来週の金曜日。 おじいちゃんもね、たくさんの生徒がいたでしょう? その人達がぜひにって言ってくれて。 世界中から来てくれるって言うの。 今はすっごい有名なピアニストになった人も。」


カタリナは嬉しそうに言った。



「そう。」


絵梨沙も微笑んだ。



「それでね。 ママが。 マサに最期のピアノを弾いて欲しいって・・・・。」


真尋を見た。


「へ・・??」


「ぜひ。 お願いしたいって言うの。」


「でも・・めっちゃたくさんすげえピアニストとかいるんだよ? おれなんか、」


さすがに尻込みをした。



「おじいちゃんの『最期の弟子』でしょ? きっとみんなマサのことすっごく興味があると思う。 ぜひ弾いて欲しいんだけど、」


カタリナは笑顔で言った。




「来週の金曜日? んじゃあ、あたしそれまでこっちにいるから。」


その話を聞いた南はキッチンから声を掛けた。


「すみません、」


絵梨沙は申し訳なさそうに言った。



「で、真尋はOKしたの?」


「・・渋々・・ですけど。」


「きっと。 先生も喜んでくれるって。 きっと、真尋のことほんまはかわいくてかわいくて仕方なかったんやと思うよ。」



南はあの志藤に宛てた手紙を思い出していた。



巨匠の『最期の弟子』になった真尋は彼をおくり出す大切な役割を仰せつかります。



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