Leben~命 (6) | My sweet home ~恋のカタチ。

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そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

その晩


真尋は帰ってこなかった。


電話もスイッチを切られていて、全く繋がらない。


絵梨沙は一睡もできずに夜を明かした。




そして、朝になりシェーンベルグのスタジオに行くと


真尋はそこのソファで眠りこけていた。


ここではないか、と思ったので少し安心した。




毛布をかけてやると、真尋は目を覚ました。



絵梨沙はソファの周囲にワインやビールの空き瓶が散乱しているのを見て



「・・こんなに飲んで、」



と、ポツリと言ってから片付け始めた。



真尋は目を覚ましたがそのまま天井を見つめていた。



『皇帝』のレッスンに入ってからずっと酒は一滴も飲んでいなかったのに。



「もう・・何のためにやってんのか・・・わかんねーよ、」


かすれた声で真尋は言った。



身を削る思いで練習をしていたのに


シェーンベルグが自分の身体を省みないことと引き換えだと思うと


自分のしていることに意味がわからなくなった。




絵梨沙はその言葉が


本当に悲しくて。



片付けながら涙ぐんでしまった。



そこへ。



ギイっとドアが開いてシェーンベルグが入ってきた。



「・・先生・・・」


真尋は慌てて起き上がった。



「・・・酒くさいな、」



手でその空気を払うようにして顔をしかめた。


「って! いいのかよ! また抜け出してきたんじゃねーだろーなっ!!」


真尋は慌てて彼に駆け寄った。



「ちゃんと医者の了解はとってきた。」


「でも! まだ足元も!」


よろけるような彼の歩みを心配した。



シェーンベルグはキッと真尋を睨みつけて


「おまえはピアノのことだけ考えていればいいんだ!! わしのことに構うな!!」


大きな声で叱責した。



一瞬、真尋は怯んだが


「・・・構うなってなんだよ!! こんな無理をしてたら! 命を縮めることになるかもしれないんだぞ! そんなの・・!!」



そう言い返した言葉を遮るように


「わしの命だ!! 誰にも指図されないし、ましてはおまえに何を言う権利もない!」


真尋に負けない大きな声をまた出した。



「いいか・・・。 この公演はただの公演と違うんだ。 あの『アルデンベルグ』のピアノコンチェルトのソリストという、歴史にも刻まれる大役だ。 絶対にコケるわけにいかない! おまえのこれからの人生全てがかかっていると言っても過言じゃないほどだ!!」



シェーンベルグは真尋にヨロヨロと近づいた。



「・・今後。 一切、わしに気遣いは無用。 わしの人生、なにをしようとわしの勝手だ、」



何も


言い返せなかった・・・・



真尋を大舞台に立たせるために自分の命を厭わない巨匠は・・・


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