Tomorrow comes over(16) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「ゆかり、」


北都は移りゆく季節を感じる窓の外を見ながら、妻に声を掛けた。


「なに?」


ゆかりは微笑んで彼を見た。



「・・一度。 家に帰れないだろうか、」



意識を取り戻してしばらくは言葉が鮮明に話せなかった彼が


この頃は以前の彼と同じように会話もできる。



そんな彼が改まってそう言った。



「・・・家に?」



ゆかりは病室のクローゼットに替えのパジャマやタオルをしまっていた手を止めた。



「・・・一日でいい。 帰れないだろうか、」


「どうしたの、」



突然そんなことを言い出した彼にゆかりはひきつった笑顔で言った。



「今。 帰りたい。」



何か並々ならぬ気持ちがありそうで



「ムリは、ダメよ。」


少し抑えるようにそう言った。




「家族のいる・・ところに。」



それは身体が完全に治ってから、ではなく


『今』


でなければならない、その意味をゆかりは感じ取った。




「・・先生に聞いてみます。」



掛け布団を優しく掛けながらそう答えた。





「お義母さん、」


南は自分のいるウィークリーマンションを訪ねてきたゆかりに驚いた。



「今はこんな便利なマンションがあるのね。 あたしも借りて自分の趣味ばっかりの所にしようかしら、」


いつものように明るくそう言った。



「・・どうぞ、」


南は紅茶を淹れた。



「ありがとう。」


その紅茶にひとくち口をつけたあと



「あのね。 真也さん、あさっての日曜日。 一日だけ家に戻れることになったの。」



変わらず明るく、あっさりと言った。


「え! ほんまですか?」


南は驚いた。


「うん。 どーしても。 一日だけ帰りたいって。 彼が言うから。」


「お義父さんが、」


そんな無理をしていいのだろうか、と南は心配してしまった。



「なんかね。 考えがあるのかなーって。 あの人・・ほんっと無口でしょ? 結婚する前も、してからもおんなじ。 だから・・何かコレって時に言う言葉ひとつひとつに重みがあって。 深くは訊いたりしないけど・・・うん、なんか考えてるんだろーなーって。 あたしは頭悪いから。 あの人が難しいコト考えてても、ひとっつもわかんないだろうけど。 でも・・・彼がつらいとか、苦しいとか。 嬉しいとか。 そういうときの気持ちはわかるから、」



いつもの少女のような笑みを浮かべた。



家に帰りたいと言う北都。 その思いは・・・


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